かなけん流相振り飛車への対抗策
2003/05/10

 御存知、『かなけん流相振飛車』の出だしです。



 出だしで先手が三間にではなく立石流風に四間に振っていますが、かなけん流はそれに対し
ても同様に組んでいくことが出来ます。
 今回は、このかなけん流に対抗する指し方を紹介します。


対抗策 その1

第1図よりの手順は省略します(あまり良く覚えていないので。すみません)。



 7筋交換後、飛車は深く引きます。その後向飛車に転進し、棒銀で美濃の玉頭を圧迫してい
くのです。まあ、後手側の△5五歩が棒銀を誘発したのかもしれませんが。先手側の方針とし
ては、浮き飛車にするよりも引いて使うほうが当たりも少ないのでよいのではないかと感じてい
ます。
 さて、第2図。棒銀のため端は突きづらくなっています。また、▲8四歩△同歩▲同銀△8三
歩▲同銀△成同銀▲8四歩7二銀▲8三角という強引な攻めも場合によっては成立するかも
知れません。(△7四歩型では成立しないかもしれません。△7三歩型では成立の可能性あり
ます。)
 ごるは、とある重要な大会で『かなけん流相振飛車』を用いたところ、上のような指し方をさ
れ、マットに沈められてしまいました。(先に書いた筋などに注意を払わされて時間を使い、勝
負どころで時間に追われてミス。以下見所なし(T_T)。)
 なお、同じ大会に出場していたかなけんさんのお弟子さんのTさんもこれを採用。ごると同じよ
うに一直線に敗勢に。ただし、ごると違ってTさんは、そこからまくって逆転勝ちしました。見習
わねば…。


対抗策 その2

 さて、もうひとつの対抗策を紹介します。力戦四間飛車の開祖として有名なT氏とO将棋セン
ターのトーナメントでの対戦からの取材(参考棋譜をあげておきます)です。
 実はT氏との対戦前、このHPで見た『かなけん流相振飛車』をT氏に試してみたと(又聞きだ
ったのですが)ある人から聞きました。その人は、「かなけん流はなかなか優秀だ」と言ってい
たので、ごるもそれに続けとばかりに採用したという訳です。この将棋も立石風の出だしです。



 おそらくT氏はこの将棋が対かなけん流の生涯2局目。前回は序中盤ひどい目に遭っている
ことを思い起こしていたのでしょう。第3図で少考の後、ごるが全く想定していなかった手を指し
て来ました。

第3図よりの指手 ▲5六角 ・・・(第4図)



(第3図)

 このタイミングでの筋違い角は全く想定していませんでした。
 この手に対して、△7二銀とあくまで美濃に固執するのは悪手となります。なぜなら、8筋に飛
車を転進されたときに、飛車先突破を受けるのが難しくなるからです。王様を8二に持っていけ
ば、銀を足されてしまいます。同じようでも△7二金△8二銀の形では、飛車角銀の攻撃態勢
を整えるまでに手数がかかる(王様を動かしていない分、後手の手数がかかっていないことに
なる)ので、その間に後手側から動いていくことも可能となります。(きちんと考えてはいません
が、ごるなら角を目標に銀を繰り出していくように指すと思います。ごるメモ9参照)。
 実戦では筋違い角に対して先に△7二金と受けたのですが、△8二銀の方が王様が広く、良
かったようにおもっています。ただ、以下の先手の指し方は7二金の悪形に反応してのことでし
ょうから(ただし、やはり無理であった)、実際には何が幸いするかは分からないものですね。
 筋違い角を打つという対策は力戦が好きな方にはぴったりの指し方だと思います。ただし、
善悪は良くわかりません。


 先のTさんはかなけん流に関してこう言っています。「美濃は端が弱いので、一直線に(美濃
に)囲うと強い人なら確実にそれを咎めに来る。(そのようなことを)知らない人には良い戦法
かもしれないが、う〜ん、あまり使えないかも…。まあ、6三金、7二玉型を先に作っておいて、
そこから先は相手の出方次第で柔軟に対応しなければならないのでしょうね。」
 これだけでは、かなけん流のファンも減ってしまうかもしれませんので、最後にTさんがかなけ
ん流を採用したときの相手のWolf君の感想を紹介しておきます。「なかなか面白い指方です
ね。工夫すれば使えるかも。今度試してみます。」

  平手将棋に必勝法なし。有力な指し方が現れれば、すぐさまそれに対抗する指し方も出て
きます。かなけん流相振飛車は今後どのような進化をとげるのでしょうか、楽しみなところです
ね。



付記 創始者からのコメント                       2003/05/10

 このメモのUP後、この戦法の創始者であるかなけんさんよりコメントを頂きましたので、
掲載します。

 まず2図。確かに2図までなると後手苦しそうです。
問題はそこに至る手順ですね。下段飛車に対しては35歩は急ぐ必要は無く逆に先に44銀から
35銀と先攻していく展開にしたいです。74歩は、矢倉に発展が望めない展開ならば突く必要な
しです。

 続いて4図。当然82銀で34角に55歩で不満なしです。持ち角対筋違い角は待ち角良し!が
持論なので。その後の展開としては72玉・62金上とした後、2筋突いて24飛と浮き飛車に構え
るのがバランスのいい構えです。

 この戦法は使える相手と展開(76歩34歩75歩)が向かないと採用できないという応用範囲の
狭い戦法ですが、うまく使えば優秀な戦法だと今でも自負してます。
 某弟子のように、付け焼刃で使うと痛い目に遭うことがありますので、使う際は各自で最低限
の変化は研究してから使ったほうがいいと思います。
 僕自身24では勝率が良く愛用していますが、全て早指し対局ということも好成績と無関係と
は言えないでしょうね。40分40秒の将棋で、どこまで戦えるかが今後の課題です。

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