ショ注意
この作品はポケットモンスタースペシャル(以下ポケスペ)
のキャラであるルビーくん、センリさんが登場します
この作品で2人はトウカジムでポケモンバトルを行います
本来のポケスペでは持っていない、または進化していないポケモン達が2人の手持ちとして登場します
物語は管理人の都合上アクア、マグマの戦いも終わり
ルビーくんもコンテストを制覇している状態です
現在はエメラルドverも連載中らしいですが管理人には知識がありませんのでそれらも全て省略して有ります
イメージが壊れる、そんなものは認めない
と仰られる方は速やかに退室してください
快く承諾される方はどうぞスクロールバーをお下げし物語へ入ってください
正直な話、ボクはホウエン地方に来てなるべくバトルのことは考えないようにした
コンテストを制覇することだけに集中しようと、そう心に言い聞かせてきた
そうでもしないと、いけないのだ
あの時のように、彼女を助けた時みたいに体が勝手に反応してしまう
それが怖いのだ
意識よりももっともっと深くに刻み付けられた、戦いの記憶
それがボクを動かす
あの日以来、ボクはいやな夢を見る、悪夢とまでは言わないけれどいやな夢を
内容はしっかりと覚えている
普通、夢を思い出そうとして苦労することはある
けれどボクの場合、忘れてしまいたいのに忘れようとすればするほど
鮮明に思い出してしまうのだ
それは幼い頃のボクと父さんの出てくる夢
ずっとずっとポケモンバトルの訓練を続ける夢
逃げ出したくても、逃げようとしても、逃げれない
ずっとずっと訓練はくり返される
そんな夢を
夢の中の父さんはとても厳しい目をしている
現実にも厳しい目はしているけれど・・・
その目をみるとまるで全てを見透かされているようで
動けないのだ、戦おうとしても全て先読みされていて行動することが恐怖になる
父さんなら幼い頃のボクの考えなど手にとるようにわかっただろう
だからボクは動けない
・・・。もう夢なのか現実なのか、よくわからなくなってきた
父さんとの思い出を考えてみる
そうすると戦っている場面しか思い出せないと言っても過言ではないほど
たくさん戦ってきた
まぁ、そのおかげで今のボクがある、と言い換えられるのだけれど
天気研究所では久しぶりに本気で戦った
結果はバトル中断となり引き分けのようだったけれど
あのまま続けていれば負けるのはボクだったと思う
やっぱり、父さんが遠い
ホウエンの天変地異もようやく収拾し、ボクもコンテストを制覇した
ボクにはもうホウエンでやり残されたことがたった1つしか残っていない
父さんに勝つこと・・・
「・・・。めずらしいな、おまえが1人で私のところへ来るとは」
父さんはジムの窓から外を眺めている
振り返りもしなかった、そしておめでとうの一言も
もちろんボクはおめでとうを言ってもらうために来たのではない
父さんの態度に怒りは覚えなかった
「今日は戦いに来たんです、父さんと」
「・・・。あの時の決着でもつけるのか?」
父さんはまだ振り返らない
「あの時のことはどうだっていいんです、ボクと勝負してください」
父さんは、振り向いた
「目的のないバトルに意味はない、けれどおまえには理由があるのだろう・・・
いいだろう、トウカ、ジムリーダーセンリ、本気で相手しよう」
父さんはゆっくりとモンスターボールをかまえた
ボクも1匹目を準備する
「いくぞ、ザングース!」
父さんの1匹目はザングース、新しく育てたのか僕は今までみたことがない
けれどザングースについて知識が無いわけではない
「いけ、NANA!」
バトルフィールドでザングースとNANAが対峙する
「ザングース切り裂け!」
ザングースはまるで白い閃光となりNANAに詰め寄る
「NANA、アイアンテール!」
ザングースの爪とNANAの尻尾が技を相殺しあう
「NANA敵を退かせるな、噛み砕く!」
攻撃を終え、バックステップ回避をするザングースに追い討ちをかけ
噛み砕くをヒットさせた
「ふ、バックステップは敵の攻撃に当たるためのフェイクだぞ、ルビー」
「えっ?」
「ザングース、カウンター!」
右肩からNANAの攻撃を受けたザングースはひるみもせず
逆にNANAをしっかりと捉えそのまま地面に叩きつけた
NANAはまだ戦える、しかし辛そうだった
「NANA!シャドーボールで距離をとれ!」
僕の指示は速かった
一般のトレーナーとは比べものにならないくらい
しかし父さんは一般のトレーナーではない
ボクに負けないくらい速い、指示
「逃がすな、ブレイククロー!」
シャドーボールを放つ体勢を整え、あとは放つだけだけのNANA
しかしザングースの追撃はもうすぐそこだった
回避できない
指示はボクが速かった、しかし技を当てたのはザングース
NANAは場外でぐったりと倒れた
これが父さんとボクとの距離なのか・・・
「もどれ、NANAよく頑張ったな」
「不用意につっこみ過ぎたんじゃないか、ルビー?」
確かにそうかもしれない、しかし守っていてはいけない
「決してNANAに斥候をやらせたわけではありませんよ、次です、ZUZU!」
「戻れ、ザングース、いけヤルキモノ!」
今度も速攻でいく
さっき失敗したからといって守りに徹して勝てるような相手ではない
「ZUZU、地震!」
地面に両手を振れ、衝撃波を走らせる
「ぬお!」
ZUZUの地震は父さんをもぐらつかせた
「続けて濁流!」
ZUZUの大量の泥水はヤルキモノの視界を奪う
あとは等距離を保ち攻撃を当てる!
「ZUZUマッドショット!」
「ヤルキモノ、弾き返せ!」
前にも1度こんな戦況になった、でも今度は負けない
ZUZUのマッドショットは的確にヤルキモノを攻め続けている
ヤルキモノも全てさばけずにいる
そろそろ頃合だ
「ZUZU、最大パワーでマッドショット!」
ZUZUは1度攻撃の手を止め、大きく息を吸い込む
「いいのか?攻撃の手を止めて・・・」
「え?」
次の瞬間、ZUZUは地面に伏していた
ヤルキモノの気合パンチが見事にZUZUの急所をとらえている
こちらの攻撃が止まった瞬間、気合パンチ・・・
マッドショットを喰らっているあいだにもう力をためていたのか
「・・・。もどれ、ZUZU」
「甘いな、ルビー、いくらこちらの視界、行動力を奪ったからといって
同じ場所から攻撃を続ければ居場所はわかる
それに最大パワーでいくとわかればラグラージの動きは止まる
いくら視界がなかろうとも
場所も動かず止まった相手に攻撃をあてることなど、容易いことだ」
・・・。やっぱり、強い
今まで戦ってきた誰よりも父さんは強い
ボクは1度目をつぶり、深呼吸をした
しかしボクだって旅のなかで成長したはず
この勝負勝てなくてもいい、負けなくは・・・ない!
「まだバトルは終わってません、いけCOCO!」
「もどれ、ヤルキモノ、いけバクオング!」
ザングースに続きバクオング、僕の知らないポケモン・・・
バクオングとは距離をとっても仕方ない
声を使って攻めてくるポケモンに距離は関係ないからだ
さらに悪いことにバクオングには防音の特性もある
COCOのうたうも通用しない・・・
それに声でせめられたらメロメロボディも意味をなさない
「どうした?来ないのであればこちらからいくぞ!
バクオング、ハイパーボイス!」
狙いすましたように声で来た、こちらには防御しかない
「くそ・・・」
「どうした?反撃はないのか?ならばこのまま押しつぶすまで!」
バクオングの声量はさらに高まる
「ぐうぅ・・・」
ボクも耳をふさがなければならない
このまま何もできずには終われない
せめてバクオングを止めれたら・・・
メロメロもだめ、うたうもだめ・・・
うたう・・・そうだ!
「COCOうたって自分の視聴を守るんだ!」
COCOはうたいはじめ、鳴き声で自分の周りを防御した
「む、やるな、ならば直接攻撃を叩き込むまで!
バクオングかいりきだ!」
「その直接攻撃をまっていたんですよ、うけとめろ!COCO」
このままバクオングをメロメロにできればこちらが優勢だ
そしてバクオングの拳がCOCOにあたら・・・なかった
バクオングはCOCOを狙ってはいなかったのだ
「私がメロメロボディに気づかないとでも?」
振り下ろされた拳はフィールドを砕き、COCOは体勢を崩す
「しまった、COCO・・・」
「遅い、破壊光線!」
COCOは至近距離からの攻撃を交わす術をもたなかった
バクオングの破壊光線はCOCOを直撃した
COCOはもう動けない
「くっ、COCOごめん、よく頑張った」
「バクオングのハイパーボイスをうたうで防いだのは良い案だったな
しかしまた詰めが甘かったようだな
最後まで戦況を見極めろ、策は何重にもあるのだぞ」
確かにその通りだ
作戦が思い通りに進むなんて限らない
これで3敗、手持ちは5匹しかいないPOPOはツワブキ社長に返したから
もう勝敗はついた
けれどここで退くわけにはいかない
「いけ、RURU!」
ミツルくんが大切に守ってくれたRURU
ボクのもとで最終進化をとげたRURU
・・・。さぁ全力でいくぞ!
「もどれ、バクオングいけケッキング!」
父さんの4匹目はケッキング
ということは5匹目はまたボクの知らないポケモンか・・・
「RURUサイコキネシス!」
「ケッキング、騙し討ち!」
「ムダですよ、父さんのケッキングはそこから動けません」
RURUのサイコキネシスはダメージを与えるためでなく
ケッキングの重い体重に働きかけている
今は動けない
「なるほど、そのサーナイトかなりやるようだな
技ではなく体重そのものに技の効果をだすことができるとは」
さすが父さんだ
ボクの攻撃は読まれている
RURUと相性の悪い騙し討ちはとりあえず防げた
ケッキングは特性で怠けている
ここで僕の指示は・・・『瞑想』
しかし声にはださない、RURUだってわかっているから
まぁ父さんもそれを読んでビルドアップをかけてくるだろう
「ケッキング!破壊光線!」
「RURU破壊光線の軌道を変えるんだ!」
瞑想により高められたRURUの超念力で破壊光線は軌道を変え後ろの壁を破壊した
「さぁ、次はこちらのばんです、RURU冷凍ビーム!」
交差されたRURUの腕からは凍てつく氷の塊が放たれる
氷はケッキングの足元を凍らせた
「ケッキング、ビルドアップ!」
筋力の増加したケッキングの力に耐えれず氷は砕けた
「次は10万ボルト!」
電撃の球体はケッキングを麻痺させる
「ビルドアップ!」
麻痺までをも振り払った
さすが父さんのケッキング、しかし狙いはそこにある
「RURU瞑想!」
ボクは指示した
「ケッキング!騙し討ちだ!」
この攻撃がどう変化するか、ボクには予想できない
けれどボクのこの攻撃も父さんには予想できないだろう
「催眠術!」
ほぼカウンターの状態でRURUの催眠術は決まった
いきり立つケッキングを一瞬で深い眠りにつかせた
「・・・。やるな、瞑想はフェイントか・・・」
「夢食い!」
蓄積されたダメージ、それに夢食い
ケッキングは力尽きた
「もどれ・・・。ふふ、まさか催眠術とは
うまく瞑想をつかったものだ」
「互いに能力を上げ続ければぶつかり合いになると思いました
成功するかどうかは最後までわかりませんでしたけど・・・」
「いや、実に上手いタイミングだったな
さぁ次にいくぞ!」
「ボクはこれで最後です
3敗したボクに勝利はありませんが、最後も負けません」
「では私もこいつで最後だ、いけ、カビゴン!」
「いけ、MIMI!」
美しいミロカロスはその肢体をくねらせた
ボクは自分の失態で1度MIMIを失った
けれどMIMIはボクのもとへと帰ってきてくれた
裏切りにも等しい行為をしたボクのもとへ
ボクはMIMIの気持ちに応えたい
ボクを信頼してくれたMIMIのためにも
負けられない!
「MIMI!水の、波動!!」
凝縮された水のエネルギー
それは凄まじい破壊力をもってガビゴンを襲撃した
そしてカビゴンの混乱
「カビゴン、まずい眠れ!」
カビゴンは眠りにつき、そして状態異常を回復する
「眠りながらでも戦えるぞ、いびき!」
カビゴンの大音量のいびきがMIMIを襲う
「父さん、悪いですがそんな攻撃、MIMIには通用しませんよ・・・」
「ぬっ!?」
「MIMI!ハイドロ・・・ポンプ!!!」
さっきの水の波動よりもはるかに凄まじい威力の水が龍へと姿を変えカビゴンを貫いた
体重300kgを超すカビゴンですらまるで波に揺れる木の葉のように水の中で翻弄され
そして、場外へとはじき出された
「・・・。ふふふ、なんとも凄まじい威力の水の技だったな
おまえとミロカロスのタッグにとっては私の攻撃など些細なものか・・・」
「けれどボクの負けです」
「この戦いに勝敗など意味を持たない
久しぶりに我が子と本気でやりあえた、私にはそっちの方が重要だ
おまえの成長もしっかりと見ることができたしな」
「父さん・・・」
「また来てくれ、その時までには私はもっと強くなる」
「ええ、今日はありがとうございました・・・」
負けたけれど、清々しい気分だった
「いや、礼を言うのは私の方だ、こちらこそありがとう」
「・・・。それではボクはいきます
母さんにも顔をみせてきますね・・・」
「ああ」
そしてボクは帰路についた
「ルビー」
そこで父さんはボクを呼び止めた、そして
「コンテスト制覇、おめでとう・・・」
「父さん・・・」
父さんからそんな言葉がでるなんて思いもよらなかった
不覚にも目頭が熱くなってきた
そして涙が、零れた
うつむいて、顔をかくしたけれど、涙は止まらず滴り続ける
「ルビー、おまえの顔をもっとよくみしてくれないか・・・」
ボクは父さんのもとへと走った
久しぶりに、本当に久しぶりに父のむなもとに帰った
とても懐かしい、父の匂い
父さんは何も言わず、大きな手でボクの頭を撫でてくれた
涙は、止まらなかった