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書評:『英知の教育』

この記事の最終更新日:2006年9月24日

英知の教育
英知の教育ジッドゥ クリシュナムルティ 大野 純一

春秋社 1988-04

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今回ご紹介する本はクリシュナムルティの『英知の教育』です。インド生まれの思想家クリシュナムルティが子どもや教師に向けて語った講話集です。

冒頭「教育とは何か」で、クリシュナムルティは書物ではなく、自分の周りで起こっていることから学ぶようすすめています。周囲で起きていることに傾聴すると、思いやりがあって、愛情深い人間に成長するだろうと彼は言います。これは深く心に響く教えです。

彼はあらゆるものに同時に注意を向けるようさとします。自分の思考を正そうとせず、ただひたすら思考の動きを注意深く見守ること。不道徳で、暴力的で、貪欲な社会と決して一にならず、社会を変革できる人材になるよう育てること。

これが彼のいう教育です。

教師への講話でも、彼は教育について説きます。

英知とは、鋭敏な感受性であり、書物からは学べないものです。競争心を煽る、社会に適応させるための教育ではなく、自分のしていることを愛するよう促す教育。時間にとらわれず、時間を忘れてものごとに取り組むようすすめる教育。

常に活発に動く精神、思考を彼はすすめます。固定化した生命は、命ではないのです。

彼にとって宗教的精神とは、完全に独り立ちしているものです。どんな教会、集団、教義、信念にもこだわらず、ただ「今」にある、完全に独立して自由な精神。それを彼は、真の宗教的精神と呼びます。

一部難解なクリシュナムルティの思考が、子ども向けの講話ということもあって、実にわかりやすく、説得力をもって語られています。

彼の言葉の力強さは、観察の鋭さから生じているのでしょう。



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