グッディーズ店主の音楽試聴記
2008-06

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東京都交響楽団 第664回定期演奏会
2008年6月18日(水)19時00分開演 サントリー・ホール

シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.54
エルガー:交響曲第3番 ハ短調 op.88(Anthony Paynによる完成版)

指揮:ポール・ワトキンス
ピアノ:中野翔太

エルガーの珍しい作品という事もあり、サントリー・ホールに足を運びました。この交響曲第3番はエルガーによって残された部分が決して多くない作品で、ペインによる創作部分の方が占める割合がずっと多いようですが、エルガーらしさを失わない立派な作品に仕上がっています。
ポール・ワトキンスは若くしてBBC交響楽団主席チェロ奏者になり、ナッシュ・アンサンブルにも在籍していた奏者ですが、その後指揮者に転向して現在キャリアを積んでいる期待の英国人指揮者です。良い意味で大雑把な音楽の捉え方や適度な大袈裟さなど、いかにもイギリス音楽向きと思わせます。実際、前半の協奏曲が始まった途端に、サントリーホールがロイヤル・フェスティバルホールに変わったかと思わせるほど、英国風の雰囲気を持った指揮ぶりでした。
都響も練習時間を後半の交響曲に多く費やしたようで、初めての作品を期待以上のレベルに仕上げていました。私が演奏会に多く通っていた20年以上前にはイギリス音楽が日本のオーケストラによって演奏される事は非常に稀でしたが近年は客演の外人指揮者や日本人の尾高氏や大友氏など、イギリス音楽を取り上げる演奏会が増えているのは喜ばしい事です(この交響曲第3番は尾高・札響
のレコーディングもあります)。今後もさかのぼってエルガーの交響曲第1&2番を取り上げる企画に発展してくれると更に良いのですが・・・。
終演後には思いのほかブラボーも多く出ていて、ポール・ワトキンスもガッツポーズを見せるなど、こういう選曲の演奏会としては成功と言えましょう。



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