日本被団協は第46回定期総会で以下の決議を採択しました。(2001.6.5)



決 議 

 21世紀開幕の今年、日本被団協は結成45周年をむかえました。
 この間私たちは国の内外で「核兵器なくせ、原爆被害に国家補償をおこなえ」と訴えつづけてきました。
 「21世紀には核兵器のない世界を」の主張がいまでは全世界の一致した要求になり、米・ロ・英・仏・中の5大核保有国も「自国の核兵器の完全な廃絶を実行するという明確な約束」に合意するまでになりました(2000年5月、核不拡散条約再検討会議)。
 私たちの悲願である「核兵器なくせ」は夢や理想論ではなく、実現可能な現実の課題になりました。この世論づくりに被爆者が果たした役割は国際的に高く評価され、四たびノーベル平和賞候補に推薦されるまでになりました。
 しかし、アメリカもロシアも、この約束を実行しようとせず、臨界前核実験をくりかえして新型核兵器の開発を試み、依然として「核抑止」政策をとりつづけ、核兵器使用の機会をねらっています。
原爆被害への国家補償要求にたいしては、国は私たちの運動を支える広範な国民の声におされて、1994年12月「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」を制定しました。しかし、最大の犠牲者である死没者の補償さえも拒否し、原爆被害に対する「受忍」政策をとりつづけています。
 原爆被害の受忍を強いる日本政府が、アメリカの核政策の最大の支柱となっていることを私たちは許すことができません。日本政府を非核の立場に立たせることが、核兵器廃絶への道であり、また原爆被害に対する国家補償実現への道でもあります。被爆者と日本国民に課せられた課題は大きく重いものがあります。
 
 21世紀最初の総会に結集した私たちは全国の被爆者のみなさんに、つぎの行動を呼びかけます。
 核兵器も戦争もない世界をめざし、アメリカの原爆投下とすべての核保有国の核兵器開発にともなう犯罪をきびしく問い、被害にたいする補償、被害者救済をもとめる草の根からの世論をつくりあげましょう。
 核保有国に「自国の核兵器の完全な廃絶の約束」の実行をせまる地球規模の世論づくりに力をそそぎましょう。
 すべての核保有国の国家元首にこの約束の実行を要請し、これらの国の国民や新アジェンダ諸国をはじめとする非核保有国の政府・国民との交流をめざす「結成45周年記念海外遊説団派遣」を成功させましょう。
 地域では、日本政府と国民の責務の重大さを、あらゆる機会をとらえて広くうったえ、核兵器廃絶、国の非核化、原爆被害への国家補償をもとめる政府要請署名をひろげましょう。
自治体、とくに非核自治体に、私たちの運動への支持・協力をもとめましょう。
 「21世紀被爆者宣言」を幅広いひとびとの中にひろげ、「核兵器の犯罪を裁く国際市民法廷」の2005年開催をめざして、地域から準備をはじめましょう。
 政府の原爆被害切り捨て政策と正面からたたかい、原爆被害の実態にもとづいて勝利した松谷裁判、京都裁判の経験と教訓を生かし、東裁判、安井裁判の完全勝利をめざしてたたかいをつよめましょう。
 「被爆者の癌をすべて原爆症と認定せよ」の主張を前面に掲げ、一斉認定申請運動をおこしましょう。却下にたいしては、広範な人々とともに裁判でたたかいましょう。
 被爆体験の証言、手記などの朗読、写真、絵画、ビデオなど、さまざまな手段で被爆の実相を語りひろげ、つたえ、残しながら、運動の引継ぎ手をつくりましょう。
 戦前の国家体制の復活や核兵器を容認するようなさまざまな動きを警戒し、主権在民、平和主義の日本国憲法を護りましょう。
 一人ひとりの力を活かし、ノーベル平和賞の候補に四度目の推薦を受けた光栄に、経験と叡智のすべてをかけた創意ある行動で応えましょう。日本被団協結成四十五周年を記念するにふさわしい、いきいきとした活動を展開しましょう。

   2001年6月5日

              日本原水爆被害者団体協議会第46回総会

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