グッディーズ店主の音楽試聴記
2008-02

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<Avie>
AV 2145 \2180
ジョン・ロード(1941-):ダラム・コンチェルト
マシュー・バーリー(チェロ)、ジョン・ロード(ハモンドオルガン)、
ルース・パーマー(ヴァイオリン)、
キャスリン・ティッケル(ノーザンブリアン・パイプ)、
ミッシャ・ダムフ(指揮)、
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニック管弦楽団

私がクラシック音楽を聴く大きなきっかけになったのが、1970年にロンドンのロイヤルアルバートホールで行なわれた、ディープ・パープルとロイヤルフィルの共演盤を聴いた事でした。これは、ロックバンド、ディープパープルのキーボードのジョン・ロードがBBCの依頼を受けて作曲した、グループとオーケストラのための協奏曲という作品で、共演の指揮者でもあるマルコム・アーノルドも作曲の手伝いをしていると思われます。一応音大は出ているようですが、オーケストラ・スコアを書くというのはかなりの困難があったようです。それでも当時の時代のパワーがなせる業かとにかく演奏会が行なわれ、レコードと映像が発売されています。この曲のオーケストラ部分の作風は、基本はヴオーン・ウィリアムズなどのイギリス作曲家の模倣ですが、当時のイギリス・プログレ・ロックのの持っていた独等の叙情性が随所に見られて、稚拙な作品ながら今でも聴き返すことの多いアルバムです。その後ジョン・ロードはロックの活動と平行して地味ながらクラシカルな作品も発表していましたが、今回は大作の登場となりました。来月はEMIから下記の新曲(ピアノ協奏曲?)も予定されていて、これも楽しみです。

<EMI>
CDC-3905282 \1980
ジョン・ロード:
BOOM OF THE TINGLING STRINGS-ピアノと管弦楽のための(2002)*
DISGUISES-弦楽のための組曲(2003)
*ネルソン・ゲルナー(ピアノ)
オデンセ交響楽団、ポール・マン指揮

「ダラム・コンチェルト」は映画「ハリー・ポッター」のロケでも使われているダラム大聖堂の創立175周年を記念した作品で、さすがに30年以上の月日がたち立派な作品に仕上がっています(それでもクラシックファンからは馬鹿にされそうなものではありますが)。終曲の大げさな終わり方はさすがに気恥ずかしさも感じますが独特の叙情性は健在で、ヴォーン・ウィリアムズの「揚げひばり」のような美しい田園風描写に、ジョン・ロードならではのセンチメンタルな味付けが上手く効いていて、イギリス音楽ファンには気に入っていただけると思います。



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