2005年3月議会個人質問その2

「市民との協働」の意味と実際の取組

<質問の前提として>

市長は常々「協働と協育」を基本理念としていると明言されています。施政方針演説のそこここにも「協働」の言葉があふれています。

<質問1>

そこで「市民との協働」を市長はどのようにとらえて使われているのか、よくある本の中の言葉ではなく、市長の実践活動に基づいたご自身の言葉でお話ください。
<企画部長>
 協働の意味、定義につきましては市長にとのことでございますが、まず、担当部からお答え申し上げます。
 その意味、定義でございますが、現在、自治基本条例研究会において検討を進めております市政運営の基本となる事項を定める(仮称)自治基本条例の中では、市民及び市が共通の目的を実現するため、それぞれの役割と責任を自覚しながら、お互いの立場を尊重し協力すること、と考えております。
 次に、協働の実際の取り組みといたしましては、福祉、環境、教育といったさまざまな分野で広がりを見せておりまして、その主体もさまざまであると存じますが、平成15年度におけるNPOとの協働の状況で申し上げれば、虚弱高齢者に対しまして日常のお世話などを行う老人デイサービス事業、活動に対して協定を締結している千里緑地における竹林管理、市内の公園、花壇の管理、紫金山公園の清掃などがございます。

<市長>
 私は、市民と行政がパートナーシップを形成し、お互いの果たすべき役割分担と責任を確認し合いながら相互に補完、協力し合うことによりまして、市民と行政との協働の関係が成り立つものと考えております。こうした協働の実際の取り組みは、現在ではまちづくりや市政のさまざまな分野に広がりを見せているところでございます。ごく一部の事例ではございますけれども、具体的に申し上げますと、千里緑地の竹林をNPO法人に管理していただいたり、フラワーメイトの皆様方による公園の管理や、あるいは地域の方々によります道路の清掃など、吹田版里親制度をもとに活発に実践されているものと認識いたしております。

私なりに市長の施政方針を「協働」のキーワードでくくってみました。
市長は「新しい時代の新しい地方自治を創造するため、市民の市政への参画及び行政との協働が求められており、市民と行政が役割を分担し、それぞれの責任のもと協働して計画を作り、協働のまちづくりを進めるため協働して施策実現を目指す」とおっしゃっています。

しかし、実際の計画、施策はどうなっているのでしょうか?たとえば、山田駅前公共施設への青少年拠点施設計画はどのような形で協働で行われていますか?アンケートをとったり、ワークショップをすることが協働ではありません。単なる市民参加、市民参画でしかありません。

市政への市民参画と協働を進め、公正で透明な市政の執行を図るために、行政情報の公開と提供が不可欠だとのことですが、一部の市民だけへの優先的な情報公開、提供になっていませんか?情報を公開、提供している側の論理と、情報を受け取る側の論理とは違います。たとえば市報すいたに掲載すれば、行政の説明責任を果たしたと思っていませんか?

<質問2>

協働のまちづくりを推進するための方策を検討するため、地域と行政のあり方について調査研究を進めるとのことですが、調査研究そのものから協働するしくみが必要ではないのでしょうか?この点について考えを示してください。
<市民文化部長>
 吹田市におきましては、平成12年(2000年)から市民公益活動に係る現状、課題を検討し、また、平成14年(2002年)には市民公益活動の促進に関する条例が施行をされました。
 行政、市民、事業者及び市民公益活動団体のそれぞれの立場を尊重しながら協働し、まちづくりの主体であります市民がみずからの意思で参加する、自由で柔軟な発想を持った市民公益活動を促進することを目指しております。
 この条例に沿って、市民公益活動の促進に関する基本方針の作成を審議会に諮問し、昨年1月に答申をいただきました。これに基づき、基本方針案を作成し、広くパブリックコメントを求めたところでございます。現在、それらを集約をし、NPOと行政とが協働を進める際の考え方や施策など基本方針の作成を進めているところでございます。

<企画部長>
 最後に、協働によるまちづくりを推進するための方策を検討するための地域と行政のあり方の調査、研究につきましては、現在のところ、大阪府下の先進市の視察を初めといたしまして府外の先進市の視察を実施するとともに、庁内関係部局で構成する検討組織を立ち上げ、自治会との協働のあり方などについて検討してまいりたいと考えております。

次にNPOセクターと行政の協働に関して質問します。
イギリスでは「政府とNPOセクターとの間の関係を双方の利益になるように改善するためのパートナーシップ協定」としてのコンパクト(協約)をはじめ、協働にあたっての双方の関係のルール化を図っています。またさらに、各自治体においても、NPOセクター間との協定としてローカル・コンパクトを策定しています。

一方、日本では、自治体とNPOとの関係について事業方針等を作成する自治体も増えてきました。吹田市においても「市民公益活動の促進に関する基本方針〔案〕」が先日できました。しかし、残念ながら、協定ではなく行政側の内部指針にすぎません。

昨年の8月に愛知県で日本ではじめてのコンパクト『あいち協働ルールブック2004』が締結されています。

<質問3>

吹田市においても協働を進めるのであれば、ローカル・コンパクトの策定が必要ではないでしょうか?お尋ねします。
<市民文化部長>
 「あいち協働ルールブック2004」は、NPOと行政の協働ルールとして全国で初めて愛知県が発行し、その内容は、基本的な考え方であります意義及び原則と、企画立案、実施、評価の各段階での協働に当たって、NPOと行政がそれぞれ守るべき基本姿勢の二つの柱から成り、これに賛同するNPOが最大限の遵守に努めることとされています。
 今後は、より具体的にどのような意思疎通や共通理解を図るのがよいのかなど、愛知県でのローカル・コンパクト(地域協約)も参考にしながら、関係部局並びに審議会、NPO団体とともに、そのあり方について研究をしてまいりたいと考えております。

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●千里山駅周辺整備事業と千里山地区住宅市街地総合整備事業

1999年7月議会で千里山地区住宅市街地整備総合支援事業の予算が承認されましたが、その後お蔵入りとなっています。今3月議会の千里山駅周辺整備事業とは対象区域が違っています。また、内容も微妙に違うようです。

<質問1>

相違点及び二つの事業の関係についてこれまでの庁内検討経過と共に説明してください。
特に、千里山駅横の踏み切り改善策として検討されていたバイパス道路について、今回の事業範囲であるのかどうか、前回の事業計画から変わった点についてはその理由も明らかにしてください。
併せて、予算に計上されている自転車駐輪場計画についてもご説明ください。
<年整備部長>
 千里山駅周辺整備事業につきましては、千里山団地の建てかえや駅周辺の都市計画道路等の公共施設整備を図りますため、住宅市街地総合整備事業により快適な居住環境の創出と都市機能の更新を目指して千里山地区の整備を総合的、一体的に推進しようとするものでございます。
 まず、住宅市街地総合整備事業の整備対象区域の相違点についてでございますが、以前の区域には含んで検討しておりました高塚地区の土地区画整理事業が完了しましたことにより、区域の縮小を検討しておるところでございます。今後、住宅市街地総合整備事業の整備区域や事業内容につきまして、基本計画策定による公共施設の配置等を勘案し、国、大阪府及び独立行政法人都市再生機構などの関係機関と協議調整を行い、定めてまいりたいと考えておるところでございます。

 また、踏切改善策として検討しておりますバイパス道路を含みます駅周辺の道路計画につきましては、基本計画策定の中で総合的に検討を行い、千里山地区住宅市街地総合整備事業として整備を進めてまいりたいと考えております。
 次に、庁内検討状況といたしましては、関係部局や関係機関が相互に連携を図りながら、千里山駅周辺の整備に取り組むため、これまでに事業推進に向けての諸課題について、関係部局、大阪府及び都市再生機構等の関係機関と協議調整を行っており、今後も引き続き協議をしてまいります。

<建設緑化部長>
 阪急千里山駅周辺には、現在、有料の自転車駐車場がないところに、約1,250台の自転車等が集中しております。このような状態を放置できないことから、自転車駐車場の整備について、以前より各関係機関と調査、検討を進めてきたところですが、駅周辺には整備できる用地の確保等が困難な状態で、整備できずに今日まで至っておるのが現状でございます。今後、地元自治会や周辺住民の皆様、関係機関との協議を進め、御理解と御協力をいただきながら次の箇所について整備を行っていきたいと考えております。

 まず初めに、大丸ピーコック千里山店の裏側に約300台が収容できるよう整備したいと考えております。
 次に、霧が丘4棟の南側の千里山霧が丘1号線内を整備しまして、約80台が収容できるようにしていきたいと考えております。また、駅東側にあります阪急電鉄の無料自転車置き場の南北2カ所の再整備と、佐竹千里山線沿いで団地南側ののり面部分につきまして協議が調うようでしたら約100台を収容できるように整備していきたいと考えております。

 現在、千里山団地の建てかえを含めました住宅市街地総合整備事業が検討されておりますことから、整備いたします置き場につきましては暫定的な整備とし、使用料につきましては、すべてを整備いたしましても、現在千里山駅周辺に集中しています自転車の約半数しか収容できないことや、数カ所に分散することになり、有料にすると管理費用もかさみますので、当面の間無料とし、状況を見ながら有料化について検討してまいりたいと考えております。同時に、放置禁止区域を設定していきたいと考えておりますが、範囲につきましては今後、検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
 これらの整備とあわせまして、住宅市街地総合整備事業の中で有料自転車駐車場の整備を行うための自転車駐車場整備計画案の策定を行ってまいりたい。

今回の基本計画策定範囲の半分以上を占める千里山団地を管理する都市再生機構との調整もさることながら、地域の中心である千里山駅へのアクセスやバリアフリー計画のためには当事者である地域住民とともにまちづくりを行うことが必要だと考えます。

以前から、住民が基本計画の段階から参画できる仕組みづくりがあってこそ、協働のまちづくりが実現すると申し上げてきました。

<質問2>

地域住民との協働の場づくり

基本計画策定及びその後の実施計画、実際のまちづくりに至るまでのプロセスにおいて、どのように地域住民との協働の場を組み込もうと考えているのか、お尋ねします。
 千里山駅周辺整備事業におきます基本計画策定を初めとする計画づくりには、市民の皆様とまちづくりを考え、御意見、御要望を反映させることが重要であると認識をしておるところでございます。このため、市民、事業者、行政が集う協議の場を設けて、共有化、集約化等の整理をした御意見を計画案に生かしてまいりたいと考えておるところでございます。

●環境教育推進法施行及び「国連持続可能な開発のための教育の10年」

京都議定書が発効しました。地方公共団体は、京都議定書目標達成計画を勘案して施策を総合的・計画的に実施しなければなりません。また、地域レベルでの温暖化対策の取り組み推進のため、地方公共団体、事業者、住民等からなる「地球温暖化対策地域協議会」を設置し、地域のパートナーシップにより対策を推進することとなっています。

東京都など大都市は排ガス規制などでは独自の対策をはっきり打ってきています。また、新エネルギービジョンあるいは省エネルギービジョンを策定している自治体もあります。

<質問1>

エコオフィスプランや温室効果ガス排出抑制実行計画、低公害車等導入計画など吹田市役所としての取組はありますが、
吹田市全体として市民や事業者とのどのような取組や規制を考えていますか?また、施策を確実に進めるためには、計画をたてるのはもちろん、条例の制定も大きな効果を生みます。地球温暖化対策推進法に基づく条例の策定などは考えていますか。お答えください。
 地球温暖化防止対策に関しまして、現在、本市におきましてはISO14001の認証取得や吹田市役所エコオフィスプランによる率先行動を初め、事業者に対する環境マネジメントシステムの普及促進、市民に対する環境家計簿の普及促進などの施策を実施しているところでございます。
 御指摘いただいております吹田市全体の取り組みにつきましては、国の京都議定書目標達成計画やアジェンダ21すいたなどを踏まえ、行政として市民、事業者に対しまして温暖化防止に向けた主体的な取り組みを促すとともに、3者協働による取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 また、温暖化防止に関する地域全体を対象とした計画につきましては、都道府県、政令市においては地域全体の温室効果ガス排出削減目標を盛り込んだ形で策定が進んでおりますが、市町村では策定が進んでいないのが現状でございます。京都議定書の発効を契機として、今後、市町村における温暖化防止対策の強化が求められていることから、地域全体を対象とした計画、条例について、本市における他の諸計画、既存の条例との関連性を精査しながら調査、研究を進めてまいりたいと考えております。

次に、国連持続可能な開発のための教育の10年は、持続可能な開発を進めていくために、基礎教育、高等教育、教員教育、環境教育等を充実させ、市民の啓発活動を展開することが必要であるとの認識に立ったものです。施政方針では、「エコの語り部」を育成する「すいたシニア環境大学」の継続的な運営、修了生への支援を通じて、環境教育・環境学習を一層推進していくとのことですが、受け手があってこその支援です。

<質問2>

この国連の10年について環境教育・環境学習の現場をもつ教育委員会として環境部の取組とどのように連携、協力して進めようとしていますか?お尋ねします。
<教育監>
 本市小・中学校におきましては、環境について理解を深め、主体的に行動できる児童、生徒をはぐくむため環境教育副読本を作成し環境教育の充実に努めており、各学校におきましては、教科や総合的な学習の時間のカリキュラムに位置づけ、年間指導計画のもと、創意工夫した取り組みが進められております。これまでも、各学校におきましては関係諸機関から御協力をいただきながら環境教育を進めており、今年度も本市環境部との連携のもと、生ごみ堆肥化の推進や紙ごみモデル校での実践活動、環境教育フェアへの積極的な参加、省資源や自然環境保全の環境啓発ポスターの作成などに取り組んだところでございます。
 また、シニア環境大学の修了生の方々で組織されておりますNPOの関係者やリサイクルプラザ研究所の研究員を講師としてお招きし、実践的、体験的な学習が行われ教育的効果を上げており、今後も学習の場である学校が環境教育を担う方々に御協力いただける体制づくりに努め、より充実した環境教育を進めてまいります。
 教育委員会といたしましては、御指摘の国連持続可能な開発のための教育の10年に関する取り組みに、環境教育の一層の推進を図るという観点から積極的に参画するとともに、環境部とも十分連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。

●大学のあるまちづくり事業

吹田市内の大学と吹田市とはそれぞれの間に連携協力に関する協定書を交わしています。連携の主な内容として、1.産業、2.教育、3.地域・市民との交流、4.その他、双方の人的・知的資源などの交流とあります。この協定書で言う吹田市とは行政だけを示しているのではなく、市民を含め、吹田市全体を意味しているべきだと考えます。

大学の上層部と行政だけが形ばかりの連携協力を行うことでお茶を濁すのではなく、市民一人ひとりが大学とつながっている、関わっている実感が得られることが必要だと考えます。その意味から、たとえば、大学の図書館を市民が活用できるようになるのも、目に見えて実感できる連携協力のひとつでしょう。また、吹田市行政、大学共にきちんと窓口を設置し、組織として動くしくみを作っておく必要があります。

さらに、連携協力が成功し、長続きするコツは双方が得をするwin&winの関係が成り立つことが必要だと考えます。すなわち、市民も得をする、大学も得をする関係です。たとえば、市民活動と大学の教育活動がリンクすることで、市民活動は大学の学生のエネルギーや知的資源を活用することができ、大学は学生の教育実践の場を市民活動の場に求めることができます。このような市民と大学の市民レベルでの連携協力が生まれ育つことが、大学のあるまちづくりの本体、根幹を成すものとなっていくと考えます。

<質問1>

地学連携協力のもと「大学のあるまちづくり」の具体的な事業展開に向け取り組むと施政方針にもありますが、予算から見える講座開催以外にどのような事業を考えていますか?
行政として、このような市民レベルの活動と大学との連携協力を側面支援することが大きな役割であると考えます。いかがでしょうか?お答えください。
吹田市には関西大学、千里金蘭大学、大阪大学、大阪学院大学、あるいは民族学博物館など有数の大学及び研究機関がございますことから、大学のあるまちづくりを推進するために、平成14年度(2002年度)から平成15年度(2003年度)にかけまして、大学のあるまちづくりフォーラムを開催いたしました。
 その報告を踏まえ、歴史的・文化的資源の活用及び知的・人的資源の交流を図ることにより、文化、教育、産業、まちづくり等の各分野において、市民、事業者、行政と大学がお互いに協力、連携を積極的に推進することを目的として、本年度、4大学と包括的な基本協定の調印を取り交わしたところでございます。
 既に、吹田まつりへの学生ボランティアの派遣や、教育、文化、国際交流など各分野、多方面にわたりまして連携、協力がなされていますが、この基本協定の調印によりまして各大学と地域を結ぶ大きなネットワークが構築をされ、さまざまな分野において、市民、事業者の参画を得ながら大学の持つ知的・人的財産、事業者及び市民団体への活力、想像力、さらには歴史、伝統、生活に根差した地域の力が結びつき、大学のあるまちづくりの大きな活力になるものと考えております。基本協定に基づき、本年度に引き続き平成17年度(2005年度)につきましても、大学が主催する授業に職員を講師、受講生として派遣してまいりますほか、大学のキャンパスを開放しての市民参加型の祭りの開催など、今後より一層、大学、研究機関との連携、協力を強め、大学が広く地域市民に開かれ、市民が大学のあるまちを誇りと思えるようなまちづくりの実現に努めてまいります。

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