KIDS VIDEO CAM
徹底解析レポート

KIDS VIDEO CAM

パーツショップの老舗である秋葉原デパートの前にGoodManというディスカウント屋があります。このディスカウント屋にKIDS VIDEO CAMという子供向けのビデオカメラが2980円で売られています。玩具メーカー「ツクダ・オリジナル」の製品で定価は12800円のようです。

見た目はハンディカム風ですが、中身はCCDカメラがが入っていて、家庭のビデオデッキに接続して録画して遊ぶという物のようです。対象年齢4歳以上向き!の玩具だそうですが、白黒とはいえCCDカメラが2980円で手に入るのは格安です

1998.1.21 初版

1998.4.10 改定 de JS1RSV

1998.11.24 追記

付属品がいっぱい

安いのに付属品は豊富に入っています。KIDS VIDEO CAMと書かれたカメラバッグ(20x18x12cm)はラバー付きで小物を入て持ち歩くのには良さそうです。7mもあるステレオ・ミニプラグ(3.5mm)の延長ケーブルと、ミニプラグ→RCAへの変換ケーブルも入っていて役立ちそうです。電源には9VのDC電源か、単3電池6本の何れかが使えますが、ACアダプタ等は付属していません。

さて、その実力は?

しかし、やはり玩具、室内だと映像が異様に暗い!おまけにピントも甘い!、仕様では30cm〜9mがピントが合う範囲で、より奇麗に写るのは50cm〜3mと書いてありますが、どうもボケて見えます。露出は自動補正と書いてありますが、見る限り自動補正されているようには見えません。蛍光燈を写しても、暗がりを写しても同じ写り方をしています。CCDで自動補正回路(AGC)が無いとは思い難いので、なんらかの原因で、回路が無効になっていると思えます。さらに、レンズも35mm換算で70mm程度の望遠ぎみなので使いづらそうです。

早速、分解してみると・・・

アンプ基板本体は全てネジで止められていて、さすが中国製です。おかげで分解は簡単にできました。バラすと中からアンプ基板・コネクタ基板・CCD・マイクが出てきますが、これらが皆コネクタ経由で接続されています。なんとも贅沢な作りですね。アンプ基板はマイク用のアンプ回路で、映像関係は整合用の抵抗?(入り方が少しヘン)が有るだけです。

CCDユニットCCDユニットは案外小型です。1/4インチのようで、ユニット自体もネジを外すだけで分解できます。中からCCD基板が出てきて、なかなか面白いです。このCCD基板にはCCDチップと3端子レギュレータと若干のC・R等が乗っているだけす。1チップの中にイメージセンサと制御回路が入ってしまっているようです。

CCDユニットの解析

CCD基板画面が暗くて使いにくいので、何とかしてCCDユニットのAGCをONにしてやろうと、インターネットでCCDユニット調べてみました。「KIDS VIDEO CAM」というキーワードでは有用な情報を見つけることができませんでした。CCDチップのシリコンウエハを虫眼鏡で見るとVISIONとプリントされていますが、型番などは分かりません。最初はVLSI VISION Ltd.とは気付かず、VISIONだけでは検索数が多くて分かりません。仕方がないので、CCDチップを基板から剥がしてみることにしました。

CCDチップは、半田吸収線で周辺の半田を吸い取れば、比較的簡単に取り外せます。外してみて気付いたのですが、パッケージはQFPではなくLCCでした。型番はVV5400C001EBのようです。

CCD裏面 CCD表面

今度はVV5400で検索してみると、チップ自体のデータは見つけられませんでしたが、海外のホームページ(http://www.realiyt.demon.co.uk/tyco.htm)でTYCO VIDEO CAMという、KIDS VIDEO CAMと全く同じ製品の解析レポートが見つかりました。なんと、海外でも売られているんですね。どうやら、ホームページの主は、私と同じくCCDチップを基板から剥がして解析したようです。

ホームページを参考に、KIDS VIDEO CAMの回路図(準備中)を作ってみました。なんと、部品番号やケーブルの色まで同じようです。ただ、TVの方式が違うせいか、水晶の周波数が違うようでした。

ホームページには、VV5400に類似しているVV5402のデータが紹介されていました。このデータと基板の結線を比べてみると、やっぱりAGCはOFFになっているようです。他にも、露光を設定用にピンが2本(AEC,BKLIT)、ガンマ補正(LIN)などもできることが分かり、早速いたずらしてみることにしましょう。

AGCをONにする

AGCをONにするには、22ピンの半田を吸い取って、端子を基板から浮かせてやればOKです。結果は思った通りに室内でも明るく映るようになりました。ただ、明るくなったと同時に、画面がざらざらした感じになりました。暗くて見えないよりはマシですが、画質の方はイマイチです。

AGC ON方法

VV5402の参考回路をみると、KIDS VIDEO CAMの回路はリファレンス電圧関係のコンデンサをケチっているようです。画質の悪さは、この辺が影響しているのかもしれません。参考回路に改造したいところですが、CCDユニット内部のスペース的な余裕が無くチップ型コンデンサでも使わないと改造は難しそうなので、まだ実現していません。

AECは露光の設定用のようですが、AECをOFFにするとAGCもOFFになってしまいます。BKLITは画面中心部分を見て露光を決定できるような設定のON/OFFのようです。デフォルトはOFFですが、ONにするにはピンに5Vを繋がなくてはなりません。細いリード線でCCDユニット内部で配線します。これをONにするかどうかは好みの問題のようです。


CCDユニットの改造

KIDS VIDEO CAMの回路はリファレンス電圧関係のコンデンサをケチっています。チップのコンデンサが入手できたのでサンプル回路と同等程度に改造してみました。

・・・で、結果はというと、粒子の荒さは改善されませんでした! 逆に引き回しの問題か、定数の違いのせいか、逆に変なノイズがでてしまうようです。このへんは、手抜き配線した私が悪かったのかもしれませんが、苦労して改造するだけの価値は無さそうです。ちょっと、残念な結果に終わりました。カラーCCDが6Kで入手できる昨今、いまさら白黒でもありませんし、このユニットは捨ててしまうかな(^^;)