▲7五角戦法の一変化
2008/01/04

 
 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
 今年は季節毎に一回のUPを最低目標として頑張りたいな、と思っています。

 さて、今回は「▲7五角戦法」に関してです。
 一般的な横歩取りの出だしで、後手が飛車先を交換してきたときに、いきなり飛角交換から▲7五角と打っていくのがこの戦法の骨子です。

初手からの指し手
▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩
▲同飛△8六歩▲同歩△同飛▲2二飛成△同銀▲7五角・・・(第1図)

            

 第1図からは後手側の手段としては、
@ △8二飛
A △8八飛成▲同銀△5二玉

が一般的・・・というより、この二手段以外には考えられないかな、と思っていました。
 ところが、最近、友人から「こんな手を指されて完敗した」という報告と棋譜を紹介されました。
まずその手順を御紹介しましょう。

第1図からの指し手
△8八飛成▲同銀△7四角・・・(第2図)

            

 なんとも面妖な角打ちですね。狙いは単純な角成だけのように見えます。深読みに深読みを重ねたら「▲5三角成〜▲6三馬を受けている」ともいえるかもしれませんね(笑)。
 次の一手はどう指しますか?
 「そんなの簡単ですね。一目▲5八玉でしょう!」という方が多いのではないかと思います。私も第一感そうでしたし、友人もそのように指しました。
 ところが、これこそが後手の狙っていた順なのです!
 それでは、この後の指し手を見てみましょう。

第2図からの指し手(その1)
▲5八玉△2六飛▲2八歩△7六飛▲7七飛△同飛成▲同銀△4五飛
▲5三角成△4七角成▲6八玉△6九馬▲同玉△4九飛成・・・(第3−1図)

            

 ▲2八歩では▲2七歩もありますが、いずれにせよ△7六飛で大同小異。▲7七同銀では同桂もありますが、これもまた大同小異(かえって同桂のほうが王様が狭くなり、粘れないかもしれません)。以下は必然の手順の応酬で△4五飛と綺麗に十字飛車が決まりました。第3−1図以下は▲5九角の一手に△5八歩▲7九玉、そこで△5二金打とがっしり受けてから駒を拾っていけば負けようがありませんね。
 ▲5八玉はこういった横歩取り系の将棋では常識的な手ですし、そう指したいとうずうずしている所に△7四角ですから、「え、▲5八玉と只で指させてくれるの?!」という気持ちになるのも、無理のない所でしょう。

 感心ばかりはしていられません。対抗策を考えて見ましょう。
 ▲5八玉が駄目だとしたら、角成を防ぐにはまず▲3八金が浮かびます。

第2図からの指し手(その2)
▲3八金△2六飛▲2七歩△7六飛▲7七飛△同飛成▲同桂△2八歩▲同銀△4五飛
▲5三角成△4七飛成▲同金△同角成・・・(第3−2図)

            

 ▲3八金でも上の手順で後手が勝ちそうです。手順中、△2八歩が重要なところで、これを入れないで△4五飛ですと、第3-1図の近似局面(先手が▲3九銀形で持駒が一歩少ない)で▲2八飛という手がピッタリとなります。以下、△5六歩はあるのですが▲5四飛と打ち、△5七歩成に▲7五馬で虎の子のと金を払う感じで指すと、これは逆に先手優勢です。
 
 上記手順中、▲2七歩ではなく▲2八歩ならば△2八歩がないことになります。これも考察してみましょう。

第2図からの指し手(その3)
▲3八金△2六飛▲2八歩△7六飛▲7七飛△同飛成▲同桂△4五飛▲5三角成△4七飛成
▲同金△同角成▲3八飛△5六歩▲5四飛△4一玉▲5六飛△2七歩・・・(第3−3図)

            

 この場合は、△4七同角成の時に頑張って受けるとしたら▲3八飛となりますが、飛車が質駒になっているということが重要なポイントとなります。以下、第3−3図となりますが、以下黙っていると飛車取りから△2八歩成。▲2七同歩なら△3八馬から一旦△5二金打と守り、その後に△2八歩からボチボチ攻めていけば後手優勢でしょう。

 なお、▲4八金では▲3八金でもほぼ同じような形になります。当初は▲4八金なら5筋に利いているから、受ける際には少し得かな、と思ったのですが、あまり関係ないようです。

 それでは、△7四角が▲7五角戦法の決定版なのでしょうか?
 このまま引き下がっていては、非定跡党としてはちょっと面白くありませんね。対抗策を考えて見ました。

第2図からの指し手(その4)
▲5六歩△2六飛▲2八歩△5六飛▲6八玉・・・(第3−4図)

            

 最後の手段が▲5六歩。ここで後手としては例えば△5二玉のような手で穏やかな流れにしてしまっては、△7四角がぼけてしまいますし、何より将来▲5五歩から玉頭を狙われたらひとたまりもなくなってしまいます。後手としては角を打ってしまった以上どんどん攻め込むしかない局面になっているという訳です。
 今までと同じように飛車打ちから今度は5六に途中下車となりますが、ここで▲6八玉が重要な一手となります。4七の地点より角金両取り防ぐことを優先するという訳です。
 以下△7六飛なら▲5三角成△4七角成に▲5二歩。この歩が打てるのも▲5六歩の効果ですね。
 第3−4図は先手が一歩損で▲2八歩も打たされてしまいましたが、後手の急戦をしっかりと受け止めた形になっています。後手のみ飛車角を打ってしまった損の方が歩得より大きいのではないか、と感じています。

 ▲5六歩は横歩取り△2三歩型でも時折出てくる手(後手の手なので△5四歩ですが)です。まさに「大駒は近づけて受けよ」!格言の威力をまざまざと実感しているところです。

 しかし、△7四角を発見した方は相当お強い方だなあ、と思いました。あるいは、何かの本や雑誌で発表されているのでしょうか?情報ありましたら、是非御教示下さい。

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