21世紀を迎えて、核兵器廃絶と国家補償、福祉事業の施行など被爆者施策の充実を求める被爆者の新たなとりくみが各地で始まっています。
被爆体験と被爆者運動の歩みを書き残すとりくみでは、広島県被団協が430ページ、箱入り上製本で被団協の歩みをまとめ、群馬県原爆被災者の会は通巻第四集になる体験集、神奈川県原爆被災者の会は会のニュースを全部まとめた「あゆみ」を刊行しました。昨年末に発行した三重県被団協の体験集は、「語りはその場で消えるが、図書は永遠に残る」という嶋岡静男会長のアピールに応えて、購読者数は世紀を越えて増え、4千部から5千部の普及になるものと見られています。
「原爆と人間展」パネルを使っての原爆展を、今年も大いに開催しようと、東友会と東京原水協は経験を交流し合いました。パネルを世界300都市に贈る運動をつづけている日本生協連は、新春に南アフリカ共和国の生協に贈りました。パネルの普及は1月25日現在で936セット。 福祉事業では、鳥取が該当者調査、石川が県要請にとりくんでいます。
政府予算案の審議
平成13(2001)年度政府予算案が通常国会で審議されています。
被爆者関係分では、諸手当は、物価スライドの特例で据え置きとなりました。医療費は高齢化で増えました。最大の特徴は、福祉事業の充実です。広島、長崎両県市で実施されている被爆者への福祉事業が、全国に散在している被爆者にも、都道府県が予算措置をすれば、国が補助金を出すことになりました。広島、長崎両市で建設作業中の原爆死没者追悼平和祈念館の建設費も大きく増えました。
健康管理手当が、外国に行っても、継続して受給できるように求めて、大阪地方裁判所で争われていた広島被爆、韓国在住の郭貴勲さんの裁判が12月22日、結審しました。
判決日は、4月13日午後1時となりました。
結審にあたり、郭さんは最終意見陳述に立ち、「裁判所が、法律にしたがって判断するよう要請する」とのべました。
このあと、弁護士会館で裁判報告集会があり、「外国に行ったら被爆者手帳が失権になるとか、手当を打ち切るとか、法律にはまったく書いてないのに、厚生省の判断だけで失権にしたり、手当を打ち切ることは許せない。裁判所が法律どおりに判決するよう、これからも働きかけよう」などと話し合われました。
また、韓国の原爆被害者を救援する市民の会の主催で、「21世紀早期の勝訴をめざす集会」があり、郭裁判支援の決意を固め合いました。
原爆裁判
安井原爆訴訟
前立腺がんで原爆症認定を求めている、北海道の安井晃一原爆訴訟の第7回口頭弁論が、1月15日、札幌地裁で行なわれました。
原告・安井さん側からは、国が主張する安井さんの被爆地点について、実際とは違うことを立証する準備書面を提出しました。国からは何の書面も出ませんでした。
このため裁判長は、国にたいし、原告の準備書面の基本的な問題について反論があれば、次回までに必ず出すように求めました。次回は4月9日。
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