![]() 2004/10/12
初手からの指し手
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3三角 ▲同角成 △同 桂
▲6八玉 △6五角 ・・・ (第1図) 名著「島ノート」に書かれている「筋違い角鬼殺し向かい飛車」。『…森下卓八段とアマ棋客モリッシー大川氏推薦の有力な作戦…』と宣伝されています。 確かに、島ノートに書かれているような変化になると筋違い角鬼殺し向かい飛車側が面白いように思います。 本にも書かれていることですが、第1図に至る手順中で大切なのは先手の▲6八玉。これは本でおさらいしておきましょう。
第1図よりの指し手
▲4八銀 △7六角 ▲7八玉 △2二飛 ・・・(第2図)
ただし、当然のことながら、本に書かれている変化だけが全てではありません。これから、筋違い角鬼殺し向かい飛車に対する有力な指し方を御紹介紹介しましょう 第2図よりの指し手
▲5六角 ・・・(第3図)
狙いは2つ。
@▲8三角成 A▲3四角と取り、その後3筋の歩を伸ばして桂頭を攻める とりあえず最初の狙いは阻止しなければならないので、例えば△7二銀と受けますが、そこで先手は悠々と▲3四角。それからじっくりと桂頭を狙っていけばよいのです。 アマトップクラスの実力者、W氏に▲5六角に対して意見を伺ってみたところ、「一見、いい手ですね」とのことでした。この手法、相当有力ですよ! ごるも、▲5六角があるのならば、△6五角はちょっと無理かもしれない、と感じているところです。無理矢理▲5六角に△8二飛として、以下▲3四角△3二金と我慢し、8筋の歩を伸ばしていくのはどうか、とも考えましたが、かなり手損していますから成立は難しいと考えています。 筋違い角鬼殺し向かい飛車は、後手の△3三桂に対して先手が堂々と▲3三同角成と指してくれないと成立しません。島ノートでこの四手目△3三角を見て「面白い!」と思って将棋倶楽部24等で試そうとしたのですが、角交換してくれるのは10回に1回あるかないかでした。ただでさえ成立が難しい上に、かなり有力そうな対抗策が現れた筋違い角鬼殺し向かい飛車の運命は如何に?! 追記(04/10/17) この手はオリジナルかと思っていたのですが、約2年前に前例がありました。日本一、いや世界一の将棋掲示板である、東京大学将棋部の「将棋パイナップル」(http://shogi-pineapple.com/)の中の「実戦研究」―「島朗『島ノート振り飛車編』雑記帳」の02番のバンカーヒルさんの書き込み(02/12/12)、図面は03番の久保利 明さん(すごいペンネームですね!)です。 とある方より御指摘がありました。どうもありがとうございました。いや、この掲示板は隅から隅までしっかりと熟読玩味すべきかもしれません。 将棋パイナップルの宣伝にもなるとも思いますので、折角ですからこの「ごるメモ14」もそのまま掲載していようかな、と考えています。 ところで、この角打ちは、似たような局面で内藤國雄プロが米長邦雄プロとの実戦で打っています(第4図、▲5六角まで、都合上先後逆)。 ![]() ただし、この場合は、後手側の角が手持ちなのが大きく、すんなりと桂頭をいじめる展開にならないんですね。似たようで全く異なる局面です。
参考文献
1)「島ノート」、島朗著、講談社、2002
2)将棋パイナップル スレッド「島朗『島ノート振飛車編』雑記帳」 3)「米長の将棋 6 奇襲戦法」、米長邦雄著、平凡社、1981
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