クワガタ用語集 |
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用 語 |
読み方 |
意 味 |
参照項目 |
飼育編 |
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用品 |
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マット |
まっと |
クワガタやカブトムシなどの幼虫のエサや成虫の床材・産卵床などに使用するため、朽ち木や生木を粉砕したもの。最も一般的なのは椎茸のほだ木の廃材を粉砕したもので、さらにこれを発酵させたものなど、用途によって様々なものがある。キノコの菌で腐朽していない生木を粉砕したものは、マットと呼ばずに「生オガ」と呼ぶことが多い。 |
朽ち木 生木 ほだ木 フレーク |
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埋込マット |
うめこみまっと |
マットの一種で、保湿などのため産卵木を埋めて産卵セットとするためのもの。マットのなかでは粒子が粗めで、添加剤発酵などの過程を経ていないものが主流のため、比較的安価。おもにマットに産卵せず産卵木にのみ産卵するタイプのクワガタに使用する。また、成虫の床として利用することも多い。 |
産卵木 マット 発酵マット 一次発酵マット 床 |
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発酵マット |
はっこうまっと |
主にクワガタの幼虫の餌とするため、薄力粉やフスマなどの添加剤をマットに加えて発酵させ、栄養価を高めると共に、マット内の微生物環境を安定させて異常発酵が起こり難くしたもの。多くの種のクワガタの幼虫飼育飼料として利用されるほか、アンタエウスオオクワガタなどマット産みのクワガタの産卵床としても使用される。添加剤を加えずに自然発酵させたものを「一次発酵マット」と呼ぶこともあり、これと区別する意味で、添加物を加えて発酵させたマットを「添加発酵マット」または「添加マット」と呼ぶこともある。 |
添加剤 発酵 マット産み 一次発酵 異常発酵 |
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無添加マット |
むてんかまっと |
一般に、発酵させていない朽ち木を粉砕しただけのマットを指す。添加剤を加えずに自然発酵させた、いわゆる一次発酵マットを指すこともある。 |
発酵 一時発酵 朽ち木 添加剤 |
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針葉樹マット |
しんようじゅまっと |
針葉樹を原料にしたマット。針葉樹の生木を粉砕したものがほとんどで、朽木を原料としたものはあまり見かけない。一般的なクワガタの幼虫は、針葉樹に含まれるヒノキチオールなどの成分を嫌うため、広葉樹を原料にしたマットで飼育するが、この成分はダニを含めた殆どの昆虫が嫌うため、ダニの発生防止の観点から、成虫飼育の床として針葉樹マットを好む飼育家もいる。針葉樹は広葉樹に比べて分解が遅いため、劣化が遅く異常発酵が少ない点も、床として適してはいるが、クワガタの成虫が、針葉樹の成分の影響をまったく受けないかどうかは疑問が残る。また、幼虫が嫌うという点を利用して、材飼育の埋め込みマットとして使用し、幼虫が材から出てきてしまうのを防ぐといった使用法もある。ただし、十分に発酵した針葉樹のマットであれば、クワガタやカブトムシの幼虫飼育に使用できる場合もあり、発酵の過程でヒノキチオールなどの成分が分解されてしまうのかもしれない。 |
マット 生木 床 材飼育 埋め込みマット 発酵 |
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生オガ |
なまおが |
朽ち木ではない生きた木を伐採して粉砕し、マット状にしたもの。菌床作成のベースとして用いられる他、発酵マットの材料として用いる場合もある。一般にクワガタの幼虫の餌として使用される発酵マットは、椎茸のほだ木の廃材など朽ち木を原料としたものであるが、朽ち木のマットに生オガを加えたり、また、生オガ100%で作成する場合もある。生オガを使った発酵マットは,一般に餌持ちが良いとされている。 |
朽ち木 マット 菌床 発酵マット 餌持ち |
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プラケース |
ぷらけえす |
主に昆虫などの小動物飼育のために販売されている透明なケース。通常、青や緑や黒の網状のフタが付いており、「ミニ」、「小」、「中」、「大」、「特大」、「ジャンボ」の各サイズがある。いくつかのメーカーからそっくりなものが販売されているが、規格が微妙に違うため、フタを取り違えると完全にロックされない場合があり、クワガタに脱走される事故が発生する可能性があるので注意が必要。小蝿などが出入りできるのと、通気性が良すぎて乾燥してしまうため、そのままでクワガタ飼育に使用するのは難しい。 |
脱走 穴あきビニール クリアシールド コバエシャッター |
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プラケ |
ぷらけ |
プラケースの略。 |
プラケース |
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穴あきビニール |
あなあきびにいる |
適当なビニールシートに、針で数箇所から数十箇所の穴をあけたもの。プラケースのフタと本体との間に挟み込んで、小蝿の進入を防ぐと共に、保湿効果を得るために使用する。小さな穴でも、想像以上に通気性があり、夏場の蒸れやエサの果物などの異常発酵にさえ気を付ければ、酸欠の心配は少ない。初心者が、クワガタの成虫を飼育中に殺してしまう原因の第一位は乾燥であり、穴あきビニールはクワガタ飼育に欠かせないアイティムである。最近は、クリアシールドなどの、これに代わる商品もある。 |
プラケース 小蝿 異常発酵 酸欠 クリアシールド |
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コバエシャッター |
こばえしゃったあ |
クワガタやカブトムシなどの飼育のために特別に開発された、専用の飼育ケース。「タイニー」、「ミニ」、「小」、「中」、「大」の各サイズがある。フタが網状になっていないため、クワガタが顎を挟んで取れなくなりそのまま消耗して死んでしまうと言った事故の心配がなく、適度な保湿効果もある。また、フタに装着するフィルターにより小蝿の進入も防いでくれる優れものであり、これが商品名の由来となっている。この素晴らしいアイティムの開発者に敬意を表して、「シーラ蓋」と呼ぶこともある。 |
小蝿 |
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コバシャ |
こばしゃ |
コバエシャッターの略。 |
コバエシャッター |
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クリアシールド |
くりあしいるど |
穴あきビニールと同様の効果のある商品。透明なプラスチックの板に小さな穴を開けたもので、プラケースのフタにぴったりとはまるような形に加工されている。プラケースに初めて装着するときは、ケース本体にクリアシールドをかぶせて、その上からフタを閉めると、上手くフタの内側にはまってくれる。保湿性が高いため、エサの果物などがプラケース内部で腐敗した場合には、酸欠になる事があるので、注意が必要。用途や予算に応じて、コバシャや穴あきビニールと使い分けると良い。 |
プラケース コバシャ 穴あきビニール 酸欠 |
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タイベストフィルター |
たいべすとふぃるたあ |
元々は建材の一種であるタイベスト(タイベックとも言う)を、クワガタの幼虫飼育用の瓶の口より一回り大きくカットしたもの。一見ただの白い紙切れのように見えるが、通気を保ちつつ雑菌や小蝿の進入を抑えるフィルターとして、菌糸瓶のフタに挟み込んで使用する。販売されている菌糸瓶の口には、既にセットされているものも多い。建材用のものを大型シートで購入して自分でカットしても思ったほど低コストとはならないため、昆虫専門店でカット済みのものを購入するのが無難。 |
菌糸瓶 小蝿 |
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菌床 |
きんしょう |
主に広葉樹の生オガに加水して添加剤を加え、滅菌してキノコの菌を植菌し、菌糸が蔓延して白くなるまで培養したもの。もともとは、キノコの人工栽培に使用されるものであるが、水分や添加剤を調整してクワガタ用に製品化したものが、ブロックや瓶など様々な状態で販売されている。主に、オオクワガタなどの比較的分解の進んでいない朽木を餌とする幼虫の飼育に使用され、全てのクワガタに使用できるものではない。 |
菌糸 菌糸瓶 菌床ブロック 滅菌 植菌 加湿 添加剤 |
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菌糸瓶 |
きんしびん |
ガラスの瓶に菌床が詰まった、クワガタの幼虫飼育のための資材。加水したマットを瓶に詰めてから加熱殺菌した後、菌を植え付けて培養したもの(植菌瓶)もあるが、菌床ブロックをほぐして瓶に詰め替えたもの(詰替瓶)が最近の主流。国産オオクワガタなどの幼虫の飼育に使う。ガラス瓶ではなくポリボトルを使用した「菌糸ボトル」もあるが、中の様子が観察しやすい点や幼虫が齧れない点などから、ガラス製の「菌糸瓶」を好む人が多い。また、ポリよりガラスの方が放熱性が高く、夏季の飼育にはガラス瓶が良いとする向きもある。国産オオクワガタなどのあまり分解の進んでいない乾燥気味の朽木を好む種には詰めてから日の浅い新しめの菌糸瓶を、比較的分解の進んだ朽木や水分多めの朽木を好む種には詰めてから2週間以上経って熟成した菌糸瓶を与えると良い。 |
菌床 菌糸ボトル 菌床ブロック 加水 |
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菌糸ボトル |
きんしぼとる |
ポリ製のボトルに菌床が詰まった、クワガタの幼虫飼育のための資材。加水したマットをポリボトルに詰めてから加熱殺菌した後、菌を植え付けて培養したもの。ポリボトルの場合、ガラス瓶では実現していない、詰め込みから植菌までの過程のオートメーション化が可能であり、大量生産による低価格化が比較的容易であるメリットがある。国産オオクワガタなどの幼虫の飼育に使う。ガラス瓶を使った「菌糸瓶」の方が好まれる傾向があるが、ボトルは安価である事と、軽量で取り扱いやすい事から、大量に使用するブリーダーには根強い人気がある。 |
菌床 菌糸瓶 加水 |
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菌床ブロック |
きんしょうぶろっく |
耐熱性の高い専用のビニール袋(主にポリプロピレン製)に、加水して添加剤を加えたマットを3〜4gほど詰めて四角いブロック状に成形し、滅菌してキノコの菌を植菌し菌糸を繁殖させたもの。瓶などに詰め替えて菌糸瓶を作成する。製品化された菌糸瓶を購入するのと比べた場合、菌糸瓶より安価である点と、詰め替えの時にさらに添加剤を加え、自分好みの菌糸瓶を作成できる点がメリット。 |
菌床 菌糸瓶 加水 植菌 菌糸 |
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菌カップ |
きんかっぷ |
菌床ブロックをほぐしてプリンカップに詰め替えたもの。小型の菌糸瓶として使用するが、堅い所に食い進む性質の強いクワガタなどでは、食い破って脱走する事故が起こる可能性があり、このような種の長期間の飼育には管理に注意を要し不向き。若令幼虫を、雌雄が判別可能となる2令後期(又は3令初期)までの間100〜200cc程度の小型の菌カップで飼育して、その後に♂なら大型の瓶に♀なら小型の瓶に投入することによって、菌糸瓶飼育における経済効率を高めるための使用が効果的。また、たくさん得られた幼虫を友達などに譲渡する場合にも便利で、ショップで販売されている若令幼虫は(時には哀れな3令幼虫も)、これに入っている事が多い。 |
菌床ブロック カップ 若齢 |
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カップ |
かっぷ |
プリンカップと同義。 |
プリンカップ |
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プリンカップ |
ぷりんかっぷ |
食品用に販売されている、合成樹脂製の透明なフタ付きカップ。ポンカップとも言う。様々な大きさがあり、菌床ブロックをほぐして詰めて菌糸瓶の代わりに使用したり、成虫の一時保管容器として使用したりする。ガラス瓶やプラケースとくらべて強度が低いため、食い破って穴を開け脱走されることもあり、幼虫・成虫とも長期使用には不向き。メーカーによって、気密性に差があり、一般的なものはそのままでも幼虫飼育に十分な通気性があるが、一部の気密性の高いものはフタに小さな穴を開けて使用する必要がある。一般に知られている気密性の高いものとしては、裏に炎のキャラクターのしるし(燃やせると言う意味らしい)の付いたものがある。 |
菌床ブロック 菌カップ 脱走 |
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S瓶 |
えすびん |
幼虫飼育に使用する瓶のうち、450t程度の容量のガラス瓶を、クワガタ飼育業界ではこう呼ぶ場合が多い。中に菌床や発酵マットを詰めて、クワガタの幼虫を飼育する。中〜大型種の初令幼虫を、2令後期〜3令初期程度まで育成するために使用されることが多い。小型種のオス及びメス、中型種のメスでは、羽化までこのサイズで十分。 |
M瓶 L瓶 菌床 発酵マット |
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M瓶 |
えむびん |
幼虫飼育に使用する瓶のうち、800t程度の容量のガラス瓶を、クワガタ飼育業界ではこう呼ぶ場合が多い。「マヨビン900」や「ハチミツ1000」と呼ばれるものが、このサイズ。中に菌床や発酵マットを詰めて、クワガタの幼虫を飼育する。オスなら、大型種で3令初期程度まで育成でき、中型種なら羽化までこのサイズで可能。メスなら、大型種でも羽化までこのサイズで十分。ちなみに、「マヨビン900」は「マヨネーズが900グラム入る瓶」、「ハチミツ1000」は「蜂蜜が1000グラム入る瓶」の意であり、その容積はいずれも800〜850cc程度であるから、水と他のものの比重を考慮せずに商品の容量表示に苦情を言うと恥をかくので注意が必要。 |
S瓶 L瓶 菌床 発酵マット |
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L瓶 |
えるびん |
幼虫飼育に使用する瓶のうち、1500t程度の容量のガラス瓶を、クワガタ飼育業界ではこう呼ぶ場合が多い。通称「ハチミツ2000」と呼ばれる形の物が、多く利用されているが、これより背丈が低く直径の大きい通称「ダルマ瓶」と呼ばれるものを好んで使用する人もいる。中に菌床や発酵マットを詰めて、クワガタの幼虫を飼育する。メスにはほとんど使用せず、大型種のオス専用と考えて良い。ほとんどの大型種がこのサイズの瓶で十分羽化可能であるが、パラワンオオヒラタクワガタ、ギラファノコギリクワガタ、マンディブラリスフタマタクワガタなど最大級の種の中で、特大の幼虫が育った場合には、蛹室を作るための直径が若干不足する場合も無いわけではない。 |
S瓶 M瓶 菌床 発酵マット 蛹室 |
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衣装ケース |
いしょうけえす |
ホームセンターなどで購入できる、樹脂製の大型ケース。20リットル〜100リットル程度まで様々なサイズがあり、フタがロックでき脱走の心配が少なく、比較的安価であるため、大型種の産卵セット用ケースや発酵マット作成用のケースとして利用価値が高い。一般的にキャスターが備わっており、この出っ張りがケースの内側にある物は、作業の際意外と邪魔になるので、なるべく内側がフラットな物を選ぶと良く、特に発酵マット作成用としては、攪拌しやすいよう深さを重視する必要が有る。また、あまりにも安価なものは、強度に問題のある物も少なくないため、用途に応じた最低限の強度を考慮して選びたい。 |
産卵セット 発酵マット |
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添加剤 |
てんかざい |
発酵マットや菌糸瓶の作成に当って、マットに混ぜ込むものの総称。その扱いやすさから、乾燥した粉末状のものが利用されることが多く、薄力粉とフスマが代表的。その添加目的は多岐に渡るが、主な目的は、発酵マット作成においては発酵の促進と発酵過程のコントロールに、菌糸瓶作成においては菌糸成長のための栄養源を与えることにあり、添加剤自体が幼虫に摂取されて直接的に幼虫の栄養源になる部分は少ないものと思われる。 |
発酵マット 菌糸瓶 薄力粉 フスマ |
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フスマ |
ふすま |
麦の殻にあたる部分で、麦を製粉した後に残る廃棄物。クワガタ飼育においては、小麦フスマが、発酵マット作成時や菌床への添加剤として利用される。一般には、飼料や肥料として若干の需要があり、JA(農協)などで購入できるが、大袋(20リットル程度)のみの販売であって、昆虫専門店で小分けしたものを取り扱っていれば、これを購入するのが便利。店頭で取り扱っていなくても、お店の人に聞いてみると、分けてもらえる場合もある。 |
発酵マット 菌床ブロック 添加剤 |
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薄力粉 |
はくりきこ |
小麦粉の一種で、比較的蛋白質含有率の低いもの。蛋白質含有率の高い「強力粉」や、蛋白質含有量が中間的な「中力粉」もあるが、腐敗し難く扱い易い「薄力粉」が、発酵マットの添加剤として広く利用されている。 |
添加剤 発酵マット |
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ビール酵母 |
びいるこうぼ |
ビールの製造過程でできる廃棄物で、アルコールの生産を終えて不要となった酵母菌を濾し取ったもの。良質な蛋白質、ビタミン、ミネラルの固まりであり、通常は、乾燥し粉末やタブレット状に加工して、健康食品や整腸剤として販売されている。健康食品として販売されているものは、発酵マットや菌床の添加剤として利用するには高価であるが、昆虫専門店で取り扱っていれば、比較的安価に購入できる場合が多い。 |
添加剤 発酵マット |
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トレハロース |
とれはろうす |
昆虫、微生物、菌類などの生物の体内に存在する糖類。生物の細胞を乾燥や凍結などから保護し再生を助ける働きがあり、干し椎茸がもとどうりになるのも、越冬中氷点下で昆虫が生存できるのも、この糖の働きによるものであると言われている。食品添加物として餅菓子などの硬化防止に使用され、米に添加して炊きあげると冷めても固くなりにくいご飯が炊ける。菌床などに少量添加すると、クワガタの幼虫の食い方が安定し、いわゆる「居食い」状態を維持しやすい傾向があるため、餌の中の成分として、幼虫に何らかの反応を起こさせる物質であることはほぼ間違いない。古くは、高価な食品添加物であったが、近年は安価になり、入手し易くなった(酵母の遺伝子に手を加えてトレハロースを生産させる技術が確立し、大量生産が可能となったためと言われている)。昆虫専門店でも、取り扱っている場合がある。 |
添加剤 |
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グルタミン酸ナトリウム |
ぐるたみんさんなとりうむ |
アミノ酸の一種。精製した状態で、商品名「味の素」として販売されているものが入手しやすい。発酵マットや菌床に添加剤として加えたり、水に溶かして産卵木に滲みこませて産卵促進の効果を期待したりする。どのような使用方法にあっても、他の添加剤より少なめに使うのがポイント。 |
添加剤 |
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産卵木 |
さんらんぼく |
クワガタのメスに産卵させるための木。多くの種類のクワガタは、キノコの菌糸やバクテリアなどの微生物によって分解されかけた木に産卵し、幼虫はこれを食べて育つ。したがって、このような種類のクワガタに産卵させようとする場合には、これに適した産卵木を与える必要がある。最もポピュラーなのは、椎茸の栽培に使用したクヌギやナラなどのほだ木を乾燥させたもので、他に、レイシ材やカワラ材などの高価なものもある。 |
ほだ木 カワラ材 レイシ材 |
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ほだ木 |
ほだぎ |
椎茸の栽培に利用される、クヌギやナラの木に椎茸の菌を植菌して培養したもの。クワガタ用の産卵木として、安価で一般的。産卵木として利用されるのは、適度に朽ちたこの廃材を10数cmにカットし十分に乾燥させたもので、昆虫専門店で販売されている。クワガタの幼虫は生きた椎茸の菌糸を嫌うため、ほだ木は乾燥させて菌糸をほぼ死滅させた状態で販売されているので、産卵木としてクワガタのメスに与える場合は、クワガタの種類ごとに、適度な水分量に加水する必要が有る。一般に、ナラよりクヌギの方が人気があり若干高価。一緒に陳列されているものの中にも、固めのものや柔らかめのものがあるので、使用するクワガタの種類に応じた固さのものを選んで購入する。選定〜使用の例としては、「オオクワガタに使用するので若干固めが良いから、切り口に爪を立ててみて軽く跡が付く程度の固さのものを購入し、水分量は控えめに、3時間浸水後1時間陰干しして使用しよう。自己採集の大切な虫なので、チョット奮発して、ナラではなくクヌギにしてみた。」と言ったところ。 |
産卵木 加水 |
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カワラ材(瓦材) |
かわらざい |
カワラ茸菌によって腐朽した、ブナやクヌギなどの材。産卵木としてや、幼虫飼育のための材として使用する。天然のものはクワガタの天敵となる様々な昆虫が入っていて扱いにくいが、人工的に作成した他の昆虫の進入のないものが昆虫専門店で販売されており、レイシ材と並んで、最も高級な産卵木の一つとなっている。国産オオクワガタなどの、乾燥ぎみの朽木に好んで産卵するタイプのクワガタを中心に、ほとんどの材生みの種に効果がある。 |
カワラ茸 産卵木 |
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レイシ材(霊芝材) |
れいしざい |
レイシ(霊芝)菌によって腐朽した、材。原木にナラを使用したものがほとんど。アンタエウスオオクワガタなど、柔らかい材を好む材生み系のクワガタの産卵木に最適とされており、オオゴンオニクワガタ、タランドスオニツヤクワガタなどのブリード超難関種においても、ある程度の実績がある。カワラ材と並んで最も高級な産卵木の一つである。内部はスポンジ状で、非常に水分を吸いやすく、保水力が非常に高いため、加水はごく短時間(30分以内)にする必要があり、乾燥しきっていない状態で販売されているものは、加水せずに使用する場合もある。キノコを栽培する際、土に埋めたタイプと砂に埋めたタイプとがあり、土埋めタイプに比べて雑虫が少なく柔らか過ぎないものが多い砂埋めタイプが好まれる。 |
産卵木 レイシ(霊芝) |
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温室 |
おんしつ |
クワガタを加温飼育するために、熱源と温度調節器を備えた小部屋、又は箱。園芸用の高さ1.8mまでのガラス製ものがホームセンタなどで入手しやすく、クワガタ用として利用されることが多いが、ガラスは意外と保温性が低く、ダンボールや建築用断熱材などを利用して自作した方が、保温性が高く安価なものができる。熱源には園芸用、熱帯魚用、爬虫類用のヒーターが利用でき、これを電子式、又はバイメタル式のサーモスタットに接続して温度調節することが多いが、安全面を重視するなら、爬虫類用の温度調節機能付きのシート状のヒーターがお勧め。この場合、温室内の温度は、爬虫類用ヒーターの設定温度や温室のサイズ、保温性能、室温などに左右されるので、最高最低温度計を使って温度を確認しながらの十分な試運転が欠かせない(どんな温室でも、温度の安定するまでの試運転は、欠かせないのであるが)。一部屋を丸ごと保温して、クワガタ専用の部屋とした場合も概念的には温室と同一のものであるが、このような部屋は「むし部屋」または「クワ部屋」と呼ばれ、温室とは呼ばないことが多い。 |
加温飼育 最高最低温度計 むし部屋 |
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最高最低温時計 |
さいこうさいていおんどけい |
最高温度と最低温度を、自動的に記録しておいてくれる温度計。園芸用のものが3000円〜5000円ほとで販売されているが、熱帯魚を中心とした多目的に利用できる良い製品が、1500円ほどで販売されているので、これがお勧め。最近では、この製品を取り扱っている昆虫専門店もあるので、探してみてほしい。外気温の変化の影響を受け難い安定した環境である水中で飼育するような熱帯魚等の飼育においては必ずしも必要ではないが、外気温の変化の影響をもろに受けるクワガタ飼育における温度管理には必須と考えて良い。 |
温室 |
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サーモスタット |
さあもすたっと |
ヒーターなどにつないで、温度を一定に調節する装置。園芸用のものは精度が高いようだが、高価で入手しづらいため、安価で入手しやすい観賞魚用のものが使用される場合が多い。最近は、爬虫類用のもので、ヒーター自体が温度調節の機能を持ったものが手に入りやすいので、サーモスタットを使用しない人も多いが、厳格な温度管理を求めるなら、必須。 |
温室 |
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霧吹き |
きりふき |
そのまま、霧吹き…。初心者向けの飼育書に、「毎日霧吹きでマットを湿らせましょう。」との記載があるが、この方法では多くの場合水分過剰となり、マットが異常発酵してクワガタを殺してしまうことになりやすい。水分は、足すのではなく、穴あきビニールを挟むなどして、逃がさないことで保持したい。 |
穴あきビニール 異常発酵 |
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ゼリー |
ぜりい |
ゼリー状に固めた、クワガタの成虫のための人工飼料。野生のクワガタの成虫は、樹液を主な餌としている種が多いが、飼育下で天然の樹液を与えることは困難であるため、クワガタの成虫が必要とする成分を研究して商品化されているものが、昆虫ぜりーと呼ばれている。パッケージ以外の見た目は、人間用のゼリー菓子と変わらないように見えるが、甘味料にショ糖ではなくブドウ糖やトレハロースを使用したり、タンパク質やアミノ酸を強化するなど、その成分においては別物である。餌として与える場合、果物よりも腐りにくく長期保存ができることや、小蝿の発生が少ないなどのメリットがある。一般のクワガタ用に16gのタイプが、大型種用に60gのタイプが多く流通している。フタのフィルムを剥がして与える方法が一般的であるが、専用のゼリーカッターなどで2つにカットして与える方法も最近流行りつつある。 |
樹液 ブドウ糖 ゼリーカッター |
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ゼリーカッター |
ぜりいかったあ |
昆虫ゼリーを縦割りにして、2つに切り分ける専用の道具。小さなクワガタがゼリーの中で溺れて死亡する事故を低減する効果がある他、中型以上のクワガタのオスが、大顎をゼリーのカップに突き刺して取れなくなり消耗してしまう事故を防ぐ効果もある。また、大顎の長いクワガタのオスでも、小さなゼリーを最後まで食べきれることも、メリット。 |
ゼリー |
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餌皿 |
えさざら |
餌のゼリーが転倒しないよう、ゼリーをはめ込む穴の開いた木。特に使用しなくても良いが、その下が成虫の隠れ場所になるため、好んで使用する人もいる。自作には太いドリル歯を使用できる旋盤などが必要であるので、一般には昆虫専門店で購入する。ホームセンターなどで販売されているものの中には、穴の径が小さいためゼリーのカップがはまらないものもあるので注意が必要。 |
ゼリー |
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オアシス |
おあしす |
花を生ける時などに使用する、弾力の無いスポンジ状の資材。カッターナイフやスプーンなどで簡単に削ることができるため、人工蛹室の材料として使われる。蛹の活動によって蛹室の内側が削れて蛹に緑色の粉が付くため嫌う人も多いが、明らかにこれが原因と見られる羽化不全や死亡例は今のところ聞かない。一般的なものは緑色のブロック状のもので、園芸店やホームセンターなどで入手できる。 |
人工蛹室 |
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エタノール |
えたのおる |
消毒用のアルコール。エチルアルコールとも言う。アルコールには他にメタノールがあるが、安全面などから、通常薬局などで購入できるのはエタノールである。クワガタ飼育においては、菌床の瓶への詰め替えのときに瓶などを滅菌するために使用する場合もあるが、瓶や器具と手を完全に乾燥させて作業にあたればまずカビたりすることはないため、あまり使用しない。エタノールを使用した場合に瓶や器具にエタノールが残っていると、エタノールの触れた部分の菌糸が死滅してそこから雑菌に負けてカビてしまう可能性があるので、エタノールが完全に揮発してから使用すること。 |
菌糸 菌糸瓶 菌床ブロック |
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シーラー |
しいらあ |
発酵マットなどを小蝿や乾燥から守りつつ保存するため、ビニール袋の口を熱処理して密封する器具。昆虫専門店で販売されている発酵マットなどは、この様な器具で封がしてある。発行マットの自作の他、あまったマット類の袋の口を止めておくためにも便利であるので、一家に1つは欲しいアイティム。昆虫専門店で取り扱っている場合もあり、価格は2,000円〜3000円程度。 |
小蝿 |
採卵 |
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採卵 |
さいらん |
成虫から卵を得ること。ペア又は、交尾済みのメスのみを、それぞれの種類に合った産卵セットに入れて卵を産ませる。産んだ卵は、通常、時期を見計らって、孵化した幼虫で回収することが多い。回収までの期間は種によって、また温度によって異なるが、一般的なオオクワガタの仲間では、産卵セット後1〜2ヶ月程度。ただし、親メスをずっと入れておくと、孵化して成長し始めた幼虫をメスが食べてしまうため、3週間ほど生ませたらメスを取り出して孵化を待つのが一般的。 |
ペア 交尾 割り出し 産卵セット |
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加水 |
かすい |
産卵木やマットに水を加えて湿らせること。「過水」とは意味が異なるので、誤用に注意を要する。産卵木は通常、乾燥した状態で販売されており、湿らせて使用しなければほとんどのクワガタのメスは産卵しない。産卵木を埋め込むためや、幼虫の餌として使用するマットも、乾燥した状態で販売されているものは、同様に加水して使用する。適切な水分量は、クワガタの種類によって異なる。 |
産卵木 マット 過水 |
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過水 |
かすい |
「水分過多」の意で、産卵木やマットに水分が多すぎる状態のこと。加水とは意味が異なるので、誤用に注意を要する。クワガタのメスは、幼虫の生育に適した水分量の環境を選んで産卵する傾向があり、種類ごとに適切な水分量の産卵木などを与えなければ、採卵から孵化までの過程に支障をきたすことがある。水分が少なすぎる場合には産卵に至らないという失敗が多く、水分が多すぎる場合には卵が腐って孵化しないという失敗が多い。 |
加水 |
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交尾 |
こうび |
卵子と精子を受精させるため、オスがメスの体内に精子を送り込むための行為。クワガタの場合は、オスが触角で触れる事により相手が同種のメスかどうかを判断し、さらに口器でメスの上翅や前胸を舐めて最終確認した後、オスは体勢を入れ替えて、メスの交尾器に自分の交尾器を近づけ、後脚でメスの上翅の縁側を擦ってメスの受け入れ態勢を促しながら、挿入に至る。この際、メスの成熟が不十分であったり、メスが既に十分に交尾済みであった場合、メスは後脚を交差するなどして、交尾を拒む。攻撃的なオスが、交尾を拒まれると、交尾行動は攻撃に変わり、メスを挟み殺してしまう事故も発生する。 |
口器 上翅 前胸 後脚 交尾器 メス殺し オス殺し |
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掛かる |
かかる |
交尾が成立し、オスからメスへの精子の受け渡しが完了すること。精子の受け渡しの正否を問わず、オスの交尾器がメスの交尾器に挿入された事実のみを指す場合もある。 |
交尾 |
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追い掛け |
おいがけ |
すでに交尾済みの(または交尾済みと思われる)メスに、再度交尾をさせること。交尾済みであるにもかかわらず無精卵ばかりを産むようなメスや、産んだ卵の孵化率が極端に低いメスに、有精卵を産ませるために行う。最初に交尾させたオスと違うオスを追い掛けする場合、生まれたオスの父親がどちらか解らなくなり系統管理に支障があるため、追い掛けは最後の手段と考える場合が多い。 |
交尾 系統管理 有精卵 |
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ペアリング |
ぺありんぐ |
繁殖のため、オスとメスを交尾させること。国産オオクワガタなどの様に温厚な種類では、オスと雌を同じケースに1週間以上入れて行うが、外国産オオヒラタクワガタなどの様にオスがメスを挟み殺してしまうような種類では、洗面器や大きめのプリンカップなどの中で人間の監視の下行うのが無難。 |
交尾 ハンドペアリング |
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ハンドペアリング |
はんどぺありんぐ |
オスがメスを挟み殺してしまうような種類において、小さなケースの中に入れて人間の監視下で行う交尾方法。本来は、蝶の交雑個体を人為的に作り出すために行われる方法の呼び名で、手に持った雌雄の蝶の生殖器を強制的に交尾の状態に保持することにより、交尾を完了させる方法であるが、クワガタにおいてはそれほど強制的ではないため、この呼び方を不適当とする意見も多い。ネーミングセンスがイマイチではあるが、「強制お見合い」といったところが、その実態を反映していて妥当ではないかと考える。 |
交尾 |
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セット |
せっと |
産卵用のケースに、メスのみか、オスとメスを入れること。または、そのケースのこと。ケースに産卵に必要なものを配置すること。または、配置したケースのこと。 |
産卵セット |
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マット産み |
まっとうみ |
産卵木には産卵せずに、マットに産卵する産卵形態のこと。カブトムシのほとんどや一部のクワガタはマット産み。アンタエウスオオクワガタなど、マットと産卵木の両方に産卵するクワガタも多い。 |
マット 産卵木 |
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材産み |
ざいうみ |
マットのみではほとんど産卵せず、産卵木に産卵する産卵形態。多くのクワガタが、この産卵形態をとる。 |
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割り出し |
わりだし |
クワガタのメスに産卵させた産卵木を割って、幼虫又は卵を取り出すこと。産卵木から早期に割り出して個別に菌糸瓶などの栄養価の高い餌で飼育する事により、大型成虫の羽化が期待できる。産卵木の中でそのまま育てる事も不可能ではないが、その場合、過密飼育のため、極端な小型個体ばかりが羽化する事になる。 |
産卵木 菌糸瓶 |
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掘り出し |
ほりだし |
マット生みのクワガタの卵や幼虫を、産卵セットのマットの中から取り出す作業。掘り出す理由とタイミングは、割り出しとほぼ同じ。 |
割り出し |
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産卵セット |
さんらんせっと |
産卵に必要なものを配置して、あとは種親を入れるばかりとなったケース。クワガタの種類ごとにセット方法は異なり、材生みの種類やマット生みの種類など、それぞれの生態に応じたセット方法が必要。 |
産卵木 埋込マット プラケース 衣装ケース |
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無精卵 |
むせいらん |
受精していない卵。発生が進む事はなく、ただ腐るのを待つのみ。交尾が成立しても、必ずしも有精卵を生むとは限らないのは、体内授精をする動物には共通の現象。原因としては、単に交尾が完全には成功していなかった場合や、種親として使用したオス又はメスの成熟期間が足りず、成熟しきっていなかった場合などが考えられる。大抵の場合、無精卵であれば、生まれて数日で黒くなったりしぼんでしまったりするが、中には、1ヶ月以上経っても白くて丸く、生きているような姿を保つ場合もあり、生まれた卵が有精卵か無精卵かの判断には、熟練を要する。 |
有精卵 |
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有精卵 |
ゆうせいらん |
受精済みの卵。環境が適切な範囲内であれば、発生が進んで孵化に至る。クワガタのメスの場合、交尾後1年以上の間、体内で精子を保存できるため、今年交尾したメスは、来年も有精卵を生むことが出来る。 |
無精卵 |
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若齢 |
じゃくれい |
初令幼虫と2令幼虫の時期をまとめた呼び方。この時期は、3令幼虫と比べて、新しい環境に適応する力が強く、また、3令幼虫と違って、頭幅などまだまだ成長の可能性をもった状態であるため、3令幼虫とそれ以外の幼虫とを区別した言い方をするものである。 |
初令 亜終令 1令 2令 |
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初2令 |
しょにれい |
若齢と同じ意味で、初令と2令をまとめた呼び方。「初令」ときたら、「2令」ではなく「亜終令」を組み合わせるべきだと思うのだが…。「初亜終令」、「1・2令」、どちらもゴロが悪いと言うことか? |
初令 亜終令 1令 2令 |
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エサカブト |
えさかぶと |
産卵のための栄養補給として、クワガタのメスに与えるカブトムシの蛹。クワガタのメスは、産卵のために多くの蛋白質を消費するため、幼虫時代に蓄えた分では足りなくなってしまう場合がある。このような場合、生まれてくる卵が弱く小さいものになったり、自分の子である孵化した幼虫を食べて栄養を補おうとしたり、時には「オス殺し」が発生したりするため、カブトムシの蛹を蛋白源として与えてこれらの蛋白質不足による弊害を防ぐもの。それ専用の特別なものではなく、普通の国産カブトの蛹を、こう称して販売しているものである。カブトムシに限らず、クワガタなどの蛹でも同様に使用できる。また、蛹ではなく幼虫を与えた場合には、幼虫がマットの中に逃げ込んでしまったりして、クワガタのメスが摂取できない場合があるため、やはり自らは動き回れない蛹の状態で与えるのがよいようである。ただし、クワガタ愛好家の中には、「虫に虫を食べさせるなんて、可愛そう!」と、蛹を与える事に嫌悪感を抱く人もいるので、あまり親しくないクワ仲間には、安易に「エサカブトを与えている」とは言わない方が無難かもしれない。 |
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成熟期間 |
せいじゅくきかん |
クワガタが羽化してから、正常な交尾・産卵行動をとれるようになるまでに必要な期間。クワガタの成虫は、羽化直後から生殖能力があるわけではなく、ある程度の期間は、体の中が完全には生殖に適した状態に完成していない期間がある。この期間は、クワガタの種類やその個体の大きさなどでまちまちであり、短いもので数週間、長いものでは1年近く必要なものもいる。 |
羽化 交尾 |
幼虫育成 |
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餌交換 |
えさこうかん |
幼虫を育てるための菌糸瓶などの中身がある程度食べられてしまったときに、新しい菌糸瓶などに幼虫を入れ替える作業のこと。ゼリーなど成虫のエサの食べ残しを、新しいものに交換する事を指す場合もある。幼虫の餌交換の場合、新しい瓶に入れ替えることから、「瓶交換」又は「瓶換え」と言う場合もある。 |
菌糸瓶 ゼリー |
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餌交換のタイミング |
えさこうかんのたいみんぐ |
クワガタ幼虫の餌は、瓶に入った菌床などであり、それは餌であると同時に幼虫の生活環境の全てであり、飼育下の幼虫にとっては世界そのものであると言っても過言ではない。したがって、餌として与える菌床などは、餌としての栄養価の必要量を満たしていることのみならず、快適な環境であるための条件をも満たしている必要がある。幼虫の餌としての菌床や発酵マットなどの中の温度・湿度・酸素量などの環境は、その中で生きている菌やバクテリアなどの微生物の活動に左右され、常に一定ではないため、内部の環境が幼虫の成長(時には生存にも)に適さなくなる場合がある。例えば、@菌の活動により木質が蓄えていた水分が排出されて内部の湿度が上昇し過ぎた場合、A菌が保持しきれなかった水分が空気中に発散されて菌床が乾燥しすぎた場合、B菌糸の活動が弱まって他の微生物の活動が活発化したため菌床の腐敗が進み酸欠の状態になった場合、C菌などによる分解が進み、菌床の栄養価が低下し過ぎた場合などである。このような場合には、新しい菌糸に幼虫を入れ替える必要がある。また、D幼虫が餌を食べつくしてしまった場合にも、その必要があるのは当然のことである。これら@からDのうちどれかの状態が発生した時には餌交換をする必要があるのであるが、大型個体の羽化を望むのであれば、これらのどれかが発生する少し前に餌交換を実施する必要がある。要は、幼虫にストレスを与えてしまう前に、餌を交換してしまうと言う事。では、幼虫の餌交換は、早ければ早いほど良いのかと言うと、そうではない。クワガタの幼虫は、菌などによってある程度分解された木質を、体内の共生バクテリアなどと混ぜて坑道内に蓄えて、さらに吸収可能な状態にまで分解されるのを待ってから摂取することによって、効率的に栄養素を吸収している。この傾向は、土中の微生物による木質の分解が期待できない立ち枯れを好むオオクワガタなどにおいて特に顕著であり、餌交換が早すぎると、木質の栄養を十分に分解・吸収できないまま、新しい餌に交換されてしまい、十分な成長ができない結果となる。したがって、餌交換と餌交換の間隔は、ある程度の長さが必要なのであり、具体的には、オオクワガタの菌瓶飼育で最低2ヶ月はほしい所である。この間に、前述の@〜Dの交換しなければならない状態のどれかか発生しそうな場合には仕方なく交換し、2ヶ月以上経過して何の問題も無いように見える場合は、もう少しまってから交換するのである。このような、交換を要する時期の到来は、飼育部屋の温度と湿度、菌床やマットの銘柄、クワガタの種類、幼虫の個体差、幼虫の大きさに対する瓶の大きさのバランスなど、多くのものに影響されるため、一概に何ヶ月とは言えず、飼育者各人の十分な観察と考察による的確な判断によっていただくしかない。特に、Cについては、見た目では判断できないため、1つの銘柄の菌床やマットを同じ環境で何度も使用して、経験を積んで判断する必要がある。よく、「生き物の飼育にはセンスが必要」と言われるが、「センス」とは、なんとなくできてしまうことではなく、観察による膨大なデータの蓄積と、そのデータに基づく綿密な考察による的確な判断なのであり、その判断までの過程が自然にできてしまう人を「センスの良い人」と言うのではないか。 |
食痕 餌持ち |
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仕上げ瓶 |
しあげびん |
幼虫飼育に使用する菌糸瓶などのうち、蛹室を作成させ、最後の瓶にする予定の瓶のこと。3令後期から羽化までの長期に渡って使用される瓶である上、蛹化・羽化と言う非常にデリケートな期間を過ごす瓶でもあるため、中の菌床などの劣化は致命的である。したがって、劣化までの期間を引き延ばし蛹室内の湿度過多を防止するため、水分量・添加物量ともに少なめで、なおかつ、十分な大きさの蛹室が作成できるよう、瓶の直径に余裕のあるものが求められる。 |
餌交換のタイミング 羽化不全 |
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捨て瓶 |
すてびん |
あまり食べずに、すぐに蛹化してしまうのを覚悟の上で、成熟しきった終令幼虫を投入した瓶のこと。熟しきってこれから蛹化しようと言う段階に達したときに、瓶の中の菌床が劣化し始めてしまう最悪のタイミングとなった場合、餌交換をしても、最後の瓶の菌床は殆ど食べられる事無く無駄になってしまうが、餌交換をしなければ羽化不全は免れないと言う、苦渋の選択を迫られる。菌床が比較的安価になった近年においては、迷わず、捨て瓶となるのを覚悟で餌交換をする場合が多いが、菌床が高価であった時代には、重大な悩みどころであった。この様な、最後の瓶が捨て瓶となってしまうような状態は、それまでの餌交換のタイミングの失敗の最たるものであり、何とか避けたいものである。 |
餌交換のタイミング |
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居食い |
いぐい |
瓶の中のクワガタの幼虫が、瓶の中で殆ど移動せずに一箇所に留まって、自分の周りの餌を食って自分のいる空間を食い広げる様にして成長していく食い方。通常、クワガタの幼虫は、瓶の内壁面に沿ってある程度移動しながら食べ進むため、幼虫の成長振りを観察できるが、「居食い」の状態に入られてしまうと、幼虫の姿が確認できないことが多く、餌交換のタイミングが取りにくい。しかし、「居食い」の状態は、幼虫にとって栄養の摂取効率が非常に良いらしく、初令で菌糸瓶に投入してから一度も姿を見なかった瓶から、特大の幼虫が転がり出てくる事が多い。これがまさに「居食い」の状態であり、瓶の中の方に大きな空間を作って、その周りの菌床を真っ黒になるまで食って、外からは見えないところで大きく成長していたのである。 |
餌交換のタイミング |
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暴れる |
あばれる |
クワガタの幼虫が落ち着いて餌を食べずに、ぐるぐると移動ばかりすること。このような場合には、あまり成長せず、体重が減っていくことも多い。一般的にクワガタの幼虫は、餌の状態に満足していれば、あまり瓶の中を動き回らず、底の方からじっくり上の方へ食べていくものであるから、暴れる状態の場合、幼虫が気に入らない何らかの要素があるものと思われる。最も多いのは、菌糸瓶が作成後日が浅く、菌がまだ活発に活動している状態にあるため、酸素を消費し、微妙に発熱していることによるものである。これが原因である場合には、少しだけ温度の低い場所に移動して菌糸の活動を抑えるとともに、瓶を逆さにして空気より重い二酸化炭素を排出しやすくすることにより、改善されることが多いが、根本的対策としては、十分熟成した菌糸瓶に入れ替えることである。また、菌の種類や、配合されている添加剤の質や量が気に入らないことも考えられ、この場合は、別の餌に取り替えるか、諦めて小さな成虫の羽化を待つかのどちらかであろう。幼虫にも個体差があり、一部の個体が暴れているのは良くあることであるが、ほとんど全ての個体が暴れている場合には、共通した原因があるはずであり、的確な対策を講じることにより、改善は可能である。 |
菌糸瓶 |
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ワンダリング |
わんだりんぐ |
「暴れる」と同義と思われる。北海道ではあまり耳にしない言葉であり、本州方面で使用されている言葉か?登山家の用語が起源であるとの情報あり。 |
暴れる |
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食い荒らす |
くいあらす |
「暴れる」とほぼ同義。「暴れる」が餌をほとんど食べていないイメージであるのに対して、「食い荒らす」は落ち着かないながらもとりあえず成長していくイメージであり、ニジイロクワガタが菌床で育つ様はこのイメージに近い。 |
暴れる |
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餌持ち |
えさもち |
幼虫の餌としての菌糸瓶などの、交換時期までの期間の長さ。幼虫の餌として使用する菌床や発酵マットは、菌類やバクテリアなどの生物がマットの原料である木質を分解している途中の状態のものであるから、いつまでも同じ状態が保たれるわけではなく、分解が進めばいつかは幼虫の餌として適さない状態となる。この、幼虫の餌として適さなくなるまでの期間が長いもの、言い換えれば、幼虫の餌として適した状態の長く保たれるものを、餌もちの良い餌と言う。クワガタの幼虫は、餌交換の時に瓶から掘り出されてしまい、さらには、新しい餌と言う今までとは大きく異なった環境に入れ替えられてしまうため、餌交換そのものがストレスとなったり、新しい餌に馴染むまでの間に痩せてしまったりするため、餌交換の回数は、なるべく少ない方が良いとされている。しかし、前述の理由により、菌床も発酵マットも、ほとんどのクワガタが成虫になるまでの間に、何回かの交換をしなければならない。したがって、交換のサイクルをなるべく長くできるよう、餌持ちの良い餌が求められるのである。クワガタの幼虫飼育の鍵は、自分の使用する餌の餌持ちを如何に性格に把握し、如何に適切な時期に餌交換を実施できるかに懸かっていると言っても過言ではない。 |
劣化 餌交換 餌交換のタイミング |
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菌カス |
きんかす |
菌糸瓶などでクワガタの幼虫を飼育した後に残った、食べ残した菌床と糞や食痕の総称。砕いてマット状にして、クワガタやカブトムシの幼虫飼育に再利用する。クワガタの幼虫に与える場合は、異常発酵を防ぐため、一度乾燥させてから発酵マット作成の材料の一部とする使い方がお勧め。カブトムシには、カブト用のマットに混ぜ込んで、1週間以上異常発酵しないか様子をみてから使用する。いずれの場合も、菌カスの中に発生しているダニが、多かれ少なかれ新しい餌に移るため、使用を嫌う人もいる。 |
異常発酵 |
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人工蛹室 |
じんこうようしつ |
人間が作った蛹室。クワガタが自分で作った蛹室が、崩れてしまったり、湿度過多になってしまった場合に、前蛹や蛹を移して羽化させるために使用する。マットや土で作る場合もあるが、最近はオアシスかティッシュペーパーを使って作るのが一般的。木製のものやウレタンを使用したものなどが、専門店で販売されている場合もある。 |
蛹室 羽化不全 オアシス |
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菌詰め |
きんつめ |
ブロックの状態の菌床を、瓶やカップに詰め替える作業。菌瓶の持ちを良くするため、ある程度キツク詰める必要があるため、クワガタ飼育における作業の中では、非常に重労働であり、資金に余裕があるのであれば、完成した菌糸瓶の状態で購入するなどしてなんとか避けたい作業。水分多めの菌床ブロックであれば、さほど大きな力でなくても、しっかり詰めることができるが、水分少なめのものだと、きつく詰めるのは非常に重労働である。詰め替えにあたっては、全ての道具を完全に乾燥した状態にしておく事。少しでも湿った道具で菌床を触ると、カビの原因になる。特に、人間の手は、菌床に接するものの中で最も不潔なものであるから、よく洗って完全に乾燥させておく必要がある。詰め替えに使用する道具を、消毒用のエタノールで滅菌してから使用する慎重派も多いが、この場合も、少しでもエタノールが残っていると、カビの原因になり、かえって逆効果となるので、完全にエタノールが蒸発してから使用すること。冬の間は空気中にカビなどの胞子が少なく、また、気温が低めでカビよりもヒラタケ菌などの活動適温に近いいため、ほとんど失敗することは無いが、夏場は注意が必要。 |
菌床 菌床ブロック エタノール ヒラタケ |
系統管理 |
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系統管理 |
けいとうかんり |
別稿参照 |
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F |
えふ |
別稿参照 |
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F1 |
えふわん |
別稿参照 |
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F0 |
えふぜろ |
ワイルド個体のメスから、持ち腹で得られた子のこと。又は、材割採集で得られた幼虫を育てて成虫にした個体のこと。どちらをこう呼ぶかは業者やブリーダーごとにまちまちで、共通した認識が確立していないため、表記としては曖昧で、あまり役に立っていない。(→F1 別稿参照) |
持ち腹 WF1 |
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WF1 |
わいるどえふわん |
持ち腹で得られた子のこと。又は、両親ともにワイルドであることを保証できるF1個体のこと。どちらをこう呼ぶかは業者やブリーダーごとにまちまちで、共通した認識が確立していないため、表記としては曖昧で、あまり役に立っていない。(→F1 別稿参照) |
F0 持ち腹 ワイルド |
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持ち腹 |
もちばら |
野外で採集したワイルドのメスが、飼育下で交尾せずに産卵すること、又は、それによって生まれた子のこと。飼育下でオスと交尾させていないことから、野生状態でオスとメスが出会った自然な状態での交尾による産卵である点に着目して、通常のF1個体よりも価値の高いものとして、区別して扱われることが多い。オオクワガタなど寿命の長いクワガタのワイルド個体のペアを入手したような場合、オスは単独で翌年まで大切に飼育しておいて、とりあえずメスのみをセットし、持ち腹で採卵して得た子供を育て、翌年、ぺアの片割れのワイルドオスと交配して、血が濃くなるのを防いだり、変異の多様性を引き出したりすると言うテクニックもある。(→F1 別稿参照) |
ワイルド 血が濃くなる |
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ワイルド |
わいるど |
野生からの採集個体のこと。成虫で採集した個体のみを指すこともあり、その場合には幼虫で採集したものを飼育下で羽化させた個体は除かれる。ワイルド個体に内在する遺伝的多様性に、改良品種作出のための種親としての価値を見出そうとする熱帯魚やハ虫類の業界では、成体での採集個体と幼体での採集個体を区別して呼ぶことは少ないが、品種改良と言う楽しみ方がまだ一般的ではないクワガタ飼育の業界では、幼虫の飼育環境が成虫の形態に与える影響の方を重視して、これを区別して扱う場合が多い。(→F1 別稿参照) |
CB WC |
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W |
わいるど |
「ワイルド」の、略号。 |
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WC |
だぶりゅうしい |
Wild
Caughtの略で、野生からの採集個体のこと。爬虫類などの業界において古くから使用されている「CB」と対になる用語であるが、クワガタなどの業界では、「ワイルド」または「W」と表記され、ほとんど使用されてない。 |
CB ワイルド |
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天然物 |
てんねんもの |
「ワイルド」と同義。「天然個体」とも言う。「天然記念物」と言葉のイメージがダブることを利用して、より価値の高いものとの印象を与えるため、商業的に使用されはじめたものであろう。 |
ワイルド |
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CB |
しいびい |
Captive
Breedの略で、飼育下での繁殖個体のこと。爬虫類などの業界において古くから使用されている用語であるが、クワガタなどの業界では、あまり定着していない。F1、F2、F3などの累代数の定かではない個体をまとめて呼ぶ場合や、産地不明の人工繁殖個体を呼ぶ場合には用いられることもある。 |
WC ワイルド |
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ブリード物 |
ぶりいどもの |
飼育下での繁殖個体のこと。CBと同義。 |
CB |
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ブリード |
ぶりいど |
飼育下で繁殖させること。又は、それによって得られた個体のこと。 |
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累代数 |
るいだいすう |
広義では、飼育下における累代飼育によって重ねた世代の数。狭義では、単一の種親からインラインブリードによって重ねた世代の数。一般に「累代数は?」との質問に、「F2です」のように答える。この数え方には様々な考え方があり、ブリーダー各人の累代飼育に対する価値観に大きく左右されていると思われる。具体的には、@人為的に組まされたペアよりも、自然の力により運命的に結び付けられたペアから得られた子の方に価値を見出す人、A種親の選別など、飼育下での計画的な系統管理によって、安定した形質が約束された個体に価値を見出す人、Bインラインブリードによって血が濃くなることを嫌い、なるべく遠い血統での交配に価値を見出しつつも、同一産地の個体同士の交配にこだわる人、C飼育下で代を重ねることによって、菌床飼育などの飼育下での特殊な環境に馴染んで、飼育しやすく、かつ、大型化が期待できるようになった系統に価値を見出す人などである。@とAの人は、「人為的な交配回数」に着目し、持ち腹で得られた子をF0として、その子をF1とする場合が多く、BとCの人は、「飼育下での世代交代の回数」に着目し、持ち腹で得られた子であってもF1として、その子をF2とする場合が多い。また、@とBの人は、累代数が少ないものの方を高く評価し、AとCの人は、累代数が多いものの方を高く評価する傾向にある。また、これ以外にも、D他人の手による累代飼育を経た系統を嫌い、あくまでも、ワイルド個体からの自分自身の手による累代飼育にこだわる人や、E幼虫を飼育により羽化させた個体は、たとえそれが幼虫採集個体であろうとも、本来野生のままで羽化した場合の成虫と同じ形にはなり得ず、この傾向は、累代を重ねる毎により顕著になっていくと考える人など、人の価値観は数限りなく存在し、多くの場合、互いに譲歩しないものであるから、差別化により新たな価値を見出すための物差しとして自然発生してきた累代数の数え方に、統一を求める事自体、無理と言うものなのかもしれない。(別稿参照) |
累代飼育 F0 インラインブリード 系統管理 スパテク本 |
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累代飼育 |
るいだいしいく |
飼育する動物に世代交代をさせながら、何世代かにわたって飼育すること。「インラインブリード」と混同している人が多いが、「インラインブリード」は他の系統と掛合わせること無く累代飼育をすることであり、何処かの時点で他の系統を交配すればそこで途切れてしまうものであるのに対し、「累代飼育」は、他の系統を交配しながら進めていく場合もあり得るものであり、区別して使用する必要がある。 |
インラインブリード |
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インラインブリード |
いんらいんぶりいど |
単一の親からの子孫のみで累代飼育を続けること。兄弟姉妹又は親子の関係にある雌雄のみを交配していく場合に限って、こう呼ぶ場合が多い。これに対して、常に別系統の雌雄を交配して続ける累代飼育を、ハイブリットブリードと呼ぶ場合もある。 |
累代飼育 |
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近親交配 |
きんしんこうはい |
同一系統内の雌雄を交配すること。どの程度近ければ近親交配と呼ぶかの明確なラインは存在しないが、一般には、兄弟姉妹同士の交配や、親と子の交配は、明らかに近親交配と呼んでいる。血が濃くなることによる悪影響があるため、なるべく避けたいと考える人が多いが、少ない種親からの系統維持の必要性から、頻繁に行われている。また、劣性遺伝による潜在的形質が現れやすい交配方法であるため、品種改良を行おうとする場合には必ず利用される交配方法でもある。稀に「近親相姦」との表現が見られるが、「交配」は子が得られなければ不成立に終わるものであるのに対して、「相姦」は行為のみで完結するものであって同義語ではない。また、「近親相姦」は倫理的な意味合いをも含ませた表現であり、「ヒト」以外の交配に使用するのは一般に誤用であって、恥ずかしいので注意したい。 |
血が濃くなる 劣性遺伝 |
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血が濃くなる |
ちがこくなる |
インラインブリードを続けることにより、遺伝子の多様性が失われること。劣性遺伝によって隠れていた形質が、望ましいものも望ましくないものも発現してくる確立が増す現象であり、血液の濃度が上がることではない。少ない種親から好ましい形質を固定するためには、インラインブリードは避けて通れない手法であるが、望ましい形質が固定できる反面、同時に、望ましくない形質も発現・固定されてしまうことになり、これが、個体の矮小化や産卵数の減少、孵化率の低下や羽化不全の多発などの形で現れたと考えられる事例も多い。この傾向は、強い飛翔力に基づく高い移動能力を持つため野生の状態において近親交配が起こり難いと思われる種において顕著であり、もともと野生の状態では起こりえない様な何代にも渡る近親交配に耐える力を、種として持ち合わせていないためなのではないか。これに対して、オオクワガタのようにあまり飛翔性が強くなく何年も同じ樹洞に住む様な種においては、インラインブリードの弊害と思われる事例は比較的少なく、野生の状態においてもある程度の近親交配が起こっているため、種としてこれに耐える能力を持っているものと考えられる。(生物の形態等を子孫に伝えるため親から子へ受け継がれるものは、血液ではなく遺伝子であるから、この言い回しは、遺伝子と言うものの存在がまだ知られていなかったころの遺物であり、現代における使用はあまり好ましくないと考える。) |
劣性遺伝 血の入れ替え |
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血の入れ換え |
ちのいれかえ |
インラインブリードの系統に、他の系統のオスまたはメスを交配して、血が濃くなるのを防ぐこと。輸血をすることではない。単に、累代飼育を継続していくことが目的である場合には、近親交配による弊害を防ぐため、血の入れ替えを行ったほうが良いとされるが、インラインブリードによって、ある特徴を固定しようとしている場合などにあっては、血の入れ替えをすると、遠回りになってしまうため、なるべく避ける必要がある。 |
劣性遺伝 血が濃くなる 固定 |
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異種交配 |
いしゅこうはい |
別の種の雌雄を交配する事。オオクワガタとコクワガタを交配する場合などがこれにあたり、種同士の類縁関係の研究に役立つ。インドアンタエウスとタイアンタエウスとの交配などは別種の交配ではないから、これを異種交配と呼ぶのは誤り。 |
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ハイブリット |
はいぶりっと |
一般に、それぞれ性質の異なった二つ以上のものから、それぞれの好ましい性質を受け継いで完成した、より高次元のものを指し(例えば、ガソリン車の良いところと電気自動車の良いところを合わせて完成したハイブリットカー)、単に二つ以上のものを合わせただけのものの意味ではない。しかしながら、クワガタ飼育業界においては、産地の違うオスとメスとを掛け合わせて生まれた子のことを指す誤った用法が定着しかけている。この業界には、「産地の違うオスとメスとを掛け合わせることは、ある産地の特徴的な形質を後世に伝える貴重な純血個体を損失させる行為であり、これによって生まれた子は価値のないもの又は価値の低いものである。」とする風潮が根強く、実際にこのような個体は、雑種・ハイブリット・CB・産地不明個体などと呼ばれ、産地の明らかな純血個体よりも数段低い価格で取り引きされている。しかし、本来のハイブリットとは、元になった親よりも優れた性質をもって生まれたもののことであるから、「能勢産のメスに佐賀産のオスを掛けたら、頭と前胸が太くて顎がすらりと伸びた、能勢産にも佐賀産にも見られない、非常にカッコ良くしかも大型化する傾向の強い系統が得られた。」と言うような評価をする場合は、これをハイブリットと呼んで間違いないが、「能勢産のメスに佐賀産のオスを掛けちゃったので、能勢産とも佐賀産ともつかない中途半端なオオクワガタになってしまい、産地不明国産オオクワガタとして安く売るしかない。」と言うような評価をする場合は、これをハイブリットと呼ぶのは、本来的には誤りである。 |
雑種 CB 産地 |
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HB |
えいちびい |
ハイブリットの略。 |
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雑種 |
ざっしゅ |
狭い意味では、別種であるオスとメスの間に生まれた子のことを指す(例えば、オオクワガタとコクワガタの雑種)が、広い意味では、別々の亜種や別々の改良品種間に生まれた子を指す場合もある(例えば、雑種犬と呼ばれる犬は、犬という同種内のちがう品種を交配して生まれたもの)。クワガタ飼育業界においては、別種または別亜種ではなくても産地の違う同種で同亜種のオスとメスとの間に生まれた子のことも雑種と呼ぶ傾向があるが、厳密な意味では、この用法は誤りであると言わざるを得ない。しかし、今まで同じ亜種とされていた2つの産地の個体群が、実は亜種として分類できるものであったとして分類の考え方が変るのは、昆虫の分類の世界では日常茶飯事であり、「もしかしたら、将来別の亜種(または別種)となるかもしれないと言う可能性を考慮して、一応、分けて系統管理しておいた方が懸命だな。」と言う考えに起因するのならば、この用法を誤りとして一概に否定してしまうのも、酷と言うものかもしれない(はたして、どれほどの飼育家がそこまで考えて、言葉を使い分けているだろうか?)。この用法を誤りとして嫌う人達の中には、産地の違う同亜種のオスとメスとの間に生まれた子のことを「ハイブリット」と呼ぶようにしている向きもあるが、これも「ハイブリット」の本来の意味から外れた用法である。 |
ハイブリット 交雑種 産地 |
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種親 |
たねおや |
累代飼育のもとにするための成虫。ワイルドのメスのみの場合と、ワイルド又はCB個体のペアの場合がある。近年は、大型個体や美形個体作出のため、種親には、大型個体や美形個体が求められる傾向にある。 |
ワイルド CB |
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産地ラベル |
さんちらべる |
その個体、又は、その個体の種親の採集地名のこと。採集地の明らかな個体を、「産地ラベル付き」と言い、産地不明個体よりも高値で取引されることが多い。近年は、国名や県名のみならず、最小行政区画名称や、山の名前、林道の名前など、極狭い範囲に採集地を限定できる個体がもてはやされる傾向にあり、このような細かい産地のことを、「詳細産地ラベル」と言う場合もある。専門店やネットオークションなどで販売されている個体には、詳細産地ラベルが表示されていないものも多いが、産地に採集者が集中するのを避けるための配慮である場合も多く、購入者には教えてくれる場合もあるので、購入に当たっては、販売広告に表示されていない詳細産地を聞いてみるのが良い。 |
ラベル 種親 林道 最小行政区画名称 |
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産地マニア |
さんちまにあ |
産地ラベルにこだわって、同じ種のクワガタの各産地ラベル付きの個体を集める人のこと。産地を偽って法外な額を騙し取ろうとする悪質な業者のカモになる人もいるが、個体の形を見ただけで詳細な産地を言い当てる、いわゆる「目利き」である人も多い。このような人のクワ部屋に遊びに行ったときに、「これが何処産で、これが何処産」と解説された場合、けして「全部同じに見えますが…」などと口にしてはいけない。 |
産地ラベル |
トラブル |
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落ちる |
おちる |
死んでしまうこと。鳥の飼育家が使用しはじめたとされる言い回しで、鳥が死んだ時に止まり木からポトリと落ちる様子からきたもの。クワガタ飼育を含め、鳥以外の飼育の場面でも使用される場合がある。標本作成などのため意図的に殺したのではなく、大切に飼育していたにもかかわらずに死亡してしまった場合に用いることが多い。「★になる」とほぼ同義。 |
★になる |
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★になる |
ほしになる |
死ぬこと。「落ちる」と同様に、標本作成などのため意図的に殺したのではなく、大切に飼育していたにもかかわらずに死亡してしまった場合に用いることが多い。標本にする気もなく、大切にもしていないものが気づいたら死んでいた場合にも用いるが…。主に電子掲示板など、ネット上での発言において使用され、実社会で使用する人は少ない。 |
落ちる 絞める |
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異常発酵 |
いじょうはっこう |
クワガタの幼虫の餌や成虫の床として使用しているマットの中の微生物が急激な活動を始め、発熱や酸欠などクワガタに悪影響を与えるほどの発酵を起こすこと。その現象自体は、発酵マットの作成過程における発酵と何ら変らないものであるが、飼育者の思惑と違った場面で起きたがために、「異常」の2文字が付いてしまう。人間にとって有益なものを「発酵」と呼び、有害なものを「腐敗」と呼ぶのであるから、発酵が異常であれば、本来それは腐敗と呼ぶべきなのであろうから、「異常発酵」とは、何とも奇妙な言い回しである。「何事も、TPOを考えて」と言う教訓であろう(・・・違うか?)。 |
発酵 発酵マット |
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再発酵 |
さいはっこう |
発酵・熟成の過程を経て完成したはずの発酵マットが、再び発酵を始めてしまうこと。十分に発酵しきったように見える発酵マットも、水分を加えたり暖かい部屋に移動したりした場合には、再び発酵を始める場合がある。発酵マットをクワガタの幼虫飼育に使うにあたっては、水分量と温度を幼虫を実際に飼育するときの状態にしてから、1日程度は再発酵しないか様子を見る必要がある。 |
発酵 発酵マット |
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酸欠 |
さんけつ |
空気中の酸素濃度が減少し、クワガタの呼吸に支障を来たすこと。幼虫飼育中のマットの再発酵や、成虫飼育中の床に餌ゼリーの水分が染み込んで異常発酵を起こす場合など、微生物の活動によって酸素が急激に消費されてしまう場合と、夏場のケース内の蒸れによって、水蒸気が空気自体の濃度を下げてしまう場合とがあり、いずれの場合も温度の上昇を伴うため、クワガタ自体の酸素要求量が上がっている事とあいまって、死亡に至るケースも少なくない。 |
再発酵 異常発酵 |
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羽化不全 |
うかふぜん |
羽化に失敗して、完全な成虫に成れないこと。原因も態様も様々であり、そのまま死に至る事も多い。軽度で比較的頻繁に見られるものに「羽パカ」があり、重度な例としては羽がぐしゃぐしゃになり腹が剥き出しになるものなどがある。ディンプルも羽化不全の一種であるとされる場合もある。羽化不全の原因としては、高温、低温、前蛹から蛹の期間に与えた振動、蛹室内の蒸れ、酸欠、蛹室の崩壊、菌床や発酵マットの劣化、瓶の径の不足による小さな蛹室、幼虫時の栄養のアンバランスなどが挙げられる。 |
羽化 羽パカ ディンプル |
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羽パカ |
はねぱか |
代表的な、羽化不全の一形体。上翅が完全には閉じず、間が開いたまま固まってしまう状態。開きの程度が少なく後翅さえ完全に折りたたまれていていれば、生存・繁殖に支障の無い場合が多く、羽化不全としては「不幸中の幸い」の部類に挙げられる。幼虫時の栄養過多により腹部がアンバランスに大きくなった場合や、羽化の過程でうつ伏せになるべき場面にうつ伏せになれなかった場合に発生しやすいと言われるが、後翅を折りたたむのに失敗し、これが上翅に引っ掛かった状態である程度上翅が固まってしまってから後翅の格納に成功した結果、羽パカ状態が発現することもある。 |
羽化不全 |
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ディンプル |
でぃんぷる |
一般には「えくぼ」の意であるが、クワガタ飼育においては、クワガタ成虫の前胸や頭部等にできる凹みの事を指す。ワイルド個体よりもブリード個体に多いため、不完全な飼育環境に起因する羽化不全の一種と考えられている。マット飼育よりも菌床飼育の個体に比較的多く発生するようであり、また、蛹の時期の環境が高温・多湿であると発生率が上がるように思われる。発生率の高い系統も存在するようで、全て後天的な原因のみによるものではなく、遺伝的にディンプルの発生しやすい個体群が存在する可能性も否定しきれない。オオヒラタの大型個体に多く見られる顎に生じる窪みも、これに含めて考えることもある。 |
羽化不全 |
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脱走 |
だっそう |
クワガタが、ケースから逃げてしまうこと。脱走したクワガタのメスは、他の脱走個体と取り違えてしまう可能性があり、また、脱走していた他のオスと交尾してしまっている可能性もあるため、厳格な系統管理の面から考えると、繁殖の種親として使わない方が無難。 |
系統管理 種親 |
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不明幼虫 |
ふめいようちゅう |
ラベルの貼り忘れや脱落などにより、何の幼虫だったか分からなくなってしまった幼虫。成虫になれば明らかに種の同定ができるものなら良いが、極似通った複数の種、又は亜種を飼育している場合、不明幼虫を出してしまうと、その個体は種親として使用できない。複数の種の割り出しを同じ日に行わないことや、ラベルの貼り忘れに注意するなどして、不明幼虫を出さないよう、心がけたい。 |
同定 ラベル |
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小蝿 |
こばえ |
クワガタの飼育ケースなどに発生する小さなハエの総称。ショウジョウバエとクチキバエに大別できる。どちらも、何処からとも無くやってき来て繁殖してしまうので、各飼育ケースへの出入りを阻止して、なるべく繁殖させない様にしたい。プラケースには穴あきビニールを挟んでガードし、幼虫を飼育している瓶には必ずフィルターを挟むようにして防ぐ。また、クリアシールドやコバエシャッターといった、ケースへの小蝿の出入りを防ぐ商品を利用する方法もあるが、ある程度の数のクワガタを飼育している場合、完全な撲滅はほぼ不可能と考えて良い。「諦めて、慣れる。」と言うのが、最も有効な対策か・・・。産卵ケースや幼虫飼育中の瓶にこれらの幼虫が発生した場合、卵や幼虫に危害が及ばないか心配になるが、明らかに小蝿の幼虫がクワガタの卵などに危害を加えたと思われる事例は無いように思われる。 |
ショウジョウバエ 朽ち木蝿 発酵マット 菌糸 菌床 プラケース クリアシールド コバエシャッター 穴あきビニール |
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ショウジョウバエ |
しょうじょうばえ |
果物を食べて育つハエで、成虫の餌のゼリーやバナナなどに産卵し、これを食べて成長し、繁殖する。目の色が赤や黄色で、クチキバエよりやや大きい。 |
小蝿 クチキバエ |
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クチキバエ |
くちきばえ |
俗に小蝿と呼ばれるハエの一種。「朽木蝿」と書く。キノコバエとも呼ばれる。キノコの菌糸またはその分解物を食べて育つハエで、発酵マットや菌床に産卵して、これを食べて成長し繁殖する。ショウジョウバエよりも小さく、ほんの少しの隙間からも出入りしてケースからケースへと移動するため、撲滅はショウジョウバエよりも困難。 |
小蝿 ショウジョウバエ |
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ダニ |
だに |
クモガタ類のなかの一群で、昆虫よりもクモやサソリに近い節足動物。クワガタ飼育において出会うことの多い生物で、劣化したマットに住む者や、ゼリーや果物を食べる者、主にクワガタの成虫に付く白いものや、幼虫にも付く赤いもの、幼虫の節々に付いてピンクに見えるものなど、数限りないと思える種類が存在する。クワガタに対する影響が懸念されるが、幼虫に付く比較的大型で赤いタイプのもの以外は、クワガタに対する明らかな直接的悪影響は無いように見える。成虫の体に寄生しているものも、クワガタの体液を吸っているのではなく、クワガタの体に付着した樹液などを食べたり、クワガタの移動によって運んでもらい、生息範囲を拡大することを目的としている種がほとんどであると言われている。それよりも重大なのは、妻子にダニを発見され、クワガタ排除法案が提出されると言った間接的な影響であり、こちらの被害は深刻である。成虫に付いたものは、水道水をかけながら歯ブラシなどで擦ると取れるが、完全に撲滅するには、ケースにマットを入れずに濡らしたティッシュペーパーのみで管理し、毎日洗い落とす作業を繰り返す。 |
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退去命令 |
たいきょめいれい |
「妻」「母」「娘」など、家庭で比較的強い権力を握っている者から出される命令で、これが発令されると、飼育している全てのクワガタ達は、屋外での常温飼育を強いられる。小蝿やダニの発生が原因となる場合がほとんど。小蝿やダニについては、発生させない対策だけではなく、発見されない対策も併用して挑むのが現実的対応策であろう。 |
小蝿 ダニ |
その他 |
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床 |
とこ |
成虫を飼育するときにケースの底に敷くもの総称。クワガタが潜って安心するためと、ケース内の湿度を保つ目的で使用するため、産卵セットでない限りあまり深く敷く必要はない。浅いケースで床をあまりたくさん敷きすぎると、クワガタがフタに届いてしまい、脱走や、フタに大顎を挟んでしまう事故の原因になるので注意が必要。具体的には、床の上でクワガタが立ち上がって脚をいっぱいに伸ばしてもフタに届かないくらいの高さが確保できればよい。床の異常発酵によってクワガタが酸欠を起こすのを防ぐため、一般には一次発酵済みのマットを使用することが多いが、安価で保湿力があり異常発酵を起こしにくいものなら何でもよく、ミズゴケや針葉樹マットが使用される場合もある。 |
異常発酵 酸欠 針葉樹マット |
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一次発酵 |
いちじはっこう |
無添加マットを発酵させる方法(もしくはその過程)の一種で、添加剤を加えずに加水しただけの状態で発酵させること。これにより作成したマットを、一次発酵マットと呼ぶ。添加剤を加えないので急激に発酵しないため、完成までに時間はかかるが、添加剤を加えた場合ほど厳密な管理の必要が無く、比較的手間をかけずに作成できるメリットがある。栄養価が低く抑えられているので小蝿が発生し難く、発酵済みであるため異常発酵をし難いことから、埋込マットとして利用されることが多い。添加発酵マットや菌糸瓶飼育では死亡率の高い種の飼育において、大型化を望まずとりあえず安全に成虫にしたいような場合には、幼虫の餌として使用する場合もある。 |
無添加マット 添加剤 加水発酵 小蝿 異常発酵 埋込マット |
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二次発酵 |
にじはっこう |
一次発酵マットに添加剤を加えて、さらに発酵させる方法(もしくはその過程)。これにより作成したマットを、二次発酵マットと呼ぶ。最近は、一次発酵の過程を経ずに、無添加マットや生オガにはじめから添加剤を加えて発酵させる方法が主流であり、二次発酵マットと言う言葉はあまり使われなくなった。 |
一次発酵マット 添加剤 |
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発酵 |
はっこう |
一般に、酵母類・細菌類などの微生物が、有機化合物を分解してアルコール類・有機酸・炭酸ガスなどを生じる過程のこと。腐敗との違いは人間にとって役に立つかどうかで、役に立つ場合を発酵と呼び、役に立たず悪臭を伴うような場合を腐敗と呼ぶ。米が発酵して酒となり、乳が発酵してヨーグルトとなり、大豆が発酵して納豆となるように、多くの場合、消化吸収が良くなったり栄養価が増したりする。クワガタ飼育においては、マットを発酵させて、幼虫の餌としての価値を高めたり、マット産みの種のための産卵床として利用できるマットを作成したりする。 |
異常発酵 マット産み 発酵マット |
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滅菌 |
めっきん |
菌類を殺して、無菌状態に近い清潔な状態にすること。菌床作成においては、添加剤を加えて加水したオガを、巨大な圧力釜のようなもので加熱して滅菌してから、オオヒラ茸などの種菌を植菌する。また、菌床を瓶に詰め替えるときに、瓶の内側や使用する器具などを消毒用アルコールで滅菌して、あとでカビてしまうのを防止する場合もある。 |
エタノール 菌床 |
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嫌気性 |
けんきせい |
酸素を必要としない種類の、微生物の性質。「嫌気性バクテリア」などのように言う。水分過多になって通気性が極端に悪くなった状態のマットに発生し、硫黄のような不快臭を発する。クワガタ飼育においては、出会いたくないタイプ。 |
好気性 |
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好気性 |
こうきせい |
酸素を必要とする種類の、微生物の性質。「好気性バクテリア」などのように言う。通気が十分に確保された状態のマットの中では、主にこのタイプの微生物が主流をしめる。好気性の微生物は、発酵マットの作成には欠かせないものであるが、特に人為的に添加しなくても、未発酵マットの中にも空気中にも普通に存在する。 |
嫌気性 |
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露天 |
ろてん |
蛹室の上部のマットや菌床などを取り除き、蛹室の上部に穴を開けて羽化を待つ状態。湿度過多や酸欠に起因する羽化不全の多いアンタエウスオオクワガタなどの種において行う羽化不全防止策で、エアコンなどの冷房装置無しで羽化が夏場にかかる場合には、是非知っておきたいテクニックの一つ。蛹室に通気口を設けることにより、酸欠が防止できるとともに、蛹化時と羽化時にクワガタの体内から排出される水分を蛹室の外に逃がしてやることができる。蛹室に穴を開ける作業は慎重に行い、中の蛹を傷つけないよう細心の注意を払う必要がある。開口部は、大きすぎると正常な羽化に支障をきたす可能性があり、小さすぎると残った蛹室の天井が崩れる危険があるので、蛹室の全長の7〜8割程度が無難。また、穴を開ける際に蛹室内部に落ちてしまったマットなどは、羽化不全の原因になるので、ピンセットや先の小さなスプーンなどを駆使して、きれいに取り除くこと。この時も、蛹に傷をつけないよう、細心の注意を払う必要があるが、蛹の扱いに慣れたブリーダーは、蛹を一度蛹室から取り出してしまい、蛹室内の掃除をしてから、元通りに蛹を戻す場合もある |
蛹室 酸欠 羽化不全 |
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露天掘り |
ろてんぼり |
露天にすること。または露天にする作業過程。 |
露天 |
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常温飼育 |
じょうおんしいく |
ヒーターやエアコンによる温度管理をせず、四季の外気の温度変化に任せて飼育する方法。室内飼育の場合は、完全に四季の温度変化に任せたものとは言い難いが、クワガタのために特別な冷暖房装置を設けていない場合は、これに含めて考えることが多い。 |
加温飼育 |
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加温飼育 |
かおんしいく |
クワガタのための温室など暖房設備を設けて、飼育環境の温度の下限を管理して飼育する方法。熱帯性のクワガタには、この方法によらなければブリードが困難な種類も少なくない。また、以前は、「日本のクワガタのような四季のある温帯域原産のものは、四季の温度変化に任せて育成した方が、長い幼虫期間をかけてより大きな成虫に育つ。」と言う説が支持されていたが、近年では、「この様な種も、比較的高温で管理して、高栄養下での短期間育成が大型成虫を得る近道である。」と言う説も有力となりつつある。 |
常温飼育 |
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冬眠 |
とうみん |
冬の間の低温と餌不足を乗りきるため、動物が代謝のレベルを下げて、眠ったようになること。クワガタでは、温帯から亜寒帯に生息する種類に冬眠をするものが多い。冬眠をする種類のクワガタは、体内時計が働くのか、室内で加温飼育していても冬が近づくとマットに潜って餌を食べに出で来なくなる場合が多く、この傾向はCB個体よりもワイルド個体で顕著である。また、亜熱帯から熱帯に生息する種類で生息地に冬のないものであっても低温に強い種類がおり、冬眠のように冬を越す場合もあるが、生理的に冬眠と同様の状態になっているのか、ただ強くて死なないだけなのかは不明。ただし、幼虫に関しては、寒冷地に住むものが消化管内を不凍液のような性質をもつ糖質などで満たして低温に絶える機能を有するのに比べ、温暖な地域のものはこの機能を持たないことが知られており、その適応の差は明らかである。 |
加温飼育 CB ワイルド |
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むし部屋 |
むしべや |
クワガタなどの昆虫を飼育するための飼育部屋。標本の作成・保管をするための部屋を指す場合もある。 |
クワ部屋 |
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クワ部屋 |
くわべや |
クワガタを飼育するための部屋。妻子あるクワ馬鹿の憧れ。エアコンなどで通年温度管理が可能なものが本格的。 |
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セルロース |
せるろうす |
木質の主たる構成要素の一つ。クワガタの幼虫は、これの分解によって得られる糖質を栄養源としているものと考えられている。褐色腐朽菌やバクテリアなどによって分解される他、クワガタの幼虫の体内共生菌によっても分解される。 |
リグニン リグノセルロース 褐色腐朽菌 |
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ヘミセルロース |
へみせるろおす |
木質の主たる構成要素の一つで、リグニンとセルロースを結びつける働きをしている。 |
リグノセルロース |
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リグニン |
りぐにん |
木質の主たる構成要素の一つ。セルロースと結びついてその分解を妨げており、白色腐朽菌によって分解されるため、カワラ茸やヒラ茸などの白色腐朽菌によって腐朽した木質は、クワガタの幼虫にとって非常に消化吸収しやすいエサとなる。 |
セルロース リグノセルロース 白色腐朽菌 |
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リグノセルロース |
りぐのせるろうす |
木質の基本構造で、セルロースとリグニンがヘミセルロースにより結合したもの。非情に強固で、これを消化・分解して利用できる生物は少ない。菌類や一部の微生物はこれを分解する酵素を持っており、木質をエサとする全ての動物は、この菌類などの分解能力に頼っている。 |
セルロース リグニン ヘミセルロース |
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作出 |
さくしゅつ |
クワガタを育てて、目的とする形や大きさなどの形質を備えた成虫を羽化させること。熱帯魚や爬虫類などにおいて「作出」と言う場合、ある程度固定された品種を完成させることを指す場合が多いが、クワガタの飼育家においては「品種改良」と言う概念があまり普及しておらず、目的とする形質を備えた成虫の1個体を指しても、「作出した」と言う場合が多い。命ある者に関して「作出」と言う言葉を使用する事に嫌悪感を抱く人もいるので、使用に当っては注意が必要。 |
固定 |
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ペア |
ぺあ |
繁殖用に組んだ、オス1頭とメス1頭のセットのこと。当然、昆虫専門店では、クワガタの成虫は通常1ペアごとでの販売が基本となっており、オス単独やメス単独では販売しないか、割高となる場合が多い。 |
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トリオ |
とりお |
オスメス判別のつく程度に成長した個体の、3頭セットのこと。オス2頭にメス1頭なのか、オス1頭にメス2頭なのかは、それぞれの動物の業界における慣習によって定まっている。例えば、「ポピュラーな熱帯魚であるグッピーのある品種においては、その品種本来のヒレの特徴を持ったオスには生殖能力がないため、この品種を繁殖のための種親として販売する場合には、その品種のペアの他に、その品種と色彩のみが一致する他のオス1尾を加えたトリオが基本となる。」といった具合である。しかし、クワガタ飼育の業界は未だ歴史が浅く、また、3頭セットにしなければならない決定的な理由が存在しないため、単に「トリオ」と表示されても、オスが2頭なのかメスが2頭なのかは明確ではない。 |
種親 |
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スパテク本 |
すぱてくぼん |
1996年に(有)むし社から発行された、小島啓史氏著「クワガタムシ飼育のスーパーテクニック」の略称。クワガタの飼育書としては、共生バクテリアの役割や母虫からの受継ぎなどに初めて言及した。飼育技術の目覚しい進歩により一般的な種の飼育技術がほぼ確立した現在においても、基本的な知識習得のための「クワガタ飼育のバイブル」的存在として一度は読んでいただきたい名著。 |
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植菌 |
しょっきん |
加水したオガや原木に、菌をまわすためにに種菌を植え付けること。菌床ブロックや菌糸瓶などを作成するために行うが、一般の人は、既に菌糸のまわった菌床ブロックを購入して詰め替えて使用することが多く、自分で植菌して菌糸瓶を作成する人は少ない。植菌を行うには、その前提として、ベースとなる加水したオガを高温・高圧で滅菌しておく必要があり、そのための設備が大掛かりなものになってしまう事と、既製品としての菌床ブロックや菌糸瓶がの価格が下がってきた事が、植菌による菌糸瓶の自作が普及しない原因であろう。 |
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積算温度 |
せきさんおんど |
1日の平均温度を毎日足していった合計温度。平均20℃の日が10日間続けば、積算温度は200℃となる計算。チョウなどでは、この積算温度と幼虫期間の関係がよく研究されており、「孵化から起算して積算温度が○○○○℃に達すると羽化する」というように、飼育環境の温度を把握して計算しておけば、羽化日をほぼ正確に予測することが可能である。しかし、クワガタにおける積算温度と幼虫期間の関係は、未だ明らかにはなっていない。幼虫で越冬し、羽化に1年以上を要するものが多いことや、体の大きさについて個体差が大きいことなどが、積算温度と幼虫期間の関係を複雑にしているものと思われる。また、住んでいる朽木の腐朽状態や水分量など、他の要素も幼虫期間決定に関係している可能性があり、これも、積算温度と幼虫期間の関係解明の妨げとなっているのかもしれない。 |
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採集編 |
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用具 |
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ルアーケース |
るああけえす |
釣りに使う疑似餌であるルアーを整理して持ち運ぶためのケース。クワガタを1頭収容するのに適したサイズの小さな小部屋に分かれており、個体どうしが傷つけ合うのを防ぐことができ、しかもコンパクトに収納できるため、採集したクワガタなどを持ち帰るために愛用する採集家が多い。完全密閉できるものはほとんどないため、通気用の穴をあける必要はあまりないが、長時間持ち運ぶ場合や、車の中など高温になるような場所に置く場合などには、安全のため極小さな通気穴を空けておくと安心できる。これは、高温の環境下においては昆虫の代謝が高まり、酸素の要求量が増加するとともに、呼吸によるガス交換の効率が低下するためである。 |
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熊避け鈴 |
くまよけずず |
山に潜む熊に対して自分の存在をアピールし、熊の方から人間を避けてもらうために音を鳴らす鈴。腰に付けて使うタイプが多い。北海道においてはヒグマの生息する山深く分け入ってクワガタなどを探す機会が多く、クワガタ採集家の多くが携行している。 |
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懐中電灯 |
かいちゅうでんとう |
携帯用の照明器具。主に夜間の採集で、クワガタなどを探すために使用する。民家付近での採集では、民家の窓を照らさないなどの配慮が必要。明るくて、長寿命で、軽いものを選ぶようにする。クワガタ採集者の中には懐中電灯マニアも多く、採ったオオクワガタの数よりも持っている懐中電灯の数の方が多い人も少なくない。 |
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酢酸エチル |
さくさんえちる |
標本作製の過程で、採集した昆虫を固定するための薬剤。殺虫の効果だけでなく、防腐効果もあるためすでに死亡した個体の処理にも使われる。劇薬であって、一般の薬局では常時在庫していることはほとんどなく、取り寄せには注文時に印鑑を要求する店舗もある。 |
固定 標本 |
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サクエチ |
さくえち |
酢酸エチルの略称。 |
酢酸エチル |
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毒瓶 |
どくびん |
標本として採集した昆虫を、その場で固定するための道具。密閉容器に酢酸エチルをしみこませた脱脂綿を入れたもので、生きた昆虫をこの中に入れると、殺虫すると同時に防腐処理が完了するしくみ。生きたままの昆虫を狭いケースに入れて持ち帰ると、中で暴れて符節や触覚が脱落してしまう場合があり、完全な標本を残すには現地で固定してしまうのが基本。昆虫専門店などで専用のものも販売されているが、酢酸エチルによって変質しない材質(ガラスやポリプロピレンなど)のもので完全密閉できる容器であれば、色々なものを流用できるので、初心者は高価な専用のものを購入する必要はない。 |
固定 標本 |
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灯火セット |
とうかせっと |
灯火採集の道具一式のこと。または、それらを設置した状態のこと。一般的には、発電機・安定機・ケーブル・ソケット・水銀灯電球・支柱・白布(シーツなど)で構成されている。セットとして販売されているのではなく、目的・予算・機器間のバランスなどを考慮して、自分で買い揃えて組んでいくもの。 |
灯火採集 |
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スポーク |
すぽうく |
自転車の車輪と車軸をつないでいるパーツ。オオクワガタやコクワガタなどの潜洞性のあるクワガタを、樹洞の中からかき出すために利用できる。 |
潜洞性 |
その他 |
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灯火採集 |
とうかさいしゅう |
クワガタなどの昆虫が光に集まる習性を利用して、夜間に照明に集まったものを拾い集める採集方法。街灯など既存の照明を廻って拾い集める「街灯廻り」と呼ばれる方法と、発電機と水銀灯などを利用して誘き寄せる「自前灯火」「ライトトラップ」と呼ばれる方法とがある。クワガタの走光性を利用した採集方法であるとされる(クワガタの走光性については別項「クワガタの走光性について」を参照のこと)。 |
ライトトラップ |
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白い街灯 |
しろいがいとう |
昆虫のよく集まる白っぽい光を発する街灯のこと。街灯廻りによる灯火採集において、昆虫のよく集まる街灯を見極めることはその効率を高める上で非常に重要で、特に街灯の発する光の色・強さ・場所が大きなポイントとなる。昆虫は人の目には見えないほど波長の短い「紫外線」域の光によく反応することが知られており、人の目には白く見える水銀灯の光にこの紫外線が多く含まれている事が多く、白くて明るい街灯を探すことが灯火採集で成果を上げる近道となる。ただし、白く見えても、樹脂製のカバーのついた水銀灯や蛍光灯を使った街灯などは、紫外線をあまり発していないので期待度は低い。 |
黄色の街灯 灯火採集 |
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黄色の街灯 |
きいろのがいとう |
昆虫のあまり集まらない黄色っぽい光を発する街灯のこと。昆虫の目には見えない波長の長い赤にかたよった光を比較的多く発しており、人の目には明るく見えても昆虫にとってはあまり明るく見えないため、灯火採集では成果の上がらないことが多い。しかし、他に街灯がない場合や、立地環境が非常によい場合には、十分に昆虫が集まる事もあり完全に無視することもできない。 |
白い街灯 灯火採集 |
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標本 |
ひょうほん |
学術目的で保存する生物などのサンプルのことであるが、学術目的ではなく個人の趣味で収集しているものをも含めて呼ぶことが多い。クワガタにおいては、酢酸エチルなどの薬品で防腐・防虫処理をして、てん足をした上で乾燥させ、防虫剤を入れた昆虫用の標本箱に入れて保管するのが一般的。北海道においては、低湿・低温のため腐敗し難く、標本を食害する昆虫も少ないため、薬剤処理をせず防虫剤を入れなくても長年に渡って標本を完全な形で保存することが可能であり、特に昆虫採集初心者にとっては非常に恵まれた環境にある。標本を作製する場合には、学術目的で作成するのではなくても「ラベル」を必ずつけるようにしたい。そのときは特に学術的価値のないものと考えていたものに、後日重要な価値が見出されることも多いからである。昆虫の研究は、アマチュア研究家の力に依存するところが非常に大きい分野であるから、一個人の所有する標本であっても、「人類全体の財産の一部を管理している」と言う気概で保管に当たっていただきたい。 |
酢酸エチル てん足ラベル |
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てん足 |
てんそく |
昆虫の標本を作製するに当たって、足や触覚の形を整えること。クワガタにおいては、コルク板などの上で針を使って固定して形を整えることが多い。特に決まったやり方は無く、後に標本の各部が観察しやすいように心がけて形を整えるべきであろうが、自分で満足の行くカッコいい形に整えれば良い。また、限られたスペースに、より多くの標本を保管できるよう、標本箱の中でなるべくコンパクトに収まるような形を好む人も多い。 |
標本 |
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樹液採集 |
じゅえきさいしゅう |
クワガタなどの成虫が好む樹液を出している木を探して、これに集まっているものを採集する方法。クワガタなどの好む樹液を出しやすい樹種はある程度限られており、北海道では、ミズナラ・ハルニレ・ヤナギなどのよく樹液を出す木を見分けることが必要。樹液を出している木にはチョウやハチなどが集まっていることが多く、木の周りにまとわりつくように飛んでいるこれらの昆虫を目印に探すと、比較的容易に探し出すことができる。また、樹種によって樹液を出し始める時期が異なることを覚えておくと、効率良く採集できる。 |
樹液 |
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採集 |
さいしゅう |
昆虫などを標本や資料にするため、採取して集めること。昆虫愛好家の間では、標本とはせずに飼育して楽しむためや、販売するために採取することも、また、集めずに1個体のみ採取することも含めて「採集」と言う場合が多い。 |
採取 |
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採取 |
さいしゅ |
ある目的に必要なものを選んでひろいとること。採集とのちがいは、「集めるのではない点」と「目的が標本作製や研究資料ではない点」であるが、昆虫愛好家の間では、どんな場合でも「採集」をもちいることが多く、ほとんど使われない。 |
採集 |
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樹液 |
じゅえき |
木に付いた傷からにじみ出た液体。糖質やタンパク質等が豊富に含まれていることが多く、発酵して甘酸っぱい香りを放つと、これに誘われてクワガタなどの昆虫が良く集まる。北海道では、ミズナラ・ハルニレ・ヤナギなどが、虫の良く集まる良い樹液を出しやすい。 |
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樹洞 |
じゅどう |
木の枝が落ちた後などに空いた穴。内部、もしくはその周辺に樹液の出ているものは、オオクワガタを初めとする潜洞性の高いクワガタにとって、格好の住みかとなる。中のクワガタを取り出すため、入り口を削って広げてしまうと、乾燥や隠れ家としての価値の低下により、以後、クワガタが住まなくなってしまうので、絶対に削ったりしてはならない。 |
樹液 潜洞性 |
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材割採集 |
ざいわりさいしゅう |
朽ち木の中に住んでいる種類のクワガタなどの幼虫や成虫などを、ナタやオノなどで朽ち木を割って取り出す採集方法。クワガタなどの生息できる環境を破壊してしまうことになるので、この方法による採集はなるべく謹みたい。また、私有地にかってに入り込んで行なうマナーの悪い採集者も多く、地主や地域住民とのトラブルの発生事例も聞かれる。 |
朽木 |
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潜洞性 |
せんどうせい |
樹洞の中に潜んで生活する、クワガタなどの生態。オオクワガタやコクワガタなどが、この生態を持つ代表的なもの。 |
樹洞 |
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走光性 |
そうこうせい |
(別稿参照) |
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先行者 |
せんこうしゃ |
街灯廻りによる灯火採集などで、先にポイントを廻っているライバルのこと。先にポイントに着いて探している人の邪魔になるような行動は慎みたいが、自分が先行者だからといって、後から来た採集者をしめ出すような行動も、正当とは言えない。ポイントは誰のものでもないのだから、採集者どうし互いに譲り合う心掛けが大切。 |
灯火採集 |
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御神木 |
ごしんぼく |
樹液が豊富に沸き出しており、さらには樹洞や樹皮下の隙間などのクワガタの隠れ場所が豊富にあるため、クワガタなどが沢山集まる木のこと。行けば必ず採れる木として、自分だけの秘密の場所にしておく場合が多い。御神木にワラ人形を打ち付けておいて、他の採集者を寄せ付けないようにすると言う荒業もあるようだが、私なら自分も近付けなくなるであろう・・・。 |
樹洞 樹液 |
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根堀採集 |
ねほりさいしゅう |
ミヤマクワガタなどの朽ち木の根の部分を食べて成長するタイプのクワガタなどを、朽ち木の根の部分を掘り起こして採集する方法で、広い意味では材割採集の一種。クワガタなどのすでに活動中の成虫が、暑すぎたり寒すぎたりする時などに、木の根のきわに潜り込んで休んでいるものを掘り出して採集する方法を指す場合もある。 |
朽木 |
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乱獲 |
らんかく |
保護を考えず、むやみに多くの個体を採集すること。どのくらいの個体数を採集すれば乱獲にあたるかは一概には言えない非常に難しい問題であり、採集者各自が節度を保った採集を心がけたい。「必要数を超えた採集は乱獲」との考えも間違いである。何のために必要な採集なのかによって結論は変わるし、必要数が生息数に非常に近いかこれを超えていれば、必要数の採集ですら乱獲である。クワガタなどの場合、メスをなるべく持ち帰らないようにすればよいとの考え方もあるが、結局は、最後まで飼いきれるだけ、または、きちんと標本にして管理しきれるだけを持ち帰るといった自己管理に期待するよりほかない。乱獲を阻止したいのであれば、生態系の複雑さや微妙さを中心として自然の大切さを訴え、これを啓発していくことが重要であり、安易に「乱獲」の言葉を使って他人の採集行為を非難することは、有効性に欠ける軽率で思慮の浅い行為である。 |
採集 標本 |
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車中泊 |
しゃちゅうはく |
車の中で寝て、宿泊に代えること。クワガタの採集においては、山深く分け入ることが多く、また、気象状況によって採集場所や採集方法などを臨機応変に変更する必要もあり、さらには、一般的な人間の活動時間とはかけ離れたスケジュールで行動する事もあって、宿をとらずに車で眠る採集者が多い。シートを倒しただけの状態で十分に熟睡できるようになれば、クワガタ採集名人の域に一歩近づいたと言える。ちなみに、名人の域をも超えると無睡で24時間採集ができると聞く。 |
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立ち枯れ |
たちがれ |
立ったまま枯れた木のこと。カワラ茸などの菌類によって程よく朽ちれば、乾燥気味の朽ち木を好むオオクワガタやコクワガタなどの幼虫の良い生息場所になることが多い。 |
カワラ材 |
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倒木 |
とうぼく |
自然に倒れたり、人によって切り倒されて放置されたりした木のこと。程よく朽ちれば、水分の多い朽木を好むクワガタなどの幼虫の良い生息場所になることが多い。 |
朽木 |
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生木 |
なまき |
生きている木、または、朽ちていない木。木は死ぬと(時には生きながら)、主に真菌類によって腐朽し分解していく。クワガタのほとんどの種の幼虫は、この木質が分解していく途中の状態のものを摂取して栄養源としているため、朽ちていない状態である生木はクワガタの幼虫が餌として利用できる状態にはない。したがって、材割採集においては程よく朽ちた木を発見する事が必要であり、枯れてはいるがまだ十分に朽ちていない木を生木と呼ぶこともある(採集における「生木」とは、「生きている木」を指すことも多く、この場合、死んでいるが朽ちていない木は、「枯れ木」と呼んで区別する)。 |
材割採集 |
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部分枯れ |
ぶぶんがれ |
枝や幹の一部が枯れた木、または、その枯れた部分のこと。立ち枯れと同様、乾燥気味の朽ち木を好むオオクワガタやコクワガタなどの幼虫の、良い生息場所になることが多い。 |
立ち枯れ |
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トラップ |
とらっぷ |
昆虫などを捕まえるための罠のこと。昆虫などの生態に応じて様々な種類があるが、クワガタには主に「果実トラップ」や「ライトトラップ」などが使用される。 |
ライトトラップ 果実トラップ バナナトラップ |
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果実とラップ |
かじつとらっぷ |
クワガタなどを捕まえるための、果物を利用した罠。樹液や果実の発酵臭に誘われる性質のあるクワガタを捕らえることができる。ストッキングやミカンの袋などに、バナナやパイナップルなどの果物を入れ、焼酎などの酒類をかけて発酵を促進して使用する。設置場所はクワガタの種類などによって工夫する必要があり、樹木の地上数メートルの高所に仕掛けたり、根元に仕掛けたりする。基本的には、クワガタを誘き寄せて足止めしておくだけのものであるので、設置後は、集まった獲物を回収するため、できれば毎日見回るのが良い。使い終わったトラップは、必ず回収して処分するのが最低限のマナー。また、熊の生息地では自分だけではなく他の採集者をも危険にさらすことになるので、使用は慎むべきであろう(「熊」の項を参照のこと)。 |
熊 トラップ |
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バナナトラップ |
ばななとらっぷ |
バナナを使った、果実トラップ。果実トラップにはバナナが最も多く使用される。 |
果実トラップ |
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ライトトラップ |
らいととらっぷ |
明かりを灯してクワガタなどを誘き寄せて捕らえるための罠のこと。発電機と水銀灯を組み合わせたものが一般的。車のバッテリーから電源をとって蛍光灯などを灯す方法も手軽だが、発電機と水銀灯の組み合わせによる光量にはかなわない。街灯廻りとちがって、自分の好きな場所に設置できるメリットがあるが、発電機の騒音や道路にはみ出しての設置などにより地元住民とトラブルにならないよう配慮が必要。 |
灯火セット 灯火採集 |
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灯火トラップ |
とうかとらっぷ |
「ライトトラップ」と同義。 |
ライトトラップ |
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ラベル |
らべる |
標本に関するデータを記録した小さな紙。最低でも、採集年月日・採集場所・採集者の3つの情報を記載して、標本に刺した針に標本と一緒に刺しておく。標本の学術的価値は、90%以上がこのラベルに懸かっていると言っても過言ではない。また、学術的価値以外にも「思い出の記録」としての価値もあるため、採集した昆虫には必ずラベルを付けて標本にしておくようにしたい。 |
採集 標本 |
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ホスト |
ほすと |
クワガタに対してエサと生活の場を提供してくれる木のこと。例えば、北海道におけるオオクワガタの成虫の主なホストは、比較的良い樹液を出すことの多いミズナラとハルニレであるが、北海道では材割りでオオクワガタが採集されていないため幼虫のホストは未だ判明していない。北海道で他の多くのクワガタの幼虫のホストとなっているブナが、その第一候補ではある。 |
樹液 材割採集 |
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熊 |
くま |
スズメバチに次いで、北海道の陸上野生動物の中で2番目に危険な動物。ちなみに第3位はマムシ。野生動物ではないが、「ヒト」と言う動物の危険性と比べれば、どれも可愛いものではあるが。北海道に生息するのは、世界最大の陸棲捕食動物「ヒグマ」である。山でクマに襲われて格闘のすえ命拾いした話しも聞くが、そのほとんど全てが本州などに生息する「ツキノワグマ」であって、ヒグマに襲われた場合は「それまで」と考えたほうが良い。北海道でクワガタを採集する場合、クマとの遭遇は避けて通ることのできないものと考え、常日頃からその生態についての知識を深め、危険を回避する手段を身に付けておく必要がある。 |
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林道 |
りんどう |
主に人口林を管理するために作られた、山の中の道。ほとんどが国有林の中にあって営林署が管理しており、その場合は特段の事情が無い限り国民に対して開放されているものであるため、山菜採りや昆虫採集で利用することが多い。ただし、管理作業の妨げになる場合や、整備が不完全で危険な場合などは一般車両の進入が制限されていることも多く、入り口に施錠されたゲートがある場合がこれに当たるので、このような林道への侵入は慎むべき。注意すべきは、不当な侵入者によってゲートが開けられている場合もあると言うこと。このような林道に侵入した場合、帰りには正当な管理者によって施錠されてしまっている可能性も考慮して、判断に迷うような場合には進入を見合わせるようにすべきであろう。 |
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共通編 |
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クワガタ |
くわがた |
クワガタムシ科に分類される昆虫の総称。科の標準和名としては「クワガタムシ」とするのが妥当であろうが、本用語集においては一般に多用され馴染みの深いこの呼び方で統一した。 |
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劣性遺伝 |
れっせいいでん |
(別稿参照) |
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優性遺伝 |
ゆうせいいでん |
(別稿参照) |
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ホワイトアイ |
ほわいとあい |
クワガタなどに稀に見られる、目の白い個体変異。遺伝するという説と、遺伝しないという説の両説がある。その発現原因は単一のものではなく、白くなる遺伝子を持ったもの、白くなりやすい遺伝子を持ったもの、遺伝とは関係なく幼虫から蛹の時期の環境による後天的なものなど、いくつかのパターンがあると考えるのが妥当ではないか。 |
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SP. |
えすぴい |
(スピーシーズ)の略で、「種」の意味。「○○sp.」と書いて「○○の一種」との意味を表し、属までは解っているがどの種かはっきりしない個体の表記に使用する。 |
SSP. |
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SSP. |
えすえすぴい |
(サブ・スピーシーズ)の略で、「亜種」の意味。「○○ssp.」と書いて「○○の一亜種」との意味を表し、種までは解っているがどの亜種かはっきりしない個体の表記に使用する。 |
SP. |
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前胸 |
ぜんきょう |
背中側を「前胸背板」と言い、腹側を「前胸腹板」と言う。 |
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フ節 |
ふせつ |
腿節、脛節、フ節と、おおまかに3つの節に分かれる昆虫の脚のうち最も先端の部分。羽化後長期間活動した個体では、このフ節が取れてしまっていることも多い。クワガタの場合、フ節が取れてしまっていても、種親としての使用にはほとんど問題ない。オスの後脚のフ節は交尾にあたってメスをなだめる作業に使用するため、オス後脚の脱落は種オスとしての機能に問題ありとする説もあるが、後脚フ節の無い個体では中脚フ節によってメスをなだめる作業をこなす例も観察されており、生命のたくましさを感じる。 |
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点刻 |
てんこく |
クワガタの体の表面に見られる極小さな窪み。この大小の差や密度の違いなどが、表面が艶消しに見えたり光沢が見られたりなどの違いとなって現れる。なかでも比較的大きいものは、肉眼でも点として認識できる。 |
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点刻列 |
てんこくれつ |
オオクワガタのメスの上翅の表面などに見られる、点刻が数本の列状に並んで条のように見えるもの。この条の密度や濃さなどが、種や亜種の同定のポイントとなることが多い。 |
点刻 |
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耳状突起 |
じじょうとっき |
ミヤマクワガタなどの大型個体に発達する、頭部に見られる耳の様な張り出し。この部分の形状の違いは、種や亜種の同定の一要素となる場合もある。また、標本のコレクターには、この部分の大きく張り出した個体は、単にカッコいいと言う理由により、もてはやされる傾向にある。この形状に生態上、どのようなメリットがあるのかは不明。 |
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放虫 |
ほうちゅう |
飼育下にあるクワガタなどの昆虫を、野外に放つこと。在来種との直接競合、新伝染病の持込み、遺伝子撹乱などの危険を伴う生態系に対する犯罪行為であり、厳に慎むべきである。生物を観察・採集・飼育し、そこから多くのことを学んでいく過程において、「放虫がなぜ悪いのか」が理解できた段階は、一つの到達点と言っても過言ではない。最近は小学校の先生にさえ、「飼っているカメやクワガタは、かわいそうだから自然に帰してあげましょう。」などと間抜けなことを言う輩が存在し、飼育動物を自然の中に放つ(それが外来種であっても在来種であっても)ことの生態系への影響を理解した大人が絶滅の危機に瀕している状態は、非常に嘆かわしい限りである。 |
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発生 |
はっせい |
クワガタなどの成虫が蛹室を出て、人間の目に触れるような活動を始めること。クワガタは、種類ごとに、また、地域ごとに発生する時期がある程度決まっており、この発生期を知らないと採集において成果を上げることは難しい。 |
蛹室 |
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周年発生 |
しゅうねんはっせい |
特に決まった発生時期はなく、気温や湿度に左右されながら、一年中成虫の活動が見られるタイプのクワガタの生活史。このタイプは、熱帯雨林のクワガタの一部に見られ、日本には存在しないと思われる。 |
発生 |
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一年一化型 |
いちねんいっかがた |
春から秋に産み付けられた卵から孵った幼虫が幼虫または蛹で越冬、翌年の春から夏にかけて羽化し、その年のうちに蛹室を出て、交尾、産卵などの活動をするクワガタの生活史。一年一越型のイレギュラーなパターンと見る意見もあり、その場合、一年一越型に含めて考える。日本にこのタイプを基本としているクワガタが存在するかどうか、不明。 |
一年一越型 若齢幼虫 越冬 蛹室 蛹化 羽化 |
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一年一越型 |
いちねんいちえつがた |
春から秋に産み付けられた卵から孵った幼虫は若齢幼虫のまま越冬、翌年の春から秋にかけて蛹化、羽化し、新成虫はそのまま蛹室内に留まりもう一度こんどは成虫で越冬して、翌年の春から秋に蛹室を出て、交尾、産卵などの活動をするタイプのクワガタの生活史。マダラクワガタ、ツヤハダクワガタをこのタイプであるとする見解もあり、コクワガタの多くや、初夏に活動するミヤマクワガタやノコギリクワガタの一部はこのタイプであろうと考えられる。 |
若齢幼虫 越冬 蛹室 蛹化 羽化 |
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二年一化型 |
にねんいっかがた |
春から秋に産み付けられた卵から孵った幼虫は若齢幼虫のまま1回目の越冬、翌年も幼虫のまま過ごし2回目の越冬、その翌年の春から夏にかけて蛹化、羽化し、その年のうちに蛹室を出て、交尾、産卵などの活動をするクワガタの生活史。二年一越型のイレギュラーなパターンと見る意見もあり、その場合、二年一越型に含めて考える。晩夏に活動するミヤマクワガタ、ノコギリクワガタや、秋に発生するヒメオオクワガタはこのタイプである可能性が高い。 |
二年一越型 若齢幼虫 越冬 蛹室 蛹化 羽化 |
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二年一越型 |
にねんいちえつがた |
春から秋に産み付けられた卵から孵った幼虫は若齢幼虫のまま1回目の越冬、翌年も幼虫のまま過ごし2回目の越冬、その翌年の春から秋にかけて蛹化、羽化し、新成虫はそのまま蛹室内に留まり、成虫で3回目の越冬をして、翌年の春から秋に蛹室を出て、交尾、産卵などの活動をするタイプのクワガタの生活史。オオワガタ、ヒラタクワガタ、ヒメオオクワガタがこのタイプであるとされており、初夏に活動するミヤマクワガタ、ノコギリクワガタの多くはこのタイプであろうと考えられる。また、マダラクワガタやツヤハダクワガタなどもこのタイプである可能性が高い。 |
若齢幼虫 越冬 蛹室 蛹化 羽化 |
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TSD |
てぃいえすでぃい |
温度依存性性決定の略で、多くの爬虫類に見られる性決定方法。産卵から孵化までのうちのある時期の温度環境によって、その卵がオスとして孵るかメスとして孵るかが変るもの。クワガタにおけるこの性決定方法をもった種の存在は未だ確認されていないが、ブリーディングにおいて性比の偏りがあまりにも大きい事案に出会った場合に、この可能性が議論されることがある。 |
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単為生殖 |
たんいせいしょく |
無精卵が受精なしで発生を始め、繁殖できる成体にまで成長することが可能な生殖形態。昆虫ではナナフシの仲間がこの単為生殖をすることが知られており、未交尾のメスが生んだ卵から生まれた子が育ち、全てメスとなる。クワガタにおいても近年、ノコギリクワガタの仲間が「単為生殖をする」との報告がある。 |
無精卵 |
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固定 |
こてい |
採集においては、標本作成のため採集したクワガタをなるべく採集した時の姿のままにとどめるため、生命活動を停止させて防腐処理などを施すこと。飼育においては、種親の選別を繰り返して、ある個体の特徴がその子孫の殆ど全ての個体に受け継がれるような系統を、累代飼育によって作り上げること。 |
採集 累代飼育 種親 |
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産地 |
さんち |
クワガタなどの個体が取れた場所のこと。または、その種(または亜種)の生息地のこと。クワガタは、同種内での地域変異が多いため、産地にこだわって取引されることが多い。 |
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leg. |
れぐ |
「採集者」の意味で、標本ラベルに記載される。「leg.○○」と書いてあれば、「○○さんが採集した個体である」と言うこと。「○○leg.」と書くこともある。採集者が誰かと言う情報は、標本の大切なデータであるから、ラベルには必ず記入する。 |
ラベル |
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ギネスサイズ |
ぎねすさいず |
クワガタやカブトムシなどの、その種類の中での最大個体の大きさ(長さ)のこと。昆虫専門誌「月刊むし」に掲載されていたクワガタ大きさくらべコーナーのタイトル「クワガタギネス」が語源とされ、通常は採集個体の最大サイズを指す。養殖個体の最大サイズは、これと区別して「ブリードギネス」と呼ぶこともある。 |
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ノギス |
のぎす |
本来は、建築をはじめとする精密な工作作業において物の径や内寸などを測る道具であるが、クワガタホビーにおいては、当然にクワガタを計る道具として使用する。成虫の全長を測ることは勿論、幼虫の頭幅やオス成虫の大顎の幅なども測って悦に入るためのクワ馬鹿必需品。基本的に自分以外の者が測ったサイズは信用せず、必ず自分でノギスを当てなければ気が済まないのが本物。 |
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体長 |
たいちょう |
生物の尾や角などの付属器官的な部分を除いた長さのこと。「頭胴長」と言う場合もある。クワガタにおいては、「体長」と「全長」をあまり使い分けず、どちらも、上翅の後端から大顎の先端までの長さを言うことが多いが、厳密に「体長」と言う場合、大顎は含めずに測った長さを言うのが本来であろう。 |
全長 大顎 |
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全長 |
ぜんちょう |
生物の尾や角などの付属器官的な部分をも含めた長さのこと。クワガタにおいては、「体長」と「全長」をあまり使い分けず、どちらも、上翅の後端から大顎の先端までの長さを言うことが多い。 |
体長 大顎 |
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材 |
ざい |
キノコの菌糸などによって程良く朽ちて、クワガタなどの幼虫が餌として利用できるようになった朽木のこと。飼育においては産卵木のことを指すが、採集においては野外に存在するものを指す。 |
産卵木 朽木 |
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フレーク |
ふれえく |
最近は、「マット」と同義で使用されるが、本来は、木が朽ちて年輪に沿って同心円状に剥がれやすくなった(または剥がれ落ちた)状態のものを指す。コーンフレークを想像すると状態が思い浮かべやすい。生木の根部や樹洞の内部に溜まってさらに分解し、マルバネクワガタなどの幼虫のエサとなる。 |
マット |
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昼行性 |
ちゅうこうせい |
昼間に活発に活動するタイプのクワガタなどの生態。ヒメオオクワガタやアカアシクワガタなどがこの代表的なもの。また、夏場でも比較的気温の低い北海道では、ノコギリクワガタやミヤマクワガタなどもこの性質が強い。 |
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夜行性 |
やこうせい |
夜間に活発に活動するタイプのクワガタなどの生態。オオクワガタなどがこの代表的なもの。本州においては、ノコギリクワガタやミヤマクワガタなども夜間に活動するが、北海道のノコギリクワガタやミヤマクワガタが昼間にも活動することから考えると、この2種は、昼夜を問わず適温の時に活動するだけである可能性がある。 |
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絞める |
しめる |
殺すこと。通常、クワガタを絞めるのは標本を作るためであるので、「固定」とほぼ同義で使用される。語源は鳥などを殺す場合に首を絞めるところからきていると思われるが、実際にクワガタを絞め殺す人はあまりいない。 |
固定 |
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朽木 |
くちき |
主に真菌類によって腐朽し分解していく過程にある木。腐朽する菌の種類や腐朽のしかたによって、赤枯れ・白枯れ・黒枯れなどに分けられる。多くの種類のクワガタが、これをエサとしこの中で幼虫時代を過ごす。 |
赤枯れ 白枯れ |
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菌糸 |
きんし |
真菌類の本体。細胞が連続して糸状に伸びたものの集合体であるが、瓶に詰めたオガクズ(菌糸瓶)に蔓延すると、真っ白く見える。 |
菌糸瓶 真菌類 |
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子実体 |
しじつたい |
キノコなど、真菌類が繁殖のために一時的に形成する器官のこと。真菌類の本体は菌糸であり、キノコはその繁殖のための器官であって、植物の花に当たるものである。 |
菌糸 |
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真菌類 |
しんきんるい |
細菌類以外の菌類のこと。カビやキノコと呼ばれるもの。本体は菌糸という極細い糸状のもので、通常は木質など栄養源とすべき対象に刺さり込んだり包み込んだりで蔓延し成長する。「菌糸瓶」は、これを利用してクワガタの幼虫を育てるもの。 |
菌糸 菌糸瓶 |
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大歯型 |
だいしがた |
国産オオクワガタなど、大顎の形態の変異が連続的で明確に区分できない変異パターンを持つクワガタの歯型の一つで、内歯が前方を向くタイプの呼称。大型の個体に比較的多く見られる。 |
中歯型 小歯型 |
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中歯型 |
ちゅうしがた |
国産オオクワガタなど、大顎の形態の変異が連続的で明確に区分できない変異パターンを持つクワガタの歯型の一つで、内歯が内側を向くタイプの呼称。中型の個体に比較的多く見られる。 |
大歯型 小歯型 |
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小歯型 |
しょうしがた |
国産オオクワガタなど、大顎の形態の変異が連続的で明確に区分できない変異パターンを持つクワガタの歯型の一つで、内歯が後方に向くタイプの呼称。小型の個体に比較的多く見られる。 |
大歯型 中歯型 |
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長歯型 |
ちょうしがた |
アルキデスヒラタクワガタなど、大顎の形態がいくつかの型に比較的明確に区分できる変異パターンを持つクワガタの歯型の一つで、大顎が長く伸びて内歯が消失する傾向にあるタイプの呼称。大型の個体に比較的多く見られる。 |
短歯型 |
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短歯型 |
たんしがた |
アルキデスヒラタクワガタなど、大顎の形態がいくつかの型に比較的明確に区分できる変異パターンを持つクワガタの歯型の一つで、大顎全体の長さがあまり伸びずに内歯が良く発達するタイプの呼称。小型の個体から大型の個体まで見られることが多い。 |
長歯型 |
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先歯型 |
せんしがた |
ノコギリクワガタなど、大顎の形態がいくつかの型に比較的明確に区分できる変異パターンを持つクワガタの歯型の一つで、内歯が大顎の先端付近に集中するタイプの呼称。大型の個体に多く見られる。 |
両歯型 原歯型 |
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両歯型 |
りょうしがた |
ノコギリクワガタなど、大顎の形態がいくつかの型に比較的明確に区分できる変異パターンを持つクワガタの歯型の一つで、内歯が大顎全体に散在するタイプの呼称。中型の個体に多く見られる。 |
先歯型 原歯型 |
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原歯型 |
げんしがた |
ノコギリクワガタなど、大顎の形態がいくつかの型に比較的明確に区分できる変異パターンを持つクワガタの歯型の一つで、内歯同士がノコギリ状に連なったタイプの呼称。小型の個体に多く見られる。 |
先歯型 両歯型 |
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基本型 |
きほんがた |
ミヤマクワガタにおける歯型の1つで、内歯のうち第1内歯が最も長く発達しているものの、顎を閉じて大顎先端を接触させた状態で左右の第1内歯が接触しない程度のもの。大顎先端の二股は蝦夷型と比べてやや弱い。 |
富士型 蝦夷型 |
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富士型 |
ふじがた |
ミヤマクワガタにおける歯型の1つで、内歯のうち第1内歯の発達が基本型以上に極めて顕著であり、顎を閉じた状態で左右の第1内歯が接触し大顎先端が接触しないもの。先端二股の発達は非常に弱い。 |
基本型 蝦夷型 |
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蝦夷型 |
えぞがた |
ミヤマクワガタにおける歯型の1つで、内歯のうち第1内歯の発達が非常に弱く第3内歯よりも短いもの。大顎先端の二股部が大きく発達する傾向にあり、顎の形は非常にカッコ良いのだが、耳状突起の発達が弱いため頭幅の狭い個体が多く迫力に欠ける面もある。また、大顎全体の湾曲が強い傾向にあるため、体が大きくてもサイズが出難い。比較的寒冷な地域に多く、北海道で多く見られることからこう呼ばれる。本州でも標高の高い山地で見られるが、北海道産のものとは若干バランスが異なるように感じる。ミヤマクワガタの亜種ではないかと言われていた時期もあるが、北海道では蝦夷型・基本型・富士型が同所的に見られる地域もあるため、現在では個体差の範疇とされる場合がほとんど。 |
基本型 富士型 |
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Cタイプ |
しいたいぷ |
クルビデンスタイプの略号。 |
クルビデンスタイプ Gタイプ |
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クルビデンスタイプ |
くるびでんすたいぷ |
タイワンオオクワガタにおける形態上の1タイプで、前胸背板縁側のラインがクルビデンスオオクワガタに近い個体のこと。その形がクルビデンスオオクワガタに似ていることから、一時は「他のオオクワガタとの交雑個体では?」との疑いが掛けられた事もあったが、現在では、純粋なタイワンオオクワガタの中の個体差と考えられている。 |
グランディスタイプ |
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Gタイプ |
じいたいぷ |
グランディスタイプの略号。 |
グランディスタイプ Cタイプ |
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グランディスタイプ |
ぐらんでぃすたいぷ |
タイワンオオクワガタにおける形態上の1タイプで、前胸背板縁側のラインがグランディスオオクワガタに近い個体のこと。この呼び方が使われ始めた頃は、入荷する殆ど全てのグランディスオオクワガタはこのような形であったが、現在ではインド産などクルビデンスタイプのグランディスオオクワガタも入荷するようになり、呼び方に適切さを欠く結果となってしまっている。 |
クルビデンスタイプ |
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黒虫 |
くろむし |
オオクワガタやコクワガタなどの黒いクワガタのこと。生物学上の分類ではなく、趣味の上での分類。色彩などの派手さは無いが、重厚さ・無骨さ・洗練された形態の美しさなどが好まれる。色は黒くても、ミヤマクワガタなどの形態の派手なものは、黒虫には含めない場合が多い。 |
色虫 |
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色虫 |
いろむし |
ニジイロクワガタやホソアカクワガタの仲間など、色彩や形態の派手なクワガタのこと。生物学上の分類ではなく、趣味の上での分類。色彩変異の多い種もあり、形態の面白さや美しさなどが好まれる。 |
黒虫 色彩変異 |
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Dorcus系 |
どるくすけい |
Dorcus属及びその近縁のクワガタの総称。コクワガタの仲間やヒメオオクワガタなどは、過去においてはDorcus属には含められていなかったため、これらの種も含めての総称として使われるようになった。現在においては、多くの種がDorcus属に含められるようになった結果、あまり必要ではなくなってしまった言葉。「黒虫」とほぼ同義。 |
黒虫 |
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外産 |
がいさん |
一般には、日本に生息しないもののこと。稀には、日本にも生息する種類の外国に生息する個体または個体群をも含めて言う場合もある。 |
国産 |
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国産 |
こくさん |
日本国内に生息するもののこと。日本のオオクワガタのことを「国産オオクワガタ」と呼び、中国大陸の同種や朝鮮半島の同亜種と区別する。 |
外産 |
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初令 |
しょれい |
卵から孵化してからまだ1度も脱皮をしたことの無い幼虫の段階で、「1令」と同じ意味。この段階の幼虫を、初令幼虫と言う。 |
孵化 脱皮 1令 |
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亜終令 |
あしゅうれい |
1回目の脱皮を終えた幼虫の段階で、2令と同じ意味。この段階の幼虫を、亜終令幼虫と言う。 |
脱皮 2令 |
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終令 |
しゅうれい |
2回目の脱皮を終えた幼虫の段階で、3令と同じ意味。この段階の幼虫を、終令幼虫と言う。 |
脱皮 3令 |
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1令 |
いちれい |
卵から孵ってからまだ1度も脱皮をしたことの無い幼虫の段階で、「初令」と同じ意味。この段階の幼虫を、1令幼虫と言う。 |
脱皮 初令 |
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2令 |
にれい |
1回目の脱皮を終えた幼虫の段階で、亜終令と同じ意味。この段階の幼虫を、2令幼虫と言う。 |
脱皮 亜終令 |
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3令 |
さんれい |
2回目の脱皮を終えた幼虫の段階で、「終令」と同じ意味。この段階の幼虫を、3令幼虫と言う。 |
脱皮 終令 |
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前蛹 |
ぜんよう |
3令(終令)幼虫が、蛹になる準備のために活動を停止して蛹室のなかで棒の様になった状態。3令幼虫から脱皮をして変化するわけではないので、3令幼虫期における段階の一つであるが、活動期の3令幼虫とはその性質が全く異なるため特に区別してこう呼ぶ。この状態から蛹の初期までの間は、体の構造を幼虫から成虫へと劇的に変化させるため体内がドロドロに溶けたような状態になり、非常にデリケートであって振動と酸欠には特に弱い。 |
脱皮 3令 終令 初令 蛹室 |
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蛹室 |
ようしつ |
3令幼虫が作る、前蛹→蛹→成虫へと変化する期間を過ごすための部屋。幼虫がこの部屋を作ったら、なるべく振動を与えないよう注意が必要となる。 |
脱皮 3令 前蛹 |
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脱皮 |
だっぴ |
成長や変態のために皮を脱ぎ捨てること。昆虫の外骨格である皮は一切成長しない(クワガタなどの幼虫では若干の弾力はあるが、)ため,これを脱ぎ捨てなければ成長することはできない。クワガタの幼虫は、卵から孵ってから4回脱皮して成虫になる。1度も脱皮をしたことの無い状態が初令幼虫で、1回目の脱皮で亜終令(または2令)幼虫に,2回目の脱皮で終令(または3令)幼虫に、3回目の脱皮で蛹に、4回目の脱皮で成虫になる。3回目の脱皮を特に「蛹化」と、4回目の脱皮を特に「羽化」と言う。 |
初令 亜終令 終令 蛹 成虫 加令 |
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加令 |
かれい |
クワガタやカブトムシなどの幼虫が脱皮して、1令から2令、2令から3令となること。昆虫に代表される外骨格の動物は、成長しない外骨格に覆われているため、これを脱ぎ捨てて段階的に成長していく。この外骨格を脱ぎ捨てる作業のうち、脱皮後も幼虫の姿のままでいるのが加令である。 |
脱皮 |
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蛹化 |
ようか |
クワガタやカブトムシなどの3令幼虫が脱皮して、蛹になること。 |
脱皮 蛹 |
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羽化 |
うか |
クワガタやカブトムシなどの蛹が脱皮して、成虫になること。殆どの昆虫の成虫には羽が生えていることからこう呼ばれる。孵化と間違えやすいので注意が必要。 |
脱皮 蛹 成虫 孵化 |
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孵化 |
ふか |
卵がかえって、幼虫が出てくること。羽化(うか)と間違えやすいので注意が必要。 |
羽化 |
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成虫 |
せいちゅう |
昆虫の親のこと。成虫になると脱皮することはなく、それ以上成長しない。昆虫に興味のない人の中には、このことを知らない人が意外と多いので注意が必要。 |
脱皮 |
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幼虫 |
ようちゅう |
昆虫の幼体のこと。クワガタやカブトムシでは乳白色〜濃いクリ−ム色の芋虫状で、脱皮しながら成長する。 |
脱皮 |
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蛹 |
さなぎ |
完全変態の昆虫が、幼虫から成虫になるための準備段階のこと。餌を食べず、ただひたすらに成虫の体を作り上げる事だけに全てを費やす期間。特に蛹化してから数日間は、体の構造変更のため内部がドロドロになったような状態であり、ちょっとした振動でも重大なダメージを受けやすい期間であるから、なるべく触らないなど取扱いには注意が必要。クワガタやカブトムシなどでは、通常3令幼虫が脱皮して蛹になる。 |
脱皮 幼虫 成虫 |
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♂ |
おす |
オス(雄)をあらわす記号。クワガタに限らず、動物において広く使用される。 |
♀(めす) |
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♀ |
めす |
メス(雌)をあらわす記号。クワガタに限らず、動物において広く使用される。 |
♂(おす) |
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産卵痕 |
さんらんこん |
クワガタのメスが木に卵を産み付けるために彫った跡のこと。ルリクワガタの仲間などは、朽木の表面に(・)のような形の明確な産卵痕をつけ、真ん中の点の部分に卵が一つ産み付けられており、その両脇のカッコ形の刻みは、水分調整のためのものであると言われている。もっと身近な種では、コクワガタも同じような産卵痕をつける場合がある。 |
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卵座 |
らんざ |
クワガタのメスが卵を産むために、朽木やマットの中に作った空間。または、その中に朽木の屑を固めて作られた卵の台座。クワガタのメスは、朽木に大顎で穴を掘って卵を産みつけて、朽木の屑で埋め戻すが、卵は、朽木で完全に押さえ込まれてしまった状態ではなく、朽木の中に作られた、卵よりも一回りから二回り大きい空間に収まった状態で生みつけられている。これは、成長の過程で周りの水分を吸って膨らむ卵のために、メス親がそのための空間を用意しておくものだと言われている。 |
朽木 マット |
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食痕 |
しょっこん |
クワガタの幼虫により掘り進まれた坑道の中に満たされた、幼虫が噛み砕いて粉砕した朽ち木や幼虫の糞など。または、坑道そのもの。朽ち木に潜行するタイプのクワガタの幼虫は、この坑道に、粉砕した朽ち木に自らの糞を混ぜ込んだものを詰め込んで確保・保存し、これが糞の中の微生物により発酵したものを摂取する。つまり、坑道に詰まった食痕は、クワガタの幼虫にとってサイロの役割を果たしているのである。材割採集においては、この食痕を追って削り進み、幼虫の居場所にたどり着く目安とする。菌糸瓶飼育においては、白い菌糸の廻った菌床を幼虫が通った跡が、茶色い食痕となって明確に現れるため、この食痕の量や色などにより菌糸瓶の状態を把握し、餌交換のタイミングの目安とする。また、ヒメオオクワガタなどの樹皮に自ら傷を付けて樹液を出させて吸うタイプのクワガタの成虫が、木の枝等に付けた削り跡を指す場合もある。 |
坑道 材割採集 餌交換のタイミング |
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坑道 |
こうどう |
クワガタの幼虫が、朽ち木などに穴を掘って食い進んでできたトンネル。一本の朽ち木の中に、複数の幼虫が坑道を掘りながら生活している場合でも、坑道は互いにつながってしまう事無く、暗闇の中でもまるで見えているかの様に上手く避けあって掘り進められていく。これは、幼虫がその脚にある発音器によって音を出して自分の居場所(テリトリー)を主張し合ったり、この音波をソナーの様に利用して、その反響により朽ち木の中の坑道を立体的に認識する能力をもっているからであると言われている(ソナー:主に船舶などに搭載されているレーダーの様なもので、音波又は超音波を発して反射してくる音波などを解析する事によって、視界の効かない海中の様子を把握する装置。イルカが海底の砂の中の餌を探し出すのも、一部のコウモリが真っ暗闇の中で自由に飛び回り餌の昆虫を捕らえる事が出来るのも、このシステムを備えているため)。 |
食痕 朽木 |
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虫屋 |
むしや |
狭い意味では、採集、購入、交換、強奪(?)など、あらゆる手段を用いて多くの昆虫標本を収集し、昆虫の分類や新種の記載などに執念を燃やす人達のこと。広い意味では、純粋に集めて自慢することを目的とする人や飼育・繁殖を楽しむ人、標本商の人なども含まれる。けして、昆虫専門店の店主や店員さんの事ではない(本来こちらが、本当の意味での「虫屋」であると思うのだが…)。 |
生き虫屋 |
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生き虫屋 |
いきむしや |
虫屋の中でも、標本よりもどちらかと言うと生体に価値を見出し、飼育や繁殖を中心に楽しむ人のこと。これに対して、生体よりも標本に価値を見出し、新種の記載や分類を中心に執念を燃やす人たちがおり、狭義の「虫屋」であるこのような人達が、虫を飼育する人達を軽視して「生き虫屋」と呼ぶようになったのであって、生き虫屋本人達は自分のことを「生き虫屋」とは呼ばないことが多い(そもそも、いわゆる「生き虫屋」の中には、「虫屋」と言う呼称に強い嫌悪感を抱き、「虫屋虫屋って、てめー虫売って生活しとるんかい!」と、不快の意を表明する人もいるため、その使用には注意を要する。)。これに対抗した生き虫屋が、狭義の「虫屋」を指して、「死に虫屋」と呼ぶ場合もある。 |
虫屋 |
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ワシントン条約 |
わしんとんじょうやく |
「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」の俗称。正式略称で、「CITES(サイティス)」と呼んだ方が通っぽい。絶滅の恐れのある野生動植物を、過度な国際商取引から保護することを目的とした条約で、個人が海外から持ちかえる場合にも適用がある。日本は1980年に批准した。絶滅の危険性などにより、次の3つの附属書に分けて記載されている。@附属書T/国際取引によって絶滅の恐れが生じている種で、営利目的の国際取引が禁止され、学術目的の場合のみ証明書付きでの取引きが認められる。ただし、CITES事務局に登録した養殖場での繁殖個体は、附属書U種として扱われる。A附属書U/国際取引を規制しないと、今後絶滅の恐れが生じると思われる種で、輸出には許可証が必要。B附属書V/各国が自国内での保護のため、他国の協力を得て国際取引を規制したいと考える種で、申し出をした国に生息する個体にしか適用が無い。輸出には許可証が必要。この条約で規制されるのは、海外からの持ち込みと海外への持ち出しについてのみだが、国内においては別に、「絶滅の恐れのある野生動植物の種の保存に関する法律」によって、この条約の附属書T種について国内取引きの制限がなされている(今のところ、U種とV種については国内での取引きに関する制限はないが、日本国内の種については、別に「特定国内希少野生動植物種」として、同法によって規制されているものもある)。いずれにせよ現在のところは、クワガタでこの条約及び関連国内法で規制されている種は存在しないので、クワガタの飼育や標本のコレクションに関して、問題になることはない。日本国内においてクワガタに関係のある規制は、「植物防疫法」のみであり、CITESと混同しないよう注意が必要。 |
「植物防疫法 |
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絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際商取引に関する条約 |
ぜつめつのおそれのあるやせいどうしょくぶつのしゅのこくさいしょうとりひきにかんするじょうやく |
「ワイントン条約」の正式名称。 |
ワシントン条約 |
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CITES |
さいてぃす |
「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」の略称。 |
ワシントン条約 |
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植物防疫法 |
しょくぶつぼうえきほう |
内外の農業生産を保護するため、農作物に対する有害動植物の輸出入を制限し、その蔓延を防止するための法律。クワガタに関して、外国からの持ち込みを直接制限する法律はこの法だけである。したがって、「農業害虫となる可能性が無い」と判断されたクワガタを外国から持ち込むことに関しては、法的になんら問題ない。ただし、「農業害虫となる可能性が無い」とされている種の持込に当たり、明確な同定が可能なオス成虫個体以外については、「その種である」と言う現地官権の証明書が必要である。 |
同定 ワシントン条約 |
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クヌギ |
くぬぎ |
北海道には自生していないとされる広葉樹の一種で、本州ではクワガタの採れる木の代名詞。道内では、厚沢部町や小樽市などに極小規模なクヌギ林が見られるが、人の手によって植林されたものと思われる。気候が合わないためか、道内に植えられたクヌギからはクワガタを強く誘引する良い樹液が出ることは少ないようである。稀に道内においても「クヌギの木からクワガタを採った」と言う話を聞くが、そのほとんど全てがミズナラの誤りである。クヌギはクワガタの幼虫にとって栄養価が高いとされており、比較的高価なマットはクヌギを原料としている場合が多い。 |
マット コナラ ブナ |
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ブナ |
ぶな |
北海道の原生林を代表する木の一種。本州では標高1000メートル以上の高地に多いが、北海道では平地にも見られる。黒松内低地帯がブナ林の北限とされるが、これより北にも小規模な林が見られる。北海道におけるオオクワガタとヒメオオクワガタの分布域は、このブナの分布域と重なる部分が多い。ブナのマットは比較的分解が早いとされており、これを原料とした菌糸瓶は一部のクワガタに対してクヌギよりも合っていることがある。 |
クヌギ コナラ ミズナラ |
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コナラ |
こなら |
本州方面では、クヌギに次いでクワガタの採れる木。北海道にも一部で自生するが、気候が合わないのかクワガタの集まる良い樹液を出すものは少ない。クワガタの幼虫にとって、クヌギよりも栄養価が低いとされ、マットの原料としては比較的安価。栄養価が低いとされるのは分解か遅いためではないかと考えられ、成虫の床としては適しているように思われる。 |
マット クヌギ ブナ ミズナラ |
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ミズナラ |
みずなら |
北海道でクワガタの採れる木の代名詞。樹液が出ていれば、それはクワガタを強く誘引する良い樹液である確立が非常に高い。ミヤマクワガタ、ノコギリクワガタ、コクワガタなどは、良いミズナラの木を知ってさえいれば、大漁間違いなし。 |
ハルニレ |
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ハルニレ |
はるにれ |
ミズナラに次ぐ、北海道でクワガタの採れる木の代名詞。ミズナラとは違い、樹液が出ていてもクワガタが集まるものは少なく、良い樹液である確立は低い。集まるクワガタの種はミズナラと同様。 |
ミズナラ |
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ヤナギ |
やなぎ |
アカアシクワガタやヒメオオクワガタなどが集まる木。多くの種類があり、区別するのはなかなか難しい。ミズナラやハルニレの少ない場所では、ノコギリクワガタ、ミヤマクワガタ、コクワガタ、スジクワガタなども集まる場合がある。 |
ミズナラ ハルニレ |
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ハンノキ |
はんのき |
アカアシクワガタやヒメオオクワガタなどが集まる木。多くの種類があり、区別するのはなかなか難しい。ミズナラやハルニレの少ない場所では、ノコギリクワガタ、ミヤマクワガタ、コクワガタ、スジクワガタなども集まる場合がある。 |
ミズナラ ハルニレ |
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ブドウ糖 |
ぶどうとう |
非常に低分子の糖類(単糖類)で、ショ糖を分解吸収できないとされるクワガタの成虫がそのまま吸収できる状態の糖類。 |
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グルコース |
ぐるこおす |
ブドウ糖の一種。 |
ブドウ糖 |
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ガラクトース |
がらくとおす |
ブドウ糖の一種。 |
ブドウ糖 |
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白枯れ |
しろがれ |
白色腐朽菌によって朽ちた木のこと。ブナやミズナラなどがこの状態になる場合が多く、オオクワガタやコクワガタなどの幼虫に適したホストとなる。 |
白色腐朽菌 ホスト |
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赤枯れ |
あかがれ |
褐色腐朽菌によって朽ちた木のこと。カツラ、サクラなどがこの状態になる場合が多く、ツヤハダクワガタやマダラクワガタなどの幼虫に適したホストとなる。 |
褐色腐朽菌 ホスト |
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白色腐朽菌 |
はくしょくふきゅうきん |
木を白く腐朽させる菌類の総称。これらの菌は、主に木質中のリグニンを分解するため、残ったセルロースによって白く見える。野生のオオクワガタが好むカワラ茸や菌糸瓶に使用されるヒラ茸の仲間などがその例。 |
リグニン セルロース リグノセルロース |
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褐色腐朽菌 |
かっしょくふきゅうきん |
木を赤茶色に腐朽させる菌類の総称。これらの菌は、主に木質中のセルロースを分解するため、残ったリグニンによって赤茶色に見える。マス茸などがその例。 |
リグニン セルロース リグノセルロース |
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カワラ茸 |
かわらたけ |
瓦のように小さなキノコが沢山重なった状態の子実体を形成する、白色腐朽菌の一種。この菌で朽ちた木には野生のオオクワガタが好んで産卵するため、クワガタの幼虫にとって非常に栄養価の高い状態の朽木を作り出すものと考えられる。しかし、木質を分解するスピードが非常に早いことと、雑菌に弱い傾向があるため、菌糸瓶には利用し難い。 |
白色腐朽菌 オオヒラ茸 菌糸瓶 カワラ材 |
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オオヒラ茸 |
おおひらたけ |
食用にもされる白色腐朽菌の一種。この種の真菌類としては比較的高温にも強く、クワガタの菌糸瓶に利用しやすいため、多くの菌糸瓶にはこの種の菌が使用されている。 |
白色腐朽菌 ヒラ茸 菌糸瓶 |
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ヒラ茸 |
ひらたけ |
食用にもされる白色腐朽菌の一種。クワガタの菌糸瓶に利用するには多少高温に弱いため、オオヒラ茸よりは使用されることが少ないが、低温での管理さえできれば問題なく、一部の菌糸瓶には使用されているようである。 |
白色腐朽菌 オオヒラ茸 菌糸瓶 |
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アワビ茸 |
あわびたけ |
極稀に、菌糸瓶に使用されている白色腐朽菌の一種。オオヒラ茸と呼ばれるものと、同じものかもしれない。 |
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レイシ(霊芝) |
れいし |
漢方薬として珍重される、白色腐朽菌の一種。種としての菌そのものではなく、その子実体を指す場合も多い。 |
霊芝材 万年茸 |
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万年茸 |
まんねんたけ |
レイシ(霊芝)と同一のもの。こちらは、菌そのものの呼称として使用されることが多い。 |
レイシ(霊芝) |
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