後手番メリケンの新手


  初手よりの指手
  ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲4八銀 △3二銀 ▲5八金右 △4三銀
  ▲6八玉 △3五歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7八玉 △2二飛 ▲4六歩  △3二金
  ▲4七銀 △6二玉 ▲3六歩 △2四歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲同 飛  △同 角
  ▲2二歩 △3三桂 ▲2一歩成 ・・・(第1図)



 名著「島ノート」でも取り上げられた「メリケン向飛車」。その破壊力は凄まじく、知らない人に
はあっという間に優勢→勝ちへともっていける攻撃力抜群の戦法である。
 元アマ竜王、他、輝かしい戦歴をお持ちの横山公望氏が開発した戦法である。この戦法に関
しては、創始者が本を出版なさっているので、詳しく知りたい方はそちらを御覧になって頂きた
い。既に絶版になっているかもしれないが、氏が師範&受付をしている横浜の将棋道場「ハマ
公望」では、あるいはまだ入手可能かもしれない(2年前にごるはそこでサイン本を購入できま
した)。

 さて、今日取り上げる変化は、島ノートにも公望氏の本にも載っていない変化である。残念な
がらごるの発見した手ではなく、ごるの相手が苦慮の末ひねり出した手である。

 第1図に至るまでの手順中、21手目の▲2四同歩では、
@▲3六歩 △2五歩 ▲3七桂
A▲3六歩 △2五歩 ▲3六銀
という変化もあり、あるいはそちらの方が有力ではないかと今は思っている。
 公望氏は、「後手番メリケンは無理」と本の中で書いてある。公望氏の念頭にあるその変化
は上で書いた手順ではないかとにらんでいる。そしてこれは、本にも詳細に書かれている公望
VS石川プロ戦とまったく同一の展開である。公望氏は逆転勝ちを収めたのだが、こちらはそ
の将棋を勉強しており、どうやっても勝ちに持って行けそうだとかなり楽観していた。
しかし、ここで思わぬ手を指され、対策に苦慮することとなった。

第1図以下の指手  △5一金 ・・・ (第2図)



 この手は、先手の狙いの▲2二と〜▲4二飛を受けた手である。△6二玉型のため、妙に後
手陣がバランス良いのである。
 実戦ではこの後二転三転の大熱戦になったが、この手以後の10数手のあたりは居飛車が
苦しいのではないかと思っている。
 この手の成否に関しては、機会があれば創始者に伺ってみたいと思っているところである。
まだまだいろいろな所に色々な手が隠されている、そんな思いを強くした驚愕の一手であっ
た。

 なお、メリケンに苦しんでいる方のために、参考文献の3をあげておく。

   参考棋譜

参考文献
 1)「島ノート」、島朗著、講談社、2002
 2)「公望流 メリケン向飛車戦法」、横山公望著、三一書房、1995
 3)「新 ニーダの定跡研究(その40)」、アマレン第148号(2002年12月1日発行)2ページ


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