かなけん流相振り飛車

― 三手目▲7五歩に対する変化業 ―


初手よりの指手 ▲7六歩 △3四歩 ▲7五歩 △5四歩 ▲7八飛  ・・・(第1図)



 話題の書、「島ノート」に先手早石田に対する後手の対策が2種類紹介されています。
今回「ごるメモ」で取り上げる手法は、3番目の対策といえるのではないか、と思います。
 実はこの指し方は、ごるの独創ではありません。三間飛車には一家言を持つ函館の強豪、
かなけんさんのオリジナルであります。今回、かなけんさんに詳細を確認し、掲載の許可もとり
ました。ここに感謝の意を表します。

 この指し方をはじめて見たのは、昨年3月、かなけんさんのHPで主催された「北海道沖縄対
抗戦」の時でした。北海道チームの4勝6敗で迎えたカド番を、かなけんさんは見事にこの戦法
を駆使して凌ぎました!なかなか面白い指し方だ、と感じたごるは、早速棋譜を入手、見よう見
まねで数局実験。現在の所、なかなかの手応えを感じています。
 実はこの将棋が第1号局だそうです!かなけん流相振り飛車の誕生局を観戦できて光栄に
思っています。参考棋譜としてその将棋を載せておきます。

第1図よりの指手 △8八角成 ▲同銀 △4二銀   ・・・(第2図)



 第1図からの2手目までは、「島ノート」でも解説されている手順であり、時々見かけられる指
し方です。かなけん流の眼目の一手は三手目の△4二銀!
 危ないようですが、▲2二角には△3三角で受かっています(以下▲3三同角成△同銀▲5
三角には△4四角)。また、▲7四歩には△同歩▲同飛△5三銀。▲2二角△3三角▲同角成
△同銀▲7四歩には△同歩▲同飛△4五角。いずれの変化も大丈夫。

 第2図以下の指し方の方針は
・向かい飛車にする
・美濃に囲う
の2点です。
このあたりは、文字通り参考棋譜が参考になります。

 一見この指し方は手損のように思えます。しかし、私見ですが、
・角交換型の相振り飛車、特にこの形はあまり手損が響かない
・2枚金ではなく、美濃に囲える。
・後手は△3五銀と出れるが、先手は▲7五銀と出られない
という理由により、後手も十分なのではないかと思っています
 まだ未開拓の「かなけん流相振り飛車」、さらなる研究を加えて得意戦法のひとつにされては
いかがでしょうか?

                     参考棋譜

参考文献
 「島ノート」、島朗著、講談社、2002

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