嗅ュート嗅ュート
85年1月号から85年5月号で終わった短命企画。
内容は、読んでいるだけで生唾が出てくるような 「味」を感じさせてくれる文章、
また「匂い」を感じさせてくれる文章を創作するコーナー。
この月のテーマ=おでん
会話の断章 山本雅俊(京都府・23歳) |
失われた時を求めて(関東煮編) 節見宏也(岡山県) おなべのフタのすき間から、湯気とグツグツボコボコ音がもれて、引き戸のガラスをくもらせています。 小さい僕は、小さなナベとふたを持ち、暗闇が怖いので息をはずませ、引き戸の燈 を目ざして小走りに駆けていました。 お店のすこし前まで来ると、安心してか小走りをやめ、息をととのえ、引き戸に手をかけました。 その時、白い湯気がお店の燈に照らし出され、僕の目をかすませました。 |
かみつきたい日 柴田洋子(岩手県) でも かむと。 |
70年代的なあまりに70年代的な・・ 木枯らしの吹きすさぶ銭湯の帰り道。 |