グッディーズ店主の音楽試聴記
2010-04

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2010年4月15日(木)
東京都交響楽団 第696回定期演奏会 Bシリーズ
会場:サントリーホール
指揮:ジェームズ・ジャッド
ヴィオラ:今井信子
ヴォーン・ウィリアムズ:「すずめばち」序曲
ウォルトン:ヴィオラ協奏曲 
エルガー:交響曲第1番 変イ長調 作品55

2010年4月23日(木)
東京都交響楽団 第697回定期演奏会 Aシリーズ
会場:東京文化会館
指揮:ジェームズ・ジャッド
ピアノ:相沢吏江子
モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K.453
エルガー:交響曲第2番 変ホ長調 作品63

都響がエルガーの交響曲2曲を続けて演奏するということで、どちらも聴いてきました。一昔前はイギリス物が日本のオーケストラでまともに取り上げられる事など考えも及びませんでしたが、大友直人が積極的に取り上げ始めたころからプログラムにのるようになってきました。それにしても1週間でエルガーが2曲演奏されるというのは珍しい機会です(交響曲第1番の日本初演は、1980年のロッホラン、日本フィルだったそうです)。
15日はオール・イギリス物で、今井信子のすばらしいソロもあり、演奏も期待以上に充実の仕上がりでした。どのパートも練習をしっかり行なったのか、イギリス物の演奏で不可欠な演奏者の積極的な姿勢が感じられ、やや空席のある客席からブラボーも出る気持ちの良い演奏会となりました。ジャッドはこの曲としては中庸のテンポですすめ、適度な大袈裟さも盛り込みながらこの曲の魅力を伝えていました。
昨日の第2番は、第1番以上にとらえどころの難しい作品の性格もあってか、前半は解釈的にも技術的にもまとめるのにやや苦労が見られ、第1番では感じられなかったようなアンサンブルの乱れも散見され、さすがに難しさを見せていました。ジャッドは前半はやや早めのテンポで、近代性を前面に出したような解釈であったのも、やや無理があったのかもしれません。それでも終楽章は演奏の質も解釈もうまくかみ合い始めて、感動的な終結となりました。
また共演の機会があればこのコンビでヴォーン・ウィリアムズを聴いてみたいものです(集客の問題はありますが・・)。



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