猫壱/RSV9612調整, 及び解説 第1版 1993年12月19日 JS1RSV 猫壱/RSV9612は, Z84C015を使用したTNC部分に, RSV96(9600bps)と, 1200bps モデムを付けた, 9600/1200bpsモデム内蔵のTNCです。一般のTNCと大きく違っ ている場所は, 9600bpsモデムにRSV96を使用している事と, NRZI変換を80C31 (CPU)内部で行う事でICを減らしローコスト化した事です。そのため, 一般の TNCの回路とは大きく異なる所があります。 ■ OPTION, WAVE命令について OPTION命令は9600bpsモードの変更や, TESTモード用の命令です。 1200bpsへの切替えは「EXTM OFF」を使用します。 OPTION 1 9600bpsモード(G3RUH互換モード1) 2 9600bpsモード(G3RUH互換モード2) 3~4 保留 5 TESTモード#1 6 TESTモード#2 7 TESTモード#3 WAVE 0~15 9600bps(G3RUH互換モード)での送信 波形選択 ■ TESTモードについて TESTモードは, 8031の動作を試験したり, LPFやRIGの調整等にも使用出来る物 です。モードは3種類あり, 以下のような機能があります。 (注意:EXTM ON 時のみ有効) TEST#1 送信は9600bpsモードと同様ですが, 受信時に4800Hzの 出力を, TXAから出力します。これは, 受信用のクロックで, 48 08Hz程度の周波数になります。これは, 12MHzの水晶のズレ に依存します。 OPTION#1では, この周波数のズレに復調率が大きく影響され ます。 TEST#2 サイン波出力モードです。WAVEデータを0~7に変える事で, 1 50Hz~19.2KHz迄の8種類のサイン波がTXAから出ます おもに, LPFやRIGの調整等に利用出来ます。 TEST#3 8031が正常に動作しているかどうか調べるモードです。8031 のパラレルポート(P1)が約1秒に一度変化します。テスターだけ でも8031の動作確認出来ます。 ■ 猫壱の動作確認, 及び調整方法 以下は「猫壱」の動作確認, 及び調整方法です。基板が全て完成して, 製作に 誤りがないのを前提に書かれてあります。作り方が悪いと以下と違った挙動を 示す場合もありますので, ご注意下さい。 1.電源投入は, 0Vから可変できる電源を使用し, 電流を監視しながら徐々に電 圧を上げて行く。最大でも約200mA程度しか流れないので, 異常が有れば基板の 点検をするように。電圧可変出来る電源が無い場合は, なるべく小容量の電源 を使用することを薦める。 2.RS232Cケーブルを接続して, 電源を入れる(入れ直す)。オートボーレート機 能が働くので, 暫くするとメッセージが出てくれば正常。化け字を含めて一切 文字が出なければZ84C015(TNC)部分が動作していないと思われる。 3.次に1200bpsモデム(TCM3105)部分の調整です。TCM3105の7ピン(RXB)の電圧が 2.6~2.7Vになるように, 半固定抵抗器(R44)を調整する。次に, 右回り一杯に半 固定抵抗器(R43)を回しすとLED5(DCD)が点灯するので, 徐々に左に回してゆき, LED5が消えたところにセットする。確認の為に無線機につなぎ何か受信させて みて, LED5がスケルチに合わせて点滅するようなら正常である。送信レベルの 調整は半固定抵抗器(R42)です。 (参考:CQ誌1992年11月号214頁) 4.次に80C31(モデム部分CPU)の動作確認をします。以下の命令を入力し, 80C31 の1~8ピンの電圧が1秒弱毎に0-5Vと変化するかテスター叉はオシロで確認する。 変化しない場合は, 80C31が動作していないか, TNC部からの信号が80C31へ伝わ っていない。 OPTION 7 EXTM ON 5.80C31が動作していれば, 9600bpsモードの受信は出来るはずである。念の為 に以下の命令を入力して, 受信時にTXA96から出される波形を観測し, 約4808Hz の正弦波が出るか確認する。±0.1%程度のズレは許容されるが, ズレが大きい 場合は受信性能に影響を与えるかもしれない。 OPTION 5 6.実際に9600bpsで送信してみる。半固定抵抗器(R26)が送信レベル調整である。 無線機の改造が完璧で回線状況が悪く無いのに通りが悪い場合は, OPアンプ周辺 の部品の付け間違いを疑ってみる必要があるだろう。 (参考:1993年CQ誌3~5月号「高速パケット通信のすべて」) OPTION 1 最後に, 9600/1200bps共に半二重動作である。アナログループバック試験は出来 ないので注意してください。