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日本工業規格−工業用クロムめっき

1.適用範囲
2.用語の定義
3.めっきの記号
4.品質
5.試験
6.検査

適用範囲

この規格は、鉄、鋼及び非鉄金属素地上に耐磨耗性などの工業用の目的で行った有効面(注1)の電気クロムめっき(以下、めっきという。)について規定する。(注1)用途上重要な表面をいう。

備考1 この規格の引用規格を、次に示す。
JIS B 0601 表面粗さの定義と表示
JIS B 7502 外側マイクロメータ
JIS B 7515 シリンダゲージ
JIS H 0400 電気めっき用語
JIS H 0404 電気めっきの記号による表示方法
JIS H 8501 めっきの厚さ試験方法
JIS H 8502 めっきの耐食性試験方法
JIS H 8503 めっきの耐磨耗性試験方法
JIS H 8504 めっきの密着性試験方法
JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験方法
備考2 この規格の対応国際規格を、次に示す。
ISO 6158:1984 Metallic coatings
Electroplated coatings of chromium for engineering purposes
参考: めっきの用途とめっきの厚さの例を参考 付表1に示す。


用語の定義

この規格で用いる主な用語の定義は、JIS H O400によるほか次による。

ポーラスクロムめっき
めっきの表面に、溝又は穴を形成させたもの。次の二つのものがある。

・エッチングタイプ
めっき後、電解的にエッチングを施して多孔性にしたもの。チャンネル、ピンポイント及びインターメジエートタイプとがある。

・ナーリングタイプ
素地を機械的に多孔性に加工し、これをめっき面に反映させたもの。


多孔率
ポーラスクロムのめっき面の任意の面積内において、溝又は穴の占める面積の割合を百分率で表したもの。


めっきの記号

めっきの記号はクロムめっきの元素記号Crの前に工業用を表す記号Tを付けて表す他、JIS H 0404及び表1による。

表1.めっき前後の加工方法の記号
加工方法 めっき前 めっき後
バフ仕上げ 1BF 2BF
ポーラス加工 1P 2P
ラッピング 1GL 2GL
超仕上げ 1GSP 2GSP
液体ホーニング 1LH 2LH
ブラスト仕上げ 1SB 2SB
グラインダ加工 1G 2G

備考1:めっき前後に2種類以上の加工を施す場合は加工の順に左から右に各記号をコンマで区切って示す
備考2:めっきの最終表面粗さは、JIS B O601による


品質

めっきの外観
めっきの外観は、5‐1によって試験をか、表面は平滑で、焦げ、こぶなど使用上有害な欠陥があってはならない。ただし、つや消し仕上げ(液体ホーニング、ブラスト仕上げ、ポーラス加工など)のものについては、必ずしも平滑でなくてもよい。

めっきの最小厚さ及び許容差
めっきの最小厚さ及び許容差は、受注当事者間の協定による。

めっきの多孔率
ポーラスクロムめっきの多孔率については、受注当事者間の協定による。

めっきの密着性
めっきの密着性は、5‐4によって試験を行い、めっきのははく離又は膨れがあってはならない。

めっきの硬さ
めっきの硬さは5‐5によって試験を行い、ビッカース硬さ750以上とする。ただし用途によってはビッカース硬さは受渡当事者間の協定によってもよい。

めっきの耐磨耗性
めっきの耐磨耗性は、受注当事者間の協定による。

めっきの耐食性
めっきの耐食性はこの品質を特に重視する用途に対してだけ適用し、その品質は受注当事者間の協定による。


試験

外観試験
外観試験は、目視によって表面の平滑度(注2)、密着の程度(注3)、焦げ(注4)、ピット、こぶ及び著しく不均一なめっきの有無を調べる。
(注2)
めっきの平滑度は素地仕上げの良否に支配されるものであるから、次の点に注意しなければならない。
・めっきを施す部分の表面は平滑で、鋳巣、刃物きず及びその他の不備があってはならない。
・めっき後、仕上げを行うか−部品の表面は、めっき後、要求される仕上げ面と同等又はそれ以上の仕上げをめっき前に行わなければならない。
(注3)
めっきの密着性が悪い場合は、部分的にめっきがりん片状に離脱していることがある。また、素地の欠陥によって、はく離を生じることもある。
(注4)
一般にめっきは金属光沢を呈しているものであるから、焦げは試験の対象になる。めっき後、研磨して使用するものはこの限りではない。


厚さ試験
厚さ試験は、原則としてJIS H 8501に規定する顕微鏡断面試験方法による。ただし、JIS H 8501に規定する磁力式試験方法、電解式試験方法又は次の方法によってもよい。


マイクロメーター又はシリンダゲージを用いる方法
製品の寸法をJIS B 7502、JIS B 7515又はこれらと同等以上の精度をもつ測定器で測定し、さらに、めっき終了後、同一箇所を測定して、その差をめっき厚さ(注5)とする。ただし、測定は、少なくとも3か所以上について行う。
(注5)
素地研磨を行うものは、研磨後の寸法を基準とし、めっきが両面にある場合は測定値の1/2とする。なお、めっき後、研磨仕上げを行うものは、めっき厚さを指定する場合は研磨しろを考慮に入れなければならない。


多孔率試験
多孔率試験は、ポーラスクロムめっき後(注6)、顕微鏡を用いて、めっきの表面又はスンプ法(注7)によってセルロイド板に転写した表面状態を倍率100倍に拡大して単位面積当たりの孔の面積を求める。
(注6)
試験に際して、ポーラスクロムめっき後、仕上加工を施す場合には、仕上加工完了後、直ちに表面の溝又は穴から遊離異物を除いて清浄にしなければならない。
参考
仕上加工後、表面が光の乱反射のため光沢むらを生じる場合がある
(注7)
薄いセルロイド板(厚き0.1〜0.3mm)にセルロイドを溶かした酢酸アミル溶液を塗り、これを被検査物の表面に押し付けて乾燥後、はぎ取り、セルロイドに転写された被検査物の表面を顕微鏡下で観察する方法


密着性試験
密着性試験は、JIS H 8504に規定すると(砥)石試験方法、曲げ試験方法又は引張試験方法のいずれかによる。なお、製品について試験が行えない場合は、試験片によって行ってもよい。試験片は製品を代表できるようなものとし、素地金属に相当(注8)するものであると同時に、めっき条件(注9)も同じなければならない。
(注8)
素材の組成、製造条件及びめっき前の仕上げの状態が製品と同様であることが望ましい。
(注9)
前処理及びめっきは、製品と同一の浴及び同一条件で行い、作業条件の影響が試験片に反映するように製品と同時に行わなければならない。


硬さ試験
硬さ試験は、JIS Z 2244によるほか、次による。
硬さは少なくとも5か所以上を測定し、その算術平均値をめっきの硬さとする。試験荷重は、原則として0.4903N以上とし、荷重保持時間は15秒以上とする。なお、測定が困難な場合は、5‐4の試験片の一部を用いて試験を行ってもよい。

1.試験片の試験面は平面であることを原則とし、表面は加熱されないよう、ていねいに仕上げる。また、ポーラスタロムめっきは、平たん部を測定することが望ましい。多孔率が大で平たん部の面積が小さい場合は、多孔部の部分を除去して測定してもよい。

2.めっきの厚さは、生じたくぼみの対角線の長さの1.5倍以上であること。

3.硬きの数値を表示する場合は、次のようにする。
例:試験荷重0.4903N、保持時間15秒、ビッカース硬さ800の場合、試験荷重0.4903Nを表す硬き記号HV0.05を用いて800HV 0.05/15又は800HV 0.05


耐磨耗性試験
耐磨耗性試験は、JTS H 8503に規定する砂落し磨耗試験、項射磨耗試験、往復運動磨耗試験、平板回転磨耗試験又は両輪駆動磨耗試験のいずれかの方法による。ただし、受注当事者問の協定によって有効性が認められた方法によってもよい。


耐食性試験
耐食性試験は、JIS H 8502に規定する中性塩水噴霧試験方法による。


検査

検査は、次によって行う。 検査のための試験片の数、その試験片の抜取方法・検査順序及び検査対象箇所並びに試験片の代替使用は、受注当事者間の協定による。 めっきは5.によって試験を行い、4.の規定に適合しなくてはならない。



Copyright(C) The Hard Chromium Platers Association of Japan

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