原爆症認定集団訴訟名古屋地裁判決についての声明

平成19年(2007年)1月31日

愛知県原水爆被災者の会(愛友会)
原爆症認定集団訴訟愛知弁護団
あいち被爆者支援ネットワーク
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)
原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会
原爆症認定集団訴訟を支援する全国ネットワーク

1 本日、名古屋地方裁判所民事第9部(中村直文裁判長)は、原爆症認定愛知集団訴訟に関して、原告4名中2名について、厚生労働大臣の認定申請却下処分を取り消す、原告勝訴判決を下した。
2 判決は、原爆症認定集団訴訟近畿訴訟判決(大阪地裁平成18年(2006年)5月12日)、同広島訴訟判決(広島地裁平成18年(2006年)8月4日)に引き続き、被爆者援護法10条2項に規定する放射線起因性について「審査の方針が採用する原因確率論のみを形式的に適用したのでは、その因果関係の判断が実態を反映せず、誤った結果を招来する危険がある」という判断を示した。
 これは、厚生労働省が、「科学的」と称して、2001年以降行ってきた「審査の方針」に基づく機械的な認定行政を厳しく断罪したものであり、原告らの訴えに応えた積極的な内容を持つものである。
 原告甲斐については、入市被爆の実態、その後の病歴などを評価して原爆症と認定したことは高く評価できる。また、原告小路についても全身的な健康被害を正当に評価している。
 他方で、大阪判決、広島判決に引き続き、原告全員が原爆症と認定されることを期待していただけに、2名の原告が原爆症と認められなかったことは、残念である。原告中村については被曝実態を十分に把握せず、白内障に関する知見も十分に反映していない。原告森については、単独の病名のみにこだわり、総合的、全体的な評価を怠っているといわざるを得ない。
 我々は、今回認められなかった2名の原告についても、認定を勝ち取るべく、
今後も努力していく決意である。
3 厚生労働大臣は、原爆症認定についてこれを根本的に批判する司法判断が定着しているという事実を踏まえ、高齢化している被爆者に一日も早く救済の手をさしのべるように、判決が原爆症と認定した原告に関する控訴を断念するとともに、原爆症認定行政を抜本的に改めるため、被爆者との協議に応じることを求める。