井上流美濃くずし▲8六銀戦法(1) 成功例
2003/06/12

 この戦法は、参考文献にあげた本の中で初めて知った戦法です。読んでみてすぐには対抗
策が浮かばなかったので、「そういう時は振り飛車党に聞くのが一番!」と数番試して見まし
た。面白いように決まったこともあれば、さすが餅は餅屋、聞いてみるものだ、と勉強になった
こともありました。

 さて、今回は成功例から御紹介しましょう。
 参考文献の中では、「井上流」とはついていません。しかし、この戦法を見たのはこの本の中
だけなので、井上八段のオリジナルなのではないかと睨んでいます。そこで敬意を表して「井上
流」とつけさせてもらいました。どなたか、この戦法を以前から知っていたという方がいれば教
えて下さい。

 詳しくは参考文献を見ていただくことにしましょう。居飛車の出だしから飛車先を突かず、最
初は英春流のように進めます。相手の振り飛車を確認した後、おもむろに▲7八銀〜▲8六歩
〜▲8七銀と指します。振り飛車側は、初めて目にしたときには「銀冠にでもするのかな?」と
思う事でしょう。そこで、すっと突き出す▲8五歩(第1図)。



 ここからは後手側の指し方により、
@▲7五銀〜▲8四歩
A▲9五歩
に分かれます。@も8筋と絡めて結局端を攻めることになります。

 この参考文献には、振り飛車側が
(A)美濃囲い
(B)二枚金
の時の指し方が書かれています。囲いとしては穴熊もありますが、さすがに囲うヒマがないでし
ょうし、わざと囲わせて端攻めするという手もありそうです。

 参考文献には書かれていない指し方として、ごるの実戦譜を掲載しておきます。

                 参考棋譜(2002.11.17 対midoriuzuki戦)

 藤井流、鈴木流、久保流といった振り飛車が出現し、振り飛車党が勢いに乗っていますが、
この「井上流」であなたも振り飛車党をてんてこ舞いにさせてやろうじゃありませんか!


 ・・・しかし、平手将棋に必勝法なし。次回は振り飛車側からの逆襲編です。これは本には載
っていませんので、乞うご期待!


参考文献

 1)「居飛車奇襲戦法」、井上慶太著、創元社、2002

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