グッディーズ店主の音楽試聴記
2006-07

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<ORTHO SPECTRUM>
KDC 6001 \1980
日本語オビ解説つき
宇野功芳 企画・指揮 有山麻衣子 幻のコンサート
=曲目(作詞 / 作曲)=
1.花かげ(大村主計 / 豊田義一)
2.十五夜お月さん(野口雨情 / 本居長世)
3.雨ふり(北原白秋 / 中山晋平)
4.花嫁人形(蕗谷虹次 / 杉山長谷夫)
5.七つの子(野口雨情 /本居長世)
6.リンゴのひとりごと(武内俊子 / 河村光陽)
7.きいろいきいろい歌(サトウハチロー / 中田喜直)
8.月の沙漠(加藤まさを / 佐々木すぐる)
9.摘草(小学唱歌[3年])
10.虫のこゑ(小学唱歌[3年])
11.牧場の朝(小学唱歌[4年])
12.海(小学唱歌[5年])
13.鯉のぼり(小学唱歌[6年])
14.我は海の子(小学唱歌[6年])
15.さくら(日本古謡・中田喜直編)
16.愛国の花(福田正夫 / 古関裕而)
17.子守歌(野上彰 / 團伊玖磨)
18.庭の千草(里見義 訳詞 / アイルランド民謡)
19.マリアの子守歌(べーリッツ[宇野通芳 訳詞] / レーガー)
20.春への憧れ(オーヴァべック[上山友昭 訳詞]/ モーツァルト)
21.バルバリーナのカヴァティーナ「落としてしまった、どうしよう」
(モーツァルト)
22.ツェルリーナのアリア「ねえ、あなたおとなしくしていたら」
(モーツァルト)
23.ピエ・イエス(慈悲深きイエスよ)(フォーレ)
24.バイレロ(オーヴェルニュ民謡[カントルーブ編])
有山麻衣子(ソプラノ)佐藤和子(ピアノ)
録音:2006年3月18日ムラマツ・リサイタルホール新大阪(ライヴ)

宇野功芳氏の絶賛する「天使の歌声」は既に話題になっていますが、期
待通りの美しい歌声を聴かせてくれます。いわゆるクラシック音楽用の
発声トレーニングを受けていない受けていないそうで、宇野功芳氏のア
マチュアであることを武器にしてプロを凌駕すると言う戦術が見事に達
成されたCDと言えます。また、イギリスのトラッド系の女性歌手に通じ
る雰囲気も感じさせ、よりポップな選曲でも面白そうです。喉に負担の
かかる歌唱にも思えますので、無理をせずに大切に育って欲しいと思い
ます。
尚、ブックレットに記載されている空調のノイズ音ですが、大きい装置
ではかなり耳障りに聞こえるのが少々残念です。
<avanti classic>
5414706 10232(SACD-Hybrid) \2450
フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ ト長調
シューマン:幻想小曲集op. 73
ドーラ・シュヴァルツベルグ(Vn)
マルタ・アルゲリッチ(Pf)
録音:2005年12月

アルゲリッチ話題の新録で、過去にギトリスとのスタジオやライブもある
フランク&ドビュッシーのソナタです。予想どおりのピアノ主導の演奏で、
テンポや音量・音色の変化を駆使して緊張感のかたまりのような演奏を展開
していきます。シュヴァルツベルクのバイオリンも細やかな中にも時折見せ
る大胆な表現で、アルゲリッチのピアノと良い関係を感じさせます。しかし
全曲聴いた後一番印象に残るのはむしろシューマンで、シュヴァルツベルク
の表現も曲想と無理なく調和していて、作品への共感が感じられます。
これに比べるとフランスもの2曲は緊張感の高さと変化をつけた丁寧な曲想
の展開と言う点では申し分のない演奏ですが、やはりこれまでの多くのバイ
オリストの名演と聴き比べると、バイオリニストに今ひとつの訴えかけを期
待してしまうものです。
録音は楽器が近くで明瞭にとらえられていて、表情の変化が良くわかる優秀
録音です。
<Radio Servis>
CR 0292 \1850
スメタナ:連作交響詩「わが祖国」
カレル・アンチェル(指)チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1968年5月12日、プラハ市民会館スメタナ・ホール
プラハの春音楽祭オープニング・コンサート、ライヴ

チェコ国営放送が運営するレーベル、ラジオサービス(チェコ放送)の強力盤
です。この年の8月にワルシャワ条約機構軍の軍事介入が行われ、海外にいた
アンチェルはそのまま亡命して、2度とチェコフィルを振る事はありませんで
した。この演奏会の時点ではそのような事柄は演奏に反映されているはずはあ
りませんが、それにしても見事な集中力と気迫あふれる演奏で、当時のこのコ
ンビの最良の瞬間が記録されています。特に前半の3曲はその感が強く、抒情
よりも厳しさが追求された演奏になっています。録音も1968年のライブとして
は大変優秀で、ややデッドながら演奏現場の意気込み・雰囲気は十分聴き取る
ことが出来ます。
<LSO Live>
LSO 0080 \1050
LSO 0580(SACD-Hybrid) \1850
ベートーヴェン:
交響曲第3番変ホ長調Op.55「英雄」
「レオノーレ」序曲第2番Op.72a
ベルナルト・ハイティンク(指)ロンドンSO.
録音:2005年11月16-27日ロンドン、バービカンセンター(ライヴ)

一世代前の巨匠たちと比べられて、某西ドイツの有名オケの楽員から「彼には
Kのようなオーラがない」などと言われた事もあるらしいハイティンクですが、
古楽器使用からの流れをくむ昨今のベートーヴェン解釈とは違う、1970年代に
オーソドックスとされていた演奏様式で演奏されるこのベートーヴェンは、LSO
というロンドンNo.1の演奏力をもつオーケストラを駆使して、大変立派な演奏を
行っています。