2000年12月15日
アメリカ合衆国大統領
ウイリアム・J・クリントン閣下

                       日本原水爆被害者団体協議会

                                           代表委員  山口 仙二
                                           代表委員  坪井  直
                                           代表委員  藤平  典
                                           事務局長  田中 煕巳

  臨界前核兵器実験に抗議する

 貴国は、12月15日未明(日本時間)、ネバダ核実験場で、今年5回目、1997年7月以来通算13回目の臨界前核兵器実験を行なった。
 「オーボエ6」と名付けられたこの実験について、貴国は「核兵器の維持管理のため」「環境への影響はない」「CTBT(核兵器実験全面禁止条約)に違反しない」と言い逃れしているが、核兵器の保有、使用を前提にした実験であり、核兵器の性能向上と、新型核兵器の開発にもつながる実験であることに違いはない。
 われわれ広島、長崎の原爆犠牲者は、これまでも、どのような口実であれ、核兵器の使用につながる核兵器実験をくり返さないよう、貴大統領に強く要求してきた。
 われわれ原爆犠牲者に、55年経った今日まで、ただの1回も謝罪することなく、また、広島、長崎の惨状を直視することもせず、新たな核兵器の被害者をつくりだそうとする貴国の核兵器政策に、満身の怒りを込めて抗議する。
 5月に開かれたNPT(核不拡散条約)再検討会議は、「核兵器廃絶の明確な約束」を、貴国をはじめとする核保有国を含むすべての国の賛成で決議したばかりである。貴国はこの決議を順守する義務を果たすべきである。

 私たちは全人類の名において貴閣下に要求する。
1 臨界前核兵器実験の計画を中止せよ。
2 NPT再検討会議の「約束」にしたがって、核兵器廃絶への努力を開始せよ。
3 CTBTを批准し、核兵器実験のすべての計画を放棄せよ。
4 核兵器を廃絶するための核兵器廃絶国際条約を締結せよ。


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