アマチュアは「わかった」だけで満足してしまう。
(市村操一:心理学者)


ゴルフには「わかった!」と叫びたくなる瞬間がありますよね。今
までのもやもやした気分が嘘のように心の霧が晴れて、実に爽快な
心持ちです。

実際、その場ではよいショットを連発することが出来るんです。こ
の「わかった」は間違いないと確信します。そして「次からは一皮
向けたゴルフができる」とほくそ笑むわけです。

しかし、次、その次と回を重ねるたびに「わかった」感覚はだんだ
んと薄れていくんですね。やがては「わかった」ポイントもすっか
り忘れてしまって、またしばらくトンネル状態。。。

そして、今度は全く別のポイントで「わかった!」と言い出します。
前回はスタンスで今度は左腕の使い方だとしても関係ありません。
で、また一人ほくそ笑むわけです「こんどこそ間違いない。自分は
生まれ変わった。」

市村操一氏曰く、人間の動作には「習慣強度」と呼ばれるものがあ
り、これはそう簡単に直るものではないそうです。「わかった」は
「気づいた」だけであり、これが「できる」ようになるまでには、
繰り返し、繰り返しの練習で体に染み込ませる作業が必要だと。

たしかに多くの習い事は教室などに通って、講師の言うポイントを
繰り返しなぞるレッスンスタイルが一般的です。けれども、ゴルフ
は多くの人が我流で練習するために、自分であるポイントを見つけ
ると「わかった!」となってしまうのでしょう。

しかし、これは講師にポイントを示された段階にすぎません。そこ
から「では、これを繰り返し練習しましょう。」となるのが通常の
レッスンのスタイルです。

ゴルフのスイングは、その人の身についた習慣と言えます。そして、
習慣を変えるという作業はたいへんな労力を伴うものですし、年月
を経て習慣が染み付いている度合いが強ければ強いほど、それを変
える作業は困難を極めます。

上級者は習慣を変えるのは並大抵のことではないと心得ているので
しょう。そして、その習慣を身につけるまでの道のりが、長くて、
苦しいほど、その先で他の人が簡単に真似できない強さを手にする
ことができるということも。


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