日本被団協はアメリカの8回目の臨界前核兵器実験に対する抗議文書をクリントン大統領に送りました。

1999年11月11日
アメリカ合衆国大統領
ウイリアム・J・クリントン閣下
日本原水爆被害者団体協議会
                                                      代表委員 伊東 壮
                                                      代表委員 伊藤サカエ
                                                      代表委員 山口仙二
                                                      事務局長 藤平 典

臨界前核兵器実験に抗議する

 貴国は、11月10日未明(日本時間)、「オーボエU」と名付けた8回目の臨界前核兵器実験を行なった。われわれは貴国が2005年までの7年間、毎年4回の割で臨界前核実験を行なう予定でいることに、繰り返し抗議し、核兵器にかかわるすべての開発実験を取りやめるよう要求してきた。
 それは、われわれが体験した地獄の苦しみが、地球上のどこにでもくり返されてはならないと願うからで る。貴国が投下した原爆によって家族を殺され、自らも後障害に苦しんでいるわれわれ被爆者は、「この地球上に核兵器の犠牲者を2度とつくり出してはならない」と心から願っている。この悲願を踏みにじる貴国と貴大統領の核兵器固執政策に、満身の怒りを込めて抗議する。
 貴国は臨界前核兵器実験はCTBT(包括的核実験禁止条約)に違反しないと言い張っているが、そのCTBTの批准さえも上院で否決し、核兵器実験を野放しにし、核兵器独占をより強固なものにしようとしている。
核兵器の使用については、先に国際司法裁判所で「国際法違反」の勧告的意見がでたところで る。つい先日も、国連第一委員会で、一日も早く核兵器廃絶の国際条約締結の交渉を始めようなどの決議がなされた。今年5月のハーグ世界市民平和会議は、核兵器廃絶条約の促進をアジェンダにかかげた。
 貴国の臨界前核実験の強行は、こうした国際世論に逆行する暴挙で る。貴国が核抑止論の立場をとり続けていることが核兵器の拡散を誘発し、地域的な核戦争の危機を招いていることを見るべきで る。
 私たちは全人類の名において貴閣下に要求する。

1.臨界前核兵器実験の計画を中止せよ。
2.CTBTを批准し、核兵器実験のすべての計画を放棄せよ。
3.国連総会の決議にしたがって、核兵器廃絶への行動を開始せよ。
4.期限を切って核兵器を廃絶するための核兵器廃絶国際条約を締結せよ。


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