船頭飯
材料 蕪・味噌・出汁・米 

作り方
 蕪を適当な大きさに乱切りする。
 昆布出しで蕪を煮て、柔らかくなったところで味噌を入れる。つまり蕪の味噌汁を作る。
 熱いうちに、炊きたての御飯にかけ、蕪の葉を茹でてみじんに刻んだものを散らしていただく。

何か腹へ入れておきなさるがいい」
 半右衛門が支度をしたのは、蕪の味噌汁であった。
 乱切りにした蕪を煮くずれるまで煮た、熱い味噌汁で、これを炊きたての飯にかけて食べる。九州のほうでは、これを「船頭飯」というのだそうな。
「こうりゃあ、旨い」
 梅安は、二杯もお代わりした。
 外へ出ると、風が冷たかった。もうすぐに、この風が強くなって、凩になる。
 品川台町の家へ帰った梅安に、彦次郎が、
「寒くなりましたね」
「うむ。だが元締めのところで旨いものを食べてきたので、あたたかいよ」
「何が出たのです?」
「船頭飯というものだ」
「へえ・・・・・」
「そうだ。彦さんに教えておこう。また食べたい


             
(梅安冬時雨−「師走の闇」)

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