ワンチップマイコン(80C31)使用のG3RUH互換モデム

RSV96 製作編


以下の文章はCQ誌1993年5月号に掲載されたものと、ほぼ同じものです。同年3〜5月号にも関連記事がありますので、一緒にご覧頂ければ幸いです。基板プリントパターンも公開しますので作りやすくなったと思います。

■ RSV96の製作

初代RSV96基板ハードウエアの製作は、特に難しい処は無いと思います。CPU部分と、アナログ部分を1枚の基板に組む場合は、なるべく離して置いた方が良いでしょう。CPU等からのノイズに気をつけて配線しないと復調率が悪くなる可能性があります。

CPU等デジタル部分も、適切な場所にパスコン(0.1μF)を入れないと動作が不安定になる場合もありますので気をつけて下さい。

■プログラム&データについて

ROMに焼き込むデータには、私が作成したプログラムと、G3RUH(James Miller氏)が作成したモデムの「TX−ROM(送信)」のデータを加工した物を使用します。また、プログラムはJS1RSV(吉田功)が著作権を持ち、送信データはG3RUH(James Miller氏)の著作物です。非営利に限って再配布は可能です。

プログラムのダウンロード(HEX/RSV96104.LZH/6KB)

■回路図と基板のプリントパターン

RSV96の回路図と基板のプリントパターンも公開いたします。フォトエッチングで基板を作れば簡単に組み立てられると思います。このパターンを使って作られた基板の配布も非営利ならば可能です。

回路図のダウンロード(BMP/RSV96CIR.LZH/123KB)

基板プリントパターンのダウンロード(BMP/RSV96BOD.LZH/329KB)

■無線機、TNCとの接続について

モデムを動作させるのにいちばん厄介なのが、無線機との接続と、TNCとの接続のようです。共に多種多様な物があり、実際に接続(改造)した人でないと的確なアドバイスは出来ないでしょう。

無線機との接続は「RADIO PORT(P2)」の「RXA(受信)」「TXA(送信)」でおこないます。無線機の改造は、以前ハムジャーナル等に紹介されているようですし、RBBS等にも改造レポートが寄せられている場合も多いようですので、それを参考にすると良いでしょう。

TNCとの接続は「to TNC(P3)」で行います。基本的にはタスコのTMB−965と同じで、電源の供給もTNCから行えるようになっています。違いは、「SEL(7)」と「DCD(8)」が無い事です。

「SEL(7)」が無いので、9600bpsモデムを停止出来ませんが、PTTをONにしないと、TXAから変調が出ませんから、1200bps時に「PTT(5)」がONにならない回路(TNC22等)ならば、そのまま付けていても大丈夫でしょう。

「DCD(8)」は、9600bps専用のキャリア出力端子です。TMB965等には9600bpsしか検出しないDCD出力がついています。1200bpsや、フォーン等は検出出来ませんので、これらと同じ周波数で運用する場合は、9600bpsのDCDだけでなく、1200bpsのDCDも有効になるように、TNCを改造するのが「常識」だと私は考えます。その為に、9600bpsにしか反応しないDCD出力は、RSV96には付けていません。

TNCにAKI80等、TMP−Z84C015を使った場合、9600×16(Hz)のクロック信号のデューティー比が小さく、80C31がクロックを認識出来ない場合があります。その場合は、デューティー比が50%近くになるように、波形整形してやる必要があります。

■動作確認と調整方法

●CPU回路の動作確認

以下はオシロスコープを使用した場合の確認方法です。オシロスコープが無い場合は、テスタで代用する事も可能ですが、テスタでは確実な判定は難しいかもしれません。

1.CPU(80C31)の19、20ピンが12MHzで発信しているか確認。
(テスタ:DCレンシで電圧が1〜4Vで有るか?)

考えられる主な原因:5V電源不良、配線ミス、CPU不良

2.DIP−SW 4番をON(短絡)にして電源を入れる(リセット)と、CPU(80C31)の1〜8ピンが、4800Hzを発生するか確認。
(テスタ:DCレンジ電圧が2〜4Vで有るか?)

考えられる主な原因:配線ミス、ROM(書込み)不良

●アナログ回路の動作確認

3.2番のチェックの後、TXA(RADIO PORT−3)から、4800Hzの正弦波が出ているか確認。
(テスタ:ACレンジ電圧が1V以上有るか?)

考えられる主な原因:12V電源不良、配線ミス

4.RXA(RADIO PORT−1)を無線機に繋いで、何も受信していない状態(アンテナを外す)にして、CPU(80C31)の12ピンの信号がランダムに変化する事を確認する。
(テスタ:DCレンジ電圧が2〜4Vで有るか?)

考えられる主な原因:電源不良、配線ミス

●総合的な動作確認

アイパターン5.TNCを接続し、DIP−SW 4番をOFF(開放)にして電源を入れる。送信時にTXAの波形が図の様になるか確認する。
(実際に送信して他のG3RUHモデムと同様な音になるかモニタしてみる)

考えられる主な原因:ROMの書込み不良、TNCからのクロックの不良

●調整箇所

これだけ確認出来れば、恐らく動作すると思われます。調整箇所は、送信レベルの調整(R1)だけです。これは他のモデムと同様で、通りが良くなるように調整します。

DIP−SW 1〜3番で送信波形を選択出来ます、G3RUHモデムでは16種類の送信波形を持っていますが、そのうちの7種類だけROMに焼いて使います。一般的には、波形番号・2番(DISP−SW ON・OFF・ON)が通りが良いようです。

■最後に

現在(1993.3/16)までに、50セットほど作り、多くの方にレポートして頂きました。当初は色々と問題があった、このモデムですが、現在では改良が進み、G3RUHモデムや、タスコのTMB−965と匹敵するというレポートを頂いています。(1997.8現在ではNeko-1,Neko-2等RSV96関連のモデムは数百台は稼動していると思われます)

ダイオード検波している無線機を使った場合、出力レベルが低くモデムの復調率が落ちる事があります。これは、G3RUHモデムでも同様なようです。トランジスタ等で簡単なアンプを付けてやると改善されるようです。ただし、最近のモービル機・ハンディー機は、ほとんどがICによる検波をしていますので、一般的には問題にならないようです。


あげます
RSV96用 i80C31代替品(書き込み済みi87C51)ジャンク品を1レール発掘しました。もう使う予定はありませんが棄てるのは惜しいので、RSV96を製作してみたい方に限り、1名2個ずつ差し上げます。なるべく直接渡しが良いですが、郵送希望なら送料梱包料に200円必要です。(ぱるる振込のみ) たぶん、本人は、忘れているでしょうから、連絡時にはこのページに書いてあったと書いて下さい(笑)


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