「被団協」258号  2000.7月

主な内容
1面 日本被団協定期総会
2面 中央相談所 総会  政府・政党へ80人で要請 総会決議(要旨) 代表委員偲ぶつどい
3面 NGOフォーラム代表団米市民と交流 平和行進 被爆者手帳 所持者30万人を割る
4面 相談のまど 
別刷4ページ 「21世紀 被爆者宣言(仮称)」案 討議の進め方 意見

核兵器も戦争もない21世紀を−日本被団協第45回総会

 日本被団協第45回定期総会が、6月5、6の両日、東京・五反田の国光園ホールで開かれ、42都道府県代表110人が参加しました。
 原爆松谷裁判の松谷英子さんがあいさつ。肥田舜太郎中央相談所理事長が相談所総会での討議と決定を報告しました。
 民主、公明、共産、社民の四党と6国会議員、日本生協連、青年団協議会など15団体からの祝電、メッセージを披露。
 一日目には、国民運動を総括した「21世紀の入り口に立って」と、99年度活動報告と決算報告を討議・承認。
 二日目は活動方針を討議・採択。「21世紀被爆者宣言」案を討議し、新役員を選出しました。

運動の着実な前進確認
 第一議題の「21世紀の入り口に立って」は小西悟事務局次長が提案しました。
 「核兵器なくせ、原爆被害に国家補償を」の国民運動が、96年からの四年間に着実に前進したことを、実相普及の広がり、現行法の活用と原爆裁判、核兵器廃絶へのうねりなどで確認。原爆犠牲の受忍論打破、核廃絶に逆らう勢力との新たな運動を展望しています。

実相普及を柱に
 2000年度運動方針は、藤平典事務局長が提案しました。
 これからの運動を「21世紀に核兵器をなくし、原爆被害への国家補償の実現をめざす被爆者運動」(略称「21世紀被爆者運動」)とよびます。この運動に被爆者の力を結集し、原爆使用の犯罪性と非人間性、投下責任を追求します。
 「被爆の実相普及」は運動の柱。「原爆と人間展」パネルを国内外に普及し、原爆展が世界中で開かれるよう努力し、被爆体験継承に努めます。
 原爆被害への国の補償を実現するために、死没者遺族と被爆者の生き様を訴え、国会請願署名と賛同署名を広げます。
 「21世紀被爆者宣言」(仮称)を、21世紀の運動を展望し、次世代への伝言にふさわしい文書にしていきます。
 介護保険制度の実施で現行施策が後退しないよう、網の目相談活動を強め、財政を強化し、「被団協」新聞の改善と普及をはかるなどを提案し、承認されました。

パネルとパンフが力に
 「1999年度活動報告」は山本英典事務局次長が提案しました。
 この1年間に「核兵器なくせ、原爆被害への国家補償を」の国民運動が、実相普及を軸に前進したことを、「原爆と人間展」パネルとパンフレットの普及で確認しました。
 国際的には、「つたえよう ヒロシマ ナガサキ」代表団のハーグ世界市民平和会議での活躍。アメリカ・ネバダでの平和行動、バングラディシュでの平和活動家会議、NPT(核不拡散条約)再検討会議、NGOフォーラムなどでの活躍が核兵器廃絶へ世界情勢を前進させたと報告。
 原爆被害への国家補償をめざす運動では、六件の原爆裁判の勝利をめざし、現行法の福祉事業の事業化を求めて県議会意見書の採択を促進、介護保険制度での被爆者負担の軽減が図られました。
「被団協」新聞読者が、死亡、転居で減り、被団協財政を苦しくしていることも報告されました。

新代表委員決まる 
 伊藤サカエ、伊東壯両代表委員の死去にともなう新しい代表委員が、選任されました。
 広島からは県被団協事務局長の坪井直氏。東京は日本被団協前事務局長の藤平典氏。長崎の山口仙二代表委員は留任。新事務局長には田中煕巳前事務局次長が選ばれました。

「宣言」案を討論
 「原爆被害者の基本要求」を改定した「21世紀 被爆者宣言」(仮称)について、総会第二日に田中煕巳「基本要求」改定委員長が、第一次案に寄せられた意見と、これをもとに作成した第二次案骨子を説明しました。
 今後については、全国討議をさらにすすめ、秋に予定している全国代表者会議に第二次案を提出し、さらに全国討議を深めて来年の総会で決定する予定です。「宣言」関連文書は本紙特集参照。



生きていてよかったといえる事業に−中央相談所総会

 6月5日、午前11時から中央相談所の第23回定期総会が開かれました。
 冒頭、肥田舜太郎理事長は、「なくてはならない人が亡くなっていく中で、歴史の中で消えていく団体にいるんだな、と思わざるを得ない。日本は一体どうなるのかという不安な情けない国の中で、核兵器廃絶だけは断固として貫いていかねばならない。被爆者が一人残らず、目をつぶるまで生きていてよかった、と言えるような相談事業を行なっていこう」とあいさつ。
 つづいて、高橋健常務理事が平成11年事業報告、田中煕巳財務担当常務理事が決算報告、楠本熊一、杉山秀夫両監査が監査報告を行ない、全員一致で採択。つづいて、肥田理事長が平成12年度の事業計画、田中常務理事が会計予算案を提案し、質疑・討論の後、全員一致で採択されました。
 今年度の日本自転車振興会の補助金のうち、被爆者のしおり、相談ガイドブック、健康ハンドブックの印刷物がすべてカットとなったため、有料配布に切り替えざるを得ないことも了承されました。
 なお、役員は2年ごとの改選のため、今年度は昨年度と同じです。

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