@米軍の再編(海外基地の見直し)には、二つの流れが絡んでいる。
 ・一つは、軍事費の削減=国内基地閉鎖・統合、それに対して国外基地を問う声・圧力
 ※92年三千億ドルの赤字、国防費削減の処方箋=1990年「基地閉鎖・再編法」(BRAC法/Base Rcalingmncnt And Closure)黒字に転換したのもつかの間。ブッシュ政権5千億円ドル赤字、BRAC法2005ラウンド=国内基地425ヶ所の四分の一を削減。米議会が抵抗=海外基地見直し委員会の設置。BRAC2005、2005年12月までに計画をまとめて、議会に提出して承認を得る予定。海外基地と部隊の整理統合は、7,8年のうちに実施。

 ・二つは、脱令戦、新たな脅威=テロへの対応、その新戦略に基づく軍の配備・展開
 ※2001年9月30日のQDR(「4年ごとの国防見直し」Quadrennial Defense Review)・・・国防の基礎を脅威を基にした形ではなく、能力を基にた形にシフト。「不安定の弧」への対応。

 ※02年月20日の「国家安全保障戦略」戦争がどこで起きるより、敵対勢力とどう戦うか。
  欧州と北東アジアに拠点基地(ハブと出撃)、遠隔地投入のアクセス確保、紛争地の基地

A再編の基本的な考え方(配備展開)=ラムズフェルド国防長官の「10−30−30戦略」
 ・米軍は米本土から離れた戦域に、「10月以内」に展開できて、適を「30日以内」に撃破して、「30日以内」に別の地域で戦闘可能な能力を持つ。それが可能な配備。

B米本土の防衛と米本土以外の四つの地域(欧州・中央・太平洋・南米)における侵略阻止、並びにそれ以外の二つの敵の撃破、小規模な軍事作戦の限定的な同時遂行能力。


(1) 各国駐留米軍の再編

 
@8月16日、ブッシュ大統領が発表した米軍再編の骨子
  1)財独米軍、7万3千人を2万人減らす  
  2)在韓米軍、4万1千人を1万2千5百人減らす。
  3)沖縄海兵隊をはじめ在日米軍4万1千人(第7艦隊を除く)−−などによって、在外の米軍部隊の17万8.600人(イラクとアフガニスタンへの展開部隊を除く)のうち、計6万〜7万人を削減する。削減の三分の二は、在欧米軍となる。

 A欧州
【独】・在独米陸軍(第一機甲師団と1歩兵師団)、約2万人を米本土へ引き上げ、ストライカ−旅団1個を配備。※ストライカ−旅団=コンパクト化された装備装甲車を軸に編成、C−17輸送機など米本土から世界各地に即座に移動配備が可。米陸軍新鋭旅団。軍事革命(RMA)の所産。
 ・ラインマイン航空基地を独に返還する。
 ・スパングダーレム航空基地のF16戦闘機部隊をトルコのインジルリク航空基地に移動。
 ・すでに仕様が停止されているゼムバッハ、ビットブルグ両空港基地を返還する。

【伊】・英ノースウッドの在欧米軍司令部をナポリに持ってくる。
 ・ビチェンツアの第173空挺旅団に一個大隊を追加

【英】・ノ−スウッドの在欧米軍司令部を伊ナポリに移動させる
 ・フェアフォ−ド空軍基地のおける爆撃機の燃料、爆弾、好感部品の備蓄を増やす。

【欧州その他】
 ・スペインのロタ、モロン、イタリアのアビア−ノ、トルコのインジルリク航空基地は、「中東方面への展開中継基地」として重視され、拡充される。
 ・コゾボのボンドスチ−ル米陸軍基地のような基地を、新たにポ−ランド、ル−マニア、ブルガリアなどにも設置する。
 →これらの部隊はロ−テイション配備とし、「いつでも必要なときに使用できる」基地とする。同時に、堂基地を使用して西欧ではできなくなった低空飛行訓練や実弾訓練を行う。

 B中東、中央アジア、アフリカ
 ・中東のカタ−ルやオマ−ンの基地
 ・アフリカのジブチ、サントプリンシベ、ウガンダ、ケニア、エチオピア、
 ・中央アジアではアゼルバイジャン、キリギス、グルジア
 −−−などに米軍が使用、あるいは必要なときに進駐可能な基地が設ける

 →ここまでの構想・計画を見ると米軍の再編が中東やアフリカをにらんでいることがわかる
 (背景に「大中東構想」、その心感「戦争の背景に石油戦略あり)

 C韓国
・3万7千人のうち「2008年まえに」1万2.500人を削減し、削減した分は他の戦域に派兵。
・米陸軍第2歩兵師団を休戦ラインから110キロ南に移す(韓国軍の主力が前面に出る)。
※北朝鮮軍はこの間、ほとんど技術的進歩はなく、在韓米軍を削減しても韓国を十分に防衛できる
・在韓米軍の近代化には、110億ドルが注ぎ込まれる(朝鮮半島統一後をにらむ、対中・露)。


(2)再編の基本、在外米軍基地を4つに分類

 
@4分類・・・1)戦略展開拠点、  2)主要作戦基地、  3)前方展開基地、  4)安保協力対象地
 
A最も重要な戦略展開拠点は、アジア・太平洋方面で、日本、グアム、ディエゴガルシア。
 
Bグアムは米国領(準州)であり、ディエゴガルシアはイギリスからの租借地tぽい政治的安定性ががあり、戦力的にも   好位置にある。

 ・アンダ−セン空軍基地の管制塔が改築され、6機のB−52が常駐。
 ・グアムのアアンダ−セン空軍基地とディエゴガルシアにはB−2ステルス爆撃機の空調型格納庫がある。グアムのア  ブラ港は、2001年から攻撃型原子力潜水艦が3隻配備され、母港とし、あと3隻が追加配備され、6隻に増強される。  新たな整備施設や住宅が建設される。空母の母港かの準備(西太平洋での常時2個の空母打撃軍の展開を目指し  て→下記※を参照)や海兵隊の配備、事前集積船の配備も。新型のFA−22戦闘機部隊の配備や米海兵隊
(遠征 部隊)の駐留も予定。

 ・グアムでの増強・・・米軍がアフガニスタン、イラク、パキスタン、東南アジアのイスラム圏での活動が拡大、ディエゴガ   ルシアの基地だけでは間に合わなくなった。

 ※横須賀との関連・・・米国は、米本土の東西に6隻ずつ空母を配備している。
 東は大西洋に面して、  1)バージニア州ノ−ホ−クに5隻、  2)フロリダ州メイポ−トに1隻、西の太平洋には、    3)カルフォルニア州サンディゴに3隻、  4)ワシントン州に2隻  5)日本の横須賀に1隻の、合計12隻。ただ、ワシントン州の1隻が西太平洋に移動する可能性が出ている。 もう1隻を新たに配備する予定だが、ファ−ゴ太平洋司令官は「太平洋配備」を主張。その配備先は、グアムのほか、ハワイ、オ−ストラリア、シンガポ−ル、タイ、日本、台湾のいずれか(軍事的には、これらのいずれかでよい)。横須賀を母港とする空母キテイホ−クは、2008年に退役するが、代わりの空母の配備は決まっていない。ただ配備が続けば、原子力空母になることが想定される。

 
Cディエゴガルシアでは事前集積船の追加配備の可能性。洋上移動基地 (Sea Basing) の構想
 ※『朝日』04年7月21日付「西太平洋(グアムが有力)に武器集積船を配備(07年に建造)」
 
Dシンガポ−ルやタイとの米軍の軍事関係の拡大。空母の寄港や空軍基地使用の拡大。

 
Eオ−ストラリアでは米軍の演習訓練を拡大する他、中間作戦準備基地としての利用を検討。
  ※『琉球新報』04年7月20日付「米豪両政府は豪州の既存の基地に米軍の常設訓練施設を建設することで合意し   た」。建設地は、豪州東海岸のクイ−ンズ州ロックハプトンの近くにある豪州軍のショ−ルウオ−タ−湾訓練施設
  (SWBTA)が最有力、という。この訓練施設は水陸両用訓練に適し、在沖縄米軍海兵隊がすでに数回、米豪合同   演習タンデムトラストで利用している。同紙の翌7月9日付の読報では、「北部準州にあるデラミラ−訓練空域、
ブラッドショ−演習場の共同使用も念頭に置いている」。(目的は主に砂漠地訓練か←→「沖縄米海兵隊の一部を
北海道・東千歳へ」これは寒冷地訓練か)。
 
F在韓米軍は、第2ランクの主要作戦基地、 2)、



(1)在日米軍の再編の大きな柱

 
@2月24日付『産経』に、リチャ−ド・ハロラン氏(元ニュ−ヨ−クタイムス紙東京支局長)の談話・・・「米軍の複数の  監部によると、米軍の再編は、冷戦時代に創られた時代遅れとなった司令部機能間の調整や軍の悪習を見直して、  部隊をより機動的に、緊急事態に対応できるようにする」。そのために、

  1)ワシントン州の陸軍第一軍団司令部をキャンプ座間に移転(中将を筆頭に将校500人)
  ・その司令部は、在韓国の第2歩兵師団などアジアの全陸軍部隊を統括、ハワイの第25歩兵師団(1万2千5百人)    などの部隊も統合か。

  ・朝鮮半島の遺物である在韓国米陸軍第8司令部(在韓米軍司令部が置いてある)は消滅、米韓合同の指揮系統    の解消(在韓米軍も座間の「新司令部」下に置くことを意味する)座間→
永久基地化を意味する
国際テロのタ−ゲットに。

2)横田基地の米空軍部隊を嘉手納基地に移動
3)海軍厚木航空団の厚木からの移転を検討
A座間の「新司令部」の役割・・・日本、韓国、ハワイの戦闘部隊の統一指導に当たる。

日本や韓国の防衛いううよりもアジア全域の作戦行動を考えて。
Bイとロを追う形で、7月29日付『東京新聞』で「横田の空軍司令、消滅」
・横田基地の第5空軍司令部(現在は在日空軍司令部を兼ねている)をグアムに移転して、
グアムにある第13空軍と統合する。

・座間の「新司令部」の司令官を対象に格上げし、ここで在日米四軍のみならず、アジア太平洋全域だけでなく、中東地域の危機に対応する
(前線司令部化)

C米陸軍第一軍団司令部はワシントン州(フォ−トルイス基地)に置いていても差し支えないはず。なぜ、座間に?→
国内基地の縮小・閉鎖、日本側の「思いやり予算」等の駐留経費日本側負担
(米兵一人当たり1600万円/年間)
を当てにして。という以上に朝鮮統一後の対中・露戦略か
(先を見越しての処置)

(2)

戦略拠点と見なす理由・・・・戦略敵意位置、政治的安定性、充実したインフラと技術力

(3)
その他に表面化した構想・動き
@この11月に、ハワイの太平洋軍司令官が海軍大将(ト−マス・ファ−ゴ司令官)から空軍大将(現、オハイオ州の空軍資材軍団司令官のグレゴリ−・マ−チン空軍大将)に交代(8月21日付け『読売』)

A横田にあるC−130輸送機を運用している米空軍第374航空団の多くは、横田に残し、横田基地に、航空自衛隊航空総司令部(府中)と空自入間基地の第2輸送航空隊を移動させ、兵たん輸送業務の日米両軍の協力態勢を強化
(横田の米空軍を逃すまいとする空自の処置か)。

これらの動きおよび構想と、一方では相模原総合補給敞や横浜のノ−スドックの返還の話がないので、これは必要なときに、空(横田)と海(横浜)からの前進兵たん補給の拠点(相模原)としての機能は残すということを意味するのか。
B那覇空港に置く航空自衛隊部隊を米空軍嘉手納基地に移動させる

C在沖米海兵隊の砲兵部隊の北海道・矢臼別演習所への移転(実弾射撃訓練の充実)構想
D在沖米海兵隊の一部をキャンプ富士への及び海道・東千歳への移転
E米海兵隊普天間基地機能の米空軍嘉手納基地への移転構想
(隣接する嘉手納弾薬庫の敷地に新たにヘリ基地を建設することになるのではないか。費用は日本の負担で)

F厚木航空団の岩国への移転構想(夜間発着訓練だけを移設することとは思われない。しかし、岩国へ空母群の移動となれば、乗員やその家族の住宅などの関連施設をどうするのか、可能か)

Gこのほか、上瀬谷通信施設(横浜)が米軍三沢基地(青森)に移転し、同時に、ハワイにあった第5艦隊(司令部・中東バ−レ−ン、活動地域・ペルシャ湾)の哨戒部隊の司令部もここに統合されて、「第7、第5艦隊哨戒偵察航空群」の司令部が三沢に設置された。

[三沢基地の新司令部には、P3C哨戒機とEP3電子偵察機計約10機がハワイと米国西岸から配備される」(『朝日』
04年7月27日付け)予定で、「官轄する海域は、第7艦隊の西太平洋からアフリカ東海岸までんおインド洋と、第5艦隊の湾岸地域に及ぶ」(同記事)。

→参議院外交防衛委員会(11月11日)での外務省北米局長「司令部移転は配置における重要な変更には当たらない。よって事前協議制の対象にはならない」。
事前協議制/「配置の変更」 「装備の変更」 「作戦行動範囲の変更」
インド洋上で洋上給油活動に当たっている海自補給艦の相手が主に第5艦隊の艦艇。


【参考メモ】 日本国憲法の前文と第九条
全 文
日本国憲法は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、我が国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為のよって再び戦争の惨禍が起こることとのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも政府は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由良し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを淳受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。わあれわれは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。


日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正とと信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらわ、平和を維持し、専制と隸従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと勤めている国際社会のおいて、名誉ある地位を占めたいと思う、われらわ、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらわ、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高理想と目的を達成することを誓う。

2章戦争の放棄

第9条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に望求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段年手は、永久にこれを放棄する。2 前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

【コメント】
全文の下線引用者。前者=第九条につながる。後者=国際平和主義
1、戦後日本政治の出発点・・・日本国憲法(1946年11月3日公布)
※憲法草案に関する昭和21年6月8日枢密院本会議における三笠宮の発言/「無の強さ」「深山に衣一枚で座禅をしている坊さんと、町の大通りを剣術もろくに出来ないくせに太刀ぶち込んで大言壮語しながら歩いている浪人とどちらに切りつけやすいか」

2、戦後国際政治の出発点・・・国連総会決議第1号/国際原子力委員会設置(昭和46年1月24日採択)
・その後、大量破壊兵器拡散防止の国際的枠組み、軍縮諸条約と軍縮会議、非核地帯の設置と地域安全保障体制の構築          ♯♯♯







衆議院議員照屋寛徳提出

米軍再編と沖縄の基地負担軽減に関する質問主意書

米国は世界的規模での米軍再編を進めている。
この米軍再編は、ブッシュ政権の下で梅軍の『変華』」(transformation)という言葉で表現されるように、広範囲な意味で軍隊の変革を達成しようとしようとする計画である。と言われている。
ラムズフェルド米国防長官も、米軍変革に関する国防総省の指針の中で、「我々は現在の能力だけでなく、思考様式、判断力方式、そして戦い方までも変革しなければならない」と述べている。
米軍の再編計画が進む中で日米間において在日米軍の再編協議が行われ、日米双方が提示する具体的な案がマスコミ等でさまざま報ぜられている。私は、米軍再編が在日米軍基地の約七五%が集中する沖縄の基地負担を軽減する絶好のチャンスと捉え、政府が米国に対し主体的に発言し、積極的に要求すべきである、と考える。
ところで、米軍再編と関連して、政府の中で「日米安保条約を再定義すべし」とか「いわゆる極東条項を見直すべきだ」との議論があるやにマスコミ等で報ぜられているが、在日米軍再編が日米同盟の強化や米軍と自衛隊の一本化につながることがっては」ならない。
よって以下、質問する。

1、政府は、米軍再編に伴う在日米軍再編について、どのような基本姿勢で日米間の協議に臨んでいるのか明らかにされたい。また、在日米軍問題についての最終合意の取りまとめはいつ頃までに行われる見通しなのか明らかにされたい。

2、在日米軍在編に関する日米協議の中で、米陸軍第一軍団司令部(ワシントン州)のキャンプ座間(神奈川県)への移転が米国政府から提案され、政府はかかる提案を拒否した、と複数のマスコミ報道があるが政府の見解を明らかにされたい。

3、米陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間への移転は、在日米軍司令部機能を高めることになり、在日米軍等の戦略機能及び活動範囲を中東にまで拡大することになる。よって、米陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間への移転は、在日米軍の活動範囲を定めた日米安保条約第六条のいわゆる極東条項に違反すると考えるが政府の考えを明らかにされたい。

4、町村信孝外務大臣は、04年去る10月16日、那覇市内における記者会見で、「新しい脅威にどう対応するか、幅広い時点で議論を始めている。頭から日米安保条約や極東条項ありきだと議論が狭くなる。頭を軟らかく、広い視野でで大局的議論をしていくのが大切だ」との趣旨の発言をされ、在日米軍再編問題について日米安保条約が規定する「極東条項」にとらわれず、テロとの新しい脅威にどう対応するのかとの観点から幅広く議論すべきとの認識を示した、と地元紙は報道している。(平成16年10月17日付琉球新報、沖縄タイムス)

町村信孝外務大臣発言の真意と、政府は、日米安保条約第六条のいわゆる極東条項を変更することもやむなしとの方針なのか見解を明らかにされたい。

5、細田博之官房長官は、04年10月16日、松江市内で記者会見し、在沖米軍の海外移転問題について、「日本政府は、沖縄以外の場所に移ってほしい、出来れば海外移転を希望している」と述べた。その上で「米側もかなり内部で検討しているものと承知している」との認識を示した、と報道されている。(平成16年10月17日読売新聞)
細田看病長官の発言は、その場しのぎの発言とも思えるが、内閣の責任あるスポークスマンの発言として重く受け止めたい。
まあた、小泉総理も04年10月7日、アジア欧州会議(ASEM)首脳会議出席の為訪問したベトナムで同行した記者団に対し、「在沖米軍基地の海外移転はあってもいい」との趣旨を述べている。これらの小泉総理や細田官房長官の発言を総合すると、在沖米軍基地の海外移転が政府の方針と理解するが見解を示されたい。

6、小泉総理は第161回臨時国会冒頭における所信表明で、「在日米軍の兵力の構成見直しについては、21世紀の国際情勢に適応した我が国の安全保障の確保と、沖縄等の地元の過重な負担の軽減を図る観点から、米国と協議を進めてまいります。」あと述べている。
小泉総理が所信表明で述べられた「我が国の安全保障と、沖縄等の地元の過重な負担の軽減っっを図る観点から」とおっしゃる「観点」ちはいかなる方策なのか、具体的に明らかにされたい。

7、沖縄における基地負担の軽減を実現するには在沖米海兵隊のすべての海外移転が必要であり、政府の対米要求によってその実現は可能だと考えるが政府の見解を示されたい。

8、沖縄における基地負担の軽減を実現するには、緊急に現下の「危険の排除」が求められており、それは普天間飛行場の閉鎖と海外移設、普天間飛行場の辺野古移設の中止、キャンプ・ハンセンにおける都市型戦闘訓練施設の建設中止だと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
右質問する

衆議院議員照屋寛徳君提出・
米軍再編と沖縄の基地負担軽減に関する質問に対する答弁書


アメリカが州国(以下「合衆国」という。)は、新たに安全環境における課題に対処するため、合衆国軍隊の全世界的な軍事態勢の見直し作業を行っており、我が国を含め、同盟国、友好国等と緊密に協議してきている。我が国に駐留する合衆国軍隊(以下「在日米軍」という。)の兵力構成の見直しに関する合衆国との協議においては、在日米軍が有している抑止力の維持とともに、在日米軍の施設及び区域が所有する地方公共団体の過重な負担の軽減が十分に念頭に置かれるべきであると考えており、このような観点から、合衆国政府との協議を進めていく考えである。

在日米軍の兵力構成の見直しに関する日米の協議においては、このような観点を踏まえ、日米それぞれの考え方に係わる理解を深めるための意見交換を行っている。このような協議は、双方が互いに受け入れ可能な在日米軍の兵力構成について合資することを目的として続けられる予定であり、今後の作業日程等について具体的に日米間で合意されたものがあるわけではない。

2から4までについて

合衆国軍隊の陸軍第一軍団司令部の移転につき様々な報道がなされていることは承知している。在日米軍の兵力構成の見直しに関する日米間の協議の現状については、合衆国軍隊の軍事態勢の見直しについての基本的考え方、地域の情勢認識や日米の役割と任務といった基本的な論点について包括的な議論っっを行いつつ、日米それぞれの考え方に係わる理解を深めるための意見交換を行っている段階であり、ご指摘の町村外務大臣の発言は、そのような」趣旨を説明したものである。日米間の協議の中で、種々の具体的な見直しのアイデアについても議論をしているが、提案のやりとりを行っているわけではない。いずれにせよ、個別の施設及び区域について如何なる決定も行われておらず、合衆国との議論の内容についても、合衆国政府との関係もあり、申し上げることはできない。

我が国の施設及び区域を使用して指揮統制を行う合衆国軍隊の司令部と日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和35年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)第六条との関係については、仮に一般論であったとしても、そのような司令部が具体的にどのおような活動を行うかについては様々な可能性があり得るため、日米安保条約第六条との関係を一概に述べることは出来ない。いずれにせよ、今次の在日米軍の兵力構成の見直しが現行の日米安保条約及び関連取極の枠内で行われることは当然であり、日米安保条約第六条の見直しといったことは考えていない

5から7までについて

在日米軍の施設及び区域が所在する地方公共団体の負担については、政府としてこれを十分認識している。在日米軍の兵力構成の見直しに関する合衆国との協議においては、在日米軍が有している抑止力の維持とともに、在日米軍の施設及び区域が所在する地方公共団体の過重な負担の軽減が十分に念頭に置かれるべきであると考えており、このような観点から、合衆国政府との協議を進めていく考えである。現在、沖縄の在日米軍の施設及び区域の沖縄以外の国内あるいは海外への移転等の可能性を含め、どのように沖縄の負担の軽減を実現するかについて、様々な可能性を検討しているところであるが、現時点で何ら決定はしていない。

8について

沖縄県民の負担の軽減のため、政府としては、まずは、「沖縄に関する特別行動委員会」の最終報告(以下「SACO最終報告」という。)の着実な実施が必要であり、これに最大限の努力を傾注するとの考えである。

普天間飛行場の移設・返還については、SACO最終報告、平成11年12月28日に閣議決定した「普天間飛行場の移設に係わる政府方針」(以下「閣議決定」という。)及び平成14年7月29日に政府が策定した「普天間飛行場の代替え施設の基本計画」という。)を踏まえ、早期にこれを実現すべく、これまで合衆国側と緊密に協議してきているところである。政府としては、同飛行場が市街地にあることもあり、一日も早く周辺住民の方々の不安を解除したいと考えており、」引き続き、SACO最終報告、閣議決定及び基本計画に従い、沖縄県等の地元地方公共団体と十分協議を行いながら、同飛行場の移設・返還の問題に全力で取り組んでいく考えである。

在位日米軍キャンプ・ハンセンにおける複合射撃訓練場建設計画については、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和35年条約再7号)上、合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての処置を採ることができるので、合衆国が在日米軍の施設及び区域内に合衆国予算により必要な施設を建設することは、合衆国が有する施設及び区域の管理権の行使の一環として認められるものであると考えている。他方で、引き続き在日米軍に対しては、公共の安全や地元住民の懸念への配慮を求めていく考えである。