花岡和解に関する鹿島建設のコメント

2000年11月29日、東京高裁で花岡事件訴訟の和解が成立した直後に、 鹿島建設株式会社は同社の公式ホームページにコメントを掲載した。 このコメントは「花岡和解」にたいする鹿島建設の態度を率直に表明したもので、 裁判官所見でも触れられている裁判中の 「被控訴人の主張の基調」を明らかにするものであり、 また基金の拠出は補償や賠償の性格を含むものでないことを明言している。
コメントは「花岡和解」ののち約1年で鹿島建設が公式ホームページから 削除したので、われわれはウェブのアーカイブにリンクして表示していた。 しかし最近になってこれも失われたようなので、 このコメントの重要性に鑑みて、保存されていた資料から復元したものである。


                          [2000.11.29.]

花岡事案和解に関するコメント

                         鹿島建設株式会社

 標記につき、本件に対する当社のコメントは次の通りです。

【コメント】
 昭和19年から昭和20年にかけて、 当時の日本政府の閣議決定による中国人労働者内地移入政策に基づいて、 当社花岡出張所(秋田県大館市)においても、 多くの中国人労働者が労働に従事されました。 戦時下でありましたので、この方々の置かれた環境は大変厳しいものであり、 当社としても誠意をもって最大限の配慮を尽くしましたが、 多くの方が病気で亡くなるなど不幸な出来事があり、このことについては、 深く心を痛めてきたものであります。

 中国人労働者の一部の方が当社の責任を求めて訴訟を提起しましたが、 第1審においては原告の請求が棄却されたため、東京高等裁判所に控訴、 係属中でありましたが、同高裁から和解のお話があり、 当社は提起された訴訟内容については当社に法的責任はないことを前提に、 和解協議を続けてまいりました。 また、この解決に当たっては慰霊等の対象として花岡出張所で労働に従事した 986名全員を含めることがふさわしいことを主張し、 具体化に向けて協議を行ってまいりました。 これら、当社の主張が裁判所及び控訴人に十分に理解され、 また、中国紅十字会の参画を得て受難者の慰霊、遺族の自立、 介護及び子弟の育英など具体的に実施できうる仕組みも整う見込みがたちましたので、 裁判所から勧告された金額を拠出し『花岡平和友好基金』の設立を含む和解条項に、 合意いたしました。 なお、本基金の拠出は、補償や賠償の性格を含むものではありません。

 上記の主旨で設立された『花岡平和友好基金』 が所期の目的を達することを強く期待いたします。

                         以 上


「私の戦後処理を問う」会 <<トップページに戻る>>