2005年3月議会個人質問その1

個人情報保護法と住民基本台帳大量閲覧制度

<質問の前提として>

個人情報の保護に関する法律(以下、個人情報保護法)が全面施行になります。
個人情報保護法では、個人情報を取得した個人情報取扱事業者は、利用目的による制限、安全管理措置、第三者提供の制限等の各種義務が課せられます。
また、住基法第50条により、偽りその他の不正手段により住民基本台帳の一部の写しの閲覧をし、住民票の写し等の交付を受けた者は、10万円以下の過料に処することとされています。
一方、大量閲覧制度の根拠は住民基本台帳法(以下住基法)第11条にあり、何人でも閲覧することができると定める一方、請求事由を明らかにすることを義務付け、不正の目的等の場合は拒むことができると定めています。しかし、申請時の記載さえされていればほとんどノーチェックで閲覧、書き写しできるのが現状です。また、閲覧者が書き写し持ち帰った個人情報の利用について、追跡調査したり消去・廃棄等について確認することは実際、不可能です。
このように個人情報保護に関する制度が整備されていく中でさえ、大量閲覧制度によって個人情報が自治体から合法的に流出しています。そして、先日3月9日には、名古屋市で大量閲覧制度を悪用して母子家庭を探し出し、母親不在時を狙って強制わいせつをしていた男が逮捕されました。また、東京都内では悪徳商法で行政処分を受けた業者が大量閲覧制度を利用していたことも明らかになりました。いずれも、手続き的には問題なく、大量閲覧制度の悪用は防げないことが証明されました。

<質問1>

住民基本台帳大量閲覧の制限条例の早期制定を!

大量閲覧制度の運用は自治事務として市区町村長の判断に委ねられています。
たとえば、福山市の「住所及び名前を特定しない住民基本台帳の閲覧請求があった場合は、その目的が公共に寄与するものでなければ応じられないものとする」あるいは新居浜市の「閲覧で知りえた事項が不当な目的に使用されるおそれがないことが確認できないときは閲覧を許可しない」熊本市の「被閲覧者を氏名、生年月日、住所等により特定できないものにあっては、当該(閲覧)請求を拒むものとする」の例など、公共目的以外の大量閲覧を事実上認めていない自治体もあります。
吹田市も公共目的以外の大量閲覧を認めないよう「住基台帳の個人情報を保護するための条例」などの制定が必要です。
11日の代表質問の回答として、条例の制定も含め検討するとのことですが、ぜひ、早急に制定することを求めます。
 本年4月から個人情報保護法が施行され、個人情報取扱事業者に各種の義務が課せられます。住民基本台帳の閲覧に当たり、利用目的の制限、適正な取得、第三者提供の制限及び罰則など必要な事項を周知をいたします。

 今後、個人情報保護法が4月1日から施行されますので、個人情報保護の立場から、住民基本台帳閲覧の具体的な制限の方法につきまして、世帯別リストなど一定の時間を要するものを除きまして、できるだけ早期に実施をしてまいりたいと存じます。

<質問2>

国に対し住民基本台帳法改正の要望を!

また、国に対して、そもそも4情報を原則公開とし、大量閲覧制度を認めている住基台帳法を見直し、4情報を原則非公開とするよう、早急に法改正を行うよう要望することを求めます。
 この制度は、住民基本台帳法に基づいており、閲覧の制限につきまして、個人情報保護の観点から条例制定を含めまして検討してまいりたいと考えておりますが、住民基本台帳法の改正につきましては、全国連合戸籍事務協議会を通じまして、引き続き国に要望してまいります。

また、条例を検討している間にも個人情報は狙われています。すぐできることとして最低限以下のことは直ちに実施していただきたいと考えます。

<質問3>

閲覧申請の厳格な事前審査を!

1.請求事由は抽象的な記載ではなく、住民基本台帳または住民票のどの部分をどのような目的に利用するのかが明らかになる記載を求めること。また、申請書は前もって提出させ、審査を厳格に行うこと。
 たとえば、ダイレクトメールやアンケート調査に用いる場合は文書そのものを添付させる自治体があります。提出さえすれば許可されるようなフリーパス状況では審査しているとはいえません。
第1に、閲覧に当たりましては、閲覧の理由、範囲を明示させておりますが、より具体的に明らかにする資料の提出を求めてまいりたいと考えております。

<質問4>

2.関係文書の提示を求め、閲覧請求者の身分確認を厳格にする。
 請求者の氏名、住所についても身分証や法人登記簿、会社概要、事業の説明などの提示を求めるとともに、個人情報保護法に基づく義務を遵守している個人情報取扱事業者かどうか確認すること。
第2に、閲覧請求者の本人確認を厳格に行い、個人情報保護法に規定をする個人情報取扱事業者に該当するかどうか確認をいたします。

<質問5>

誓約書の厳格化と遵守を!

3.誓約書の記述をもっと厳密にするとともに、申請者に控えを渡し、遵守させること
たとえば
1)目的外利用を禁止
2)閲覧に当たって職員の指示に従う(カバン、携帯電話持込禁止など)
3)閲覧対象者に迷惑をかけないこと
4)利用が終わった後、閲覧情報を焼却処分すること
 第3に、現在、閲覧誓約書の提出を求め、個人のプライバシー保護のための適正管理、目的外使用の禁止を誓約いただいていますが、今後、利用後の閲覧情報の焼却処分を含めまして、より厳密な誓約書の提出を求めてまいりたいと考えております。なお、注意事項として携帯電話の使用禁止、資料の持ち込み禁止等を既に掲示をしております。

<質問6>

閲覧用リストを氏名の50音順に!

4.現在の世帯順リストをやめ、閲覧用ファイルは氏名の50音順リストとすること。
4情報以外に世帯情報を提供する必要はありません。名古屋の事件は世帯順リストであったために簡単に仮定状況がわかったことから起こった事件です。
 自治体が閲覧者側の便宜を図る必要は全くなく、高齢者や若い女性一人世帯が簡単にわかるような情報を市が提供していることのほうが問題です。
 第4に、現在、閲覧リストは世帯ごとに氏名を記載しておりますが、世帯別リストの提供のあり方につきましては今後検討してまいりたいと考えております。

<質問7>

5.市民の住基情報が不正に書き写されたり、目的外利用されたとき、個人情報保護法によって事業者に利用停止請求や民事訴訟を起こすことができます。
証明のために必要な期間、大量閲覧内容の写しも保存すること。
 第5に、閲覧内容の写しの保存期間は3年間でございますが、保存期間につきましては、個人情報保護法の関連で検討してまいりたいと考えております。

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<質問8>

6.閲覧用ファイルの盗難事故が起こった自治体もあります。個人情報の塊であるファイルの取り出し返却は職員が行うこと。
 第6に、閲覧の際には職員が立ち会って注意を払っており、ファイルの管理も職員が慎重に行っておりますが、今後より厳重に行ってまいります。

<質問9>

7.閲覧回数の制限を設けること。
たとえば、同じ業者による連続した閲覧を制限するなど、住民情報を大量に書き写されないようにすること。
 第7に、閲覧回数は1カ月3回に制限しておりますが、さらに制限すべきかどうか今後研究してまいりたいと存じます。

以上のことについて、早急に検討し変更すべきだと考えます。回答を求めます。

<質問10>

DVやストーカー被害者の情報を閲覧リストから外せることについてもっと広報を!

また、DVやストーカー被害者が申し出ることによって、閲覧リストからデータを外すことができるようになったと聞いていますが、このことについて、市民への広報はどのようにされていますか?併せてお尋ねします。
 また、ドメスチック・バイオレンスやストーカー被害者に対しましては、吹田警察、大阪府吹田子ども家庭センター及び市民課、各出張所、男女共同参画課に閲覧リストから削除するよう申し出ることができる内容のチラシを置いておりますが、その他の広報につきましても検討してまいりたいと存じます。

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