オーストラリア(ノーザンテリトリー)野鳥観察記
2003年7月12−19日
オーストラリアの北部の都市ダーウィンで開催された国際学会へ参加し、国立公園などにも行って野鳥観察も楽しんできました。
12日夜大阪・関空を発って13日朝ブリスベン経由で13日にダーウィン入りしました。
南半球は7月は冬ですがブリスベンの空港は涼しくて気持ちが良いくらい。早速駐車場を歩くトキの仲間(Sacred Ibis)を見つけました。
空にはツバメの仲間 Fairy Martin。国内線航空機の窓から見える広大な台地はひたすら平らで砂漠と蛇行して流れる川と川の跡が広がっていました。
ダーウィンは熱帯で今は乾季。山火事が発生しているところも空から見ることが出来ました。空港から降り立つと非常に日差しがきつい。サングラスを買ってきて正解でした。
シャトルバスで市内に入り、先輩と2人でユースホステルにチェックイン。その後学会会場のホテルへ行き受付やポスター貼りを済ませ、議会建物で開かれたウェルカムパーティーに参加。
ここでは芝生の上をムクドリよりやや大きめの白黒の鳥 Magpie-lark がとことこ歩き回っていました。オーストラリアでは普通種のようですがなかなか愛嬌のある鳥です。
14日から16日はまじめに学会に参加。朝などのユースと会場間の道では数種の Honeyeater 類を見かけ、識別に結構苦労しました。
街中で見かけるハトは2種類いて、1種は「カトーカトー」と鳴く Bar-shouldered Dove、もう1種は小ぶりの Peaceful Dove でした。
ユースの斜向かいに"Possum Cafe"という店があり、夜になるとこの店の前の大木上に人からの餌を求めて町じゅうからポッサムが集まってきて、観光客で賑わっていました。
17日は早朝6時半出発で先輩と共に民間業者主催の世界遺産カカドゥ国立公園1日ツアーに参加してきました(地図)。カカドゥに行く道で、シロアリ塚の教会?にまず寄りました。熱帯のシロアリの巣はまさに芸術品です。
この周囲の林で大きな黒いオウム Red-tailed Black-Cockatoo を見かけました。更にバスで進んでいく途中ではツル Brolga を道路脇に見つけました。
カカドゥ国立公園への入場には入園料がかかります。しかし16.25オーストラリアドル(約1300円)で1週間通用なのでそれほど高く感じません。日本の国立公園でも500円くらい徴収したらいいのに。しかし徴収するための人件費が収入を上回るところが続出しそうです。
まずは Ubirr という巨岩がごろごろしている場所へ。ここの岩には古代のアボリジニの壁画がいくつも残っています。岩の木陰には Yellow-footed Rock-wallaby が2頭休んでいました。
巨岩のひとつの頂上に上ると360度のパノラマ。目の前には広大な湿地が広がり、水鳥もいるようですが遠くて識別不能。ペリカンは分かりました。
反対側は岩山に囲まれた熱帯季節林。ここでは Rainbow Lorikeet や White-belied Cuckoo-shrike を見かけました。
昼食(弁当)を Jabiru 近くの湖畔の公園で食べた後、ビジーターセンター(ここでは鳥の図鑑も数種売っている)に寄ってから Yellow Water Cruise に参加。
ここではクロコダイルが見物なのですが、ボートの操縦士兼ガイドが次々と鳥も発見して名前を教えてくれます。
そしてここでは鳥が非常に近くで観察でき、私の110mmレンズ望遠しかないコンパクトカメラでも何とか識別可能な写真が何枚か撮れました。
White-breasted Sea-Eagle はかなりの数がいて、大きな巣がいくつも樹上に架かっていました。岸には Burdekin Duck や Plumed Whistling-duck の大群、水面に張り出した木には Littele Kingfisher や Rainbow Bee-eater、Shining Flycatcher、水面には Australian Pelican や Green Pygmy-goose や美しいクイナの仲間 Comb-crested Jacana を間近に見ることが出来ました。
コウノトリの仲間 Jabiru はノーザンテリトリーのシンボル的な鳥のようですが、遠くに確認することができました。
カカドゥからダーウィンへの帰り道は夕陽を追いかける形。広大な台地に降り注ぐ夕陽は美しいものでした。なお、南半球では東から上ったお日様が“北”を通って西に沈みます。
カカドゥとダーウィンの中間あたりの店で夕食を取る頃にはすっかり日も暮れ、ダーウィンまでのハイウェイには街灯もなく満天の星空でした。
ダーウィン市内に戻ってきたのは夜9時過ぎ。非常に充実した1日でした。
17日は先輩はワークショップ参加のため、ひとりで1日ダーウィン市内を歩き回りました。
まずは Bicentennial Park で野鳥観察。ここは学会会場の直ぐ向かいで何度か見ていたのですが、よくよく歩くとかなりの種類の野鳥たちを間近に見ることができました。
Black-faced Cuckoo-shrike や Varied Triller、赤いアイシャドーの Figbird がそこかしこに。Forest Kingfisher も木陰にとまっているし、キジの仲間の黒い鳥 Orange-footed Scrubfowl はブッシュで巣作りをしたり芝生の上を歩いたり。トキの仲間 Straw-necked Ibis も芝生の上で餌をついばんでいました。
その後、モールでお土産を買ったりしてから植物園へ。途中のゴルフ場の池ではクイナの仲間の Masked Lapwing(これは海岸にも多数いた)。植物園では Mistletoebird や Double-barred Finch といった小鳥類を見るが非常に暑いため、昼前に博物館に逃げ込む。アボリジニのアートやオーストラリアの生きものの展示を見た後、博物館内のカフェで昼食。
午後からは暑い中を海岸沿いにひたすら歩き、イーストポイント半島にあるというマングローブ園を目指す。空が青い。海も青い。イーストポイントのアレキサンダー湖(人造湖?)には全身灰色で顔だけ白いサギ White-faced Heron。ようやくマングローブ園にたどり着いたと思ったら、メンテナンスで休園中とのこと。
がっくりきて暑い中疲れ果てて再び同じ道をひたすら市内に向かって歩いて戻りました。海岸沿いには Rainbow Bee-eater が結構いたほか、全身白い高貴そうなハト Torresian Imperial-Pigeon を見かけた。
疲れたが見た鳥は結構な種数となりました。
夜は市内の中華のファーストフードで夕食を済ませた後、3人でスミス・ストリートの角のイタリアンカフェへ。ここのテーブルクロスは紙で、テーブル上にはクレヨンが置いてあって、上手い絵を描くとカウンター後ろの壁に飾ってくれるらしい。3人で夢中になってお絵かきをして、テーブルいっぱいの絵を残してきました。さてこの力作の運命はいかに。
この日の夜行便でシドニーに向かう。
19日朝到着したシドニーはさすがに冬で寒く、乗換えまでの数時間を空港内で過ごす。出航直前にチョウゲンボウ Australian Kestrel を見かけました。
帰りの飛行機は2階席で快適で、窓からグレートディバイディング山脈や広大な大地、パプアニューギニア島などを眺めながら帰国しました。
英語力不足は否めませんが、充実した旅行となりました。この1週間で観察した野鳥は60種余りにもなりました。(→確認した鳥のリスト)