グッディーズ店主の音楽試聴記
2009-11

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マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」
2009年11月14日(土) 15:00開演 藤沢市民会館大ホール
指 揮:現田茂夫
ソプラノ:菅 英三子 山本 香代 半田美和子
ア ル ト:栗林 朋子 牧野真由美
テノール:福井  敬
バリトン:久保 和範
バ  ス:久保田真澄
合  唱:藤沢市合唱連盟
管 弦 楽:藤沢市民交響楽団

マーラーの千人ということで、30年ぶりに藤沢市民会館大ホールに足を運びま
した。プログラムにも書かれていましたが、1979年2月21日にこのホールで、
山田一雄指揮・東京都交響楽団がこの曲を演奏しており、当時私も初めて実演で
「千人の交響曲」を聴けると喜び勇んで出かけた記憶があります。その後この時
の演奏はLPで発売され、最近はCD化もされましたのでお聴きになった方もいらっ
しゃる事でしょう。調べてみるとこの演奏は1949年の山田一雄・日本交響楽団
(現NHK交響曲楽団)、1972年の朝比奈隆・大阪フィルに続く、日本で3回目の
全曲演奏であったようです。今年創立50周年を記念して藤沢市民交響楽団がこの
ホールでこの曲に取り組むという企画は、もっと知らされても良い企画と思い
ます。
アマチュアのオケということであまり大きな期待はなかったのですが、期待以
上の満足感のある演奏会でした。現田氏の指揮は私は実演では初めて接しまし
たが、細部にこだわって振り分けるタイプではなく、全体の構成を見渡して
音楽の流れを重視するやり方で、大曲をオマチュア・オケで演奏する場合には
良いアプローチでした。合唱はさすがに藤沢らしい熱心な取り組みが感じられて、
声量は多くはありませんが、平均年齢の高い落ち着きのある歌が聴かれました。
児童合唱もがんばっていましたが、男子児童の割合が少なかったのはやや残念で
した。やはり変声期前の男子児童を確保するのは難しいのでしょうか。
独唱は文句を言えばきりのない曲ですが、福井氏はここ何回か聴いた中では
健闘していたと思います(インバル・都響、飯森・東響)。
今回は2階席がすべて自由席になっていたので、早めに出かけて最前列で聴く事が
出来ました。最近は2階席が1階席に被さる形のホールはほとんど見かけませんが、
日比谷公会堂や新宿厚生年金会館などの2階最前列は私のお気に入りの席です。
すべての奏者が見渡せて、直接音がはっきり聴き取れるのは、この席ならでは
です。非常にデッドで残響は皆無に近い音ですので、サントリー系に親しんだ
方には受け入れられない音かもしれませんが、奏者が何をやっているのかがはっ
きりわかるのは大変聴き応えがあります。
終演後はきれいな雨上がりの夕焼け空で、この30年の出来事などを思い出しな
がら帰路につきました。



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