ロシアが行なった臨界前核実験に対し、日本被団協は首都圏の被爆者とともに、11月7日、ロシア大使館前で行動し、抗議文書を渡しました。内容は以下のとおりです。               
       
2000年11月7日
ロシア連邦大統領
ウラジミル・プーチン閣下 
                       日本原水爆被害者団体協議会
                                                                       代表委員  藤平  典
                                                                       代表委員  坪井  直
                                                                       代表委員  山口 仙二
                                                                       事務局長  田中 煕巳

  相次ぐ臨界前核兵器実験に抗議する

 貴国原子力省は11月3日、さる10月20日と27日に、ノバヤゼムリア核実験場で、臨界前核実験を行なったことを明らかにした。
 実施理由はこれまでどおり、核兵器の信頼性と性能維持が目的だとしている。
これは、核兵器の使用を前提にしての信頼性と性能の維持であり、地球のどこかに核兵器の犠牲者を新たにつくり出そうとするものにほかならない。
 広島、長崎で、アメリカの原爆で肉親を友人を殺され、自らも原爆後障害に苦しみ、「世界のどこにも被爆者をつくるな」と叫びつづけてきたわれわれ被爆者は、被爆者の願いを無視する貴国の相次ぐ臨界前核実験に心底からの怒りを込めて抗議する。
 いま国連では、核兵器の軍縮と廃絶をめざして懸命の努力がつづけられている。貴国自身も、5月のNPT(核不拡散条約)再検討会議で、「核兵器廃絶への明確な約束」をした。現在開会中の国連総会でも、第一委員会での「核兵器廃絶」と「軍縮」の決議に賛成している。このようなときに、臨界前核実験をするということは、貴国の「約束」や「賛成」が形ばかりのものでしかないのではないかという疑いさえもたせる。
 国際法にも人道主義にも反する核兵器を廃絶させるため、貴国が言葉のうえだけでなく、態度でその誠意を示すことを願って、以下の諸項目を要求する。

1 臨界前核実験をこれ以上くり返すな。永久に中止せよ。
2 新たな核兵器の開発計画を放棄せよ。
3 NPT再検討会議の最終文書の合意と国連総会の決議にしたがって、核兵器廃絶の約束を実行し、そのための国際会議を速やかに開催せよ。


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