2004年2月5日(木)臨時議会

1.議案 「市長、助役及び教育長の給料及び手当ての特例に関する条例の制定について」
2.議案参考資料 「吹田市職員及び吹田市教育委員会事務局職員の処分について」
3.いけぶち質問とそれに対する回答およびいけぶちコメント

議案 「市長、助役及び教育長の給料及び手当ての特例に関する条例の制定について」

(趣旨)

◎市長、助役及び教育長に対して支給する給料、調製手当て及び期末手当の特例に関し必要な事項を定める。

◎平成16年2月から7月までの間に支給する市長の給料月額を10%カットする。

◎平成16年2月から4月までの間に支給する助役(荒起さん)の給料月額を10%カットする。

◎平成16年2月から4月までの間に支給する教育長の給料月額を10%カットする。

議案参考資料 「吹田市職員及び吹田市教育委員会事務局職員の処分について」

1.被処分者及び処分内容

◎社会教育部長・・・懲戒処分として3か月停職(4月27日まで)
◎市民文化部長・・・懲戒処分として6か月減給10分の1(7月26日まで)
◎総務部長・・・懲戒処分として戒告

2.処分年月日

 平成16年(2004年)1月27日

3.事案の概要

当該事案は平成15年(2003年)11月23日(日)から平成15年(2003年)11月24日(月・休)にかけて、市長及び本市幹部職員の10名が滋賀県方面の小旅行をした折、宿泊先である旅館での夕食後の午後9時から午後9時30分過ぎまでにおいて、市民文化部長と同行者Aの間に、旅館内と旅館前の公道での大声でのやり取りが行われ、その他の同行した幹部職員がとめに入り、また、旅館の亭主にたしなめられたことにより、おさまったという状況である。

その後、同行者Aはいったん旅館内の部屋に戻ったものの、午後10時過ぎに、突然帰ると言い、着替えの入ったかばんを置いたままで、同行した社会教育部長とともに、黙って部屋を出て行き、のってきた自分の車を運転し、午前3時頃までに帰阪した。

当時、その場にいた4名の同行幹部職員が「飲酒したので運転してはいけない。」等の注意をしたという証言がある。また、旅館の駐車場から同行者Aが自分の車を出そうとしたときに、隣にとまっていた別の同行者Bの車に接触し傷をつけてしまったが、そのまま走り去った。

4.処分理由

◎社会教育部長・・・同行者Aが飲酒したことを認知しながら、同乗した。また、その同行者Aが旅館の駐車場を出る時に起こした接触による物損事故の適切な対応を怠っている。

◎市民文化部長・・・事件の発端となった一方の当事者であり、本市と友好都市である今津町にある旅館にいた他の客をはじめ、旅館関係者に迷惑をかけた。本市の友好都市とのさまざまな事業を進める実質的な書簡である市民文化部長としての自覚を著しく欠いた行為であり、本市の信用を著しく失墜させた。

◎総務部長・・・職員の含むと人事管理を所管する部長として、常に含む起立の確保をもっとも率先垂範して行う立場であり、今回の事件の中でも他の同行職員よりも、より高度な行動規範を要求される職にある。

◎ほか5名が関与したが、人事上の措置として訓告とした。

5.処分が平成16年(2004年)1月27日に至った背景

平成16年(2004年)1月になって風聞が流れ始めたため、平成16年(2004年)1月15日(木)に調査委員会を発足した。同23日(金)に調査委員会から最終報告を受け、5名からなる吹田市職員等懲戒等審査会を設置し、慎重に審議した結果、平成16年(2004年)1月27日付けの処分に至った。

6.管理監督者の責任

市長、総務担当助役(荒起氏)、教育長については、市民に深くお詫びするとともに、自らの報酬を減額することとし、議会の手続きをお願いすることとした。

7.再発防止に向けた今後の対応

今回の事件に関し、服務規律の確保については、再三の注意を図ったが、今後は市長が先頭に立って、より一層市民の信頼回復に努めてまいる所存である。

いけぶち質問とそれに対する回答およびいけぶちコメント

<質問の前提として>

今議会議案である条例(案)について審議にあたってこの条例内容の根拠であり、発端となった事案についての調査、審査において、公正であると共に、人権が十分尊重されたかどうかが重要である。

<質問1>

今津町の事案について、議案参考資料によると、風聞が流れ始めたため、1月15日に調査委員会を発足した。とある。
1) どのような風聞であったのか?

2) これまで風聞によって調査委員会が開かれたことがあるのか?

3) あるとすれば、どのようなときか?ないとすれば、なぜ今回は開いたのか?

<回答1>

1)吹田市の幹部職員が旅行先で暴力行為、飲酒運転、自動車の物損事故を起こしたというもの。

2)これまで風聞による調査委員会開催の例はない。

3)たとえ、風聞といえども、職員に動揺を来たし、さらに、放置することで市民の皆様の信頼を著しく損なうことを考慮し、設置した。

<質問2>

職員等分限懲罰等審査会規則によると、審査会はみずから事情聴取できるが、場合によって職員に調査をさせることができるとなっている。
1) 今回、この規則に拠らない調査であったとすると、調査委員会の設置はどのような根拠で何に基づいてなされたのか?

2) 調査委員会のメンバーは誰で、それはどのような理由で誰が選んだのか?

3) これまで、市長部局の職員は人事課や所属課による予備の聞き取り調査を教育委員会の職員は教育総務課による予備の聞き取り調査を行ってきたと聞いている。
今回、調査委員会は一つだけ開かれているが、合同で行ったのか?そうであるなら、どのような手続きを行ったのか?
調査委員会設置について審議するための教育委員会会議は開かれたのか?もし開かれなかったとすれば、どのような理由であり、だれがどのような権限で合同調査することを決定したのか?

<回答2>

1)審査会の前の調査は事実関係の確認のために必要であり、これまでも実施してきた。今回の事案についてはより慎重かつ公正な事実の究明を図るため、2004年1月14日に起案発議し、1月15日の決裁により同日付で設置した。

2)委員長として荒起助役、副委員長として清野助役、委員として秘書・渉外担当の植良理事、職員の懲戒関係の事務担当の永冶職員長、井尻人事課長の5名。
だれが選んだかの答弁なし


3)教育委員会は開催されていないが、教育委員会事務局において教育長までの起案合議による合意を得て設置した。
教育長の事務分掌の一つとして、専決処分として行ったとのこと

<質問3>

15日以降調査委員会の開催日時及び内容は?
1) 関係者からの事情聴取は、一人当たりどれだけの時間をかけて、だれが行ったか? 一人当たりの最小と最大時間そして平均時間は?

2) 事情聴取の際に、事情聴取した内容はどのように扱われるかについて、被聴取者は説明を受け、十分承知した上で行われたのか?そのことを証明するものはあるか?

3) 事情聴取して作成された調書の内容について、被聴取者の確認は取ったのか?

<回答3>

1)事情聴取は永冶職員長、井尻人事課長、事務局職員2人。
1月15日から22日の間5日間で、9名の職員と旅館関係者から合計11回。
最短で33分、最長で51分、平均時間は41分。

2)事情聴取に際して、審査会が開かれた場合は、附議されることについて口頭で説明し、了解を得ている。

3)被聴取者から確認は取っていない。

<回答3へのコメント>

実際に聞き取り調査を行った事務局職員は人事課長代理と人事係長であり、教育委員会職員は入っていない。
また、1時間弱の聞き取りで十分調査できたといえるのか?

口頭での説明はあったが、審査会開催時には審査会で再び事情聴取されると思っていたとも聞いている。
もし、答えたこととは違うことが調書に載っていても、被聴取者は異議申し立てができない。弁明の機会(権利)が奪われている。

<質問4>

調査委員会の調査結果は?
1) 事情聴取あるいは現地調査において、関係者からの証言はすべて合致していたか?合致していない部分があったとすれば、それはどの部分か?

2) この場合、証言の矛盾、齟齬について、どのような再調査あるいは裏づけをとったのか?事実の認定、確認は誰がしたのか?

3) 審査会には、すべての調査結果、たとえば調査原票をつけて報告したのか?

<回答4>

1)個々の飲酒量や当時の発言内容などについて、合致していない部分もある。

2)合致していない部分の再調査はしていない。合致する部分についても、最低限特定できる事実として認定した。

3)最終的には、個々の事情聴取録も含めすべて報告した。

<回答4へのコメント>

合致する部分を最低限特定できる事実として認定したとのことであるが、議案参考資料(報告書の要約)を被聴取者は見ていない。確認も取らずに、事実として認定できないはず。被聴取者の人権を守るための最低の配慮ではないか?

<質問5>

報告は当然、起案処理され、調査委員会設置起案と報告起案が一対のものとなっているべきである。また、調査委員会委員が報告内容に間違いないとの確認が証明される必要がある。したがって、委員会設置及び報告の起案には、教育委員会が承認していることを示す合議の印及び調査委員すべての合議の印が必要と考えるが、どうなっているのか?

<回答5>

報告起案に教育委員会の合議印はない。設置起案と報告起案のいずれにも委員である植良理事の合議印はない。
印は無いので、不備であるとはいえるが、起案の決裁権者の印はあるので起案の効力はある。

<回答5へのコメント>

起案への捺印は起案内容を承認あるいは確認した証拠となる。印が無ければ、調査委員会の報告が委員総意で起案されたものかどうか確認できない。

<質問6>

審査会には教育委員会から教育長が委員として入っていると聞いているが、調査委員会には教育委員会からの委員は入っていない。早急な事実関係解明が必要であったとはいえ、審査会に教育長が入ることが可能であるなら、調査委員会に教育委員会からの委員が入ることが早急な事実関係解明の妨げになるとは考えられない。

<回答6>

調査委員会の設置についての教育委員会事務局合議により、調査について市長部局に委任したことになるので、教育委員会職員は入る必要は無い。

<回答6へのコメント>

調査報告書・資料の写しを教育委員会事務局に提出したと言っているが、調査委員会委員に教育委員会職員が入らず、しかも報告起案に教育委員会の合議印もないとすれば、市長部局(人事課)の独断専行で進めたとも言えなくもない。
教育委員会は市長部局の調査委員会に調査を委任したので、調査委員に教育委員会職員は入らなくてもよいとのことであるが、であれば、調査委員会の報告起案には報告を確認した旨の合議印が必要であるにもかかわらず、教育長の合議印がなく、調査委員会の報告は法的効力が無いといえる。

<質問7>

調査委員会の設置理由は、風聞により庁内の業務に混乱を来たし、放置すると市民の市に対する信頼を著しく損なうことを考慮して、とのことであった。
本来、市長部局職員を対象とする職員等分限懲戒等審査会規則があり、その6条において「審査会は、審査のため必要があると認めるときは、本人又は関係者の出席を求め事情を聴取することができる。必要に応じて職員に調査させ、報告を求めることができる。」となっている。
あらかじめ定められている規則がある以上、単なる起案設置でしかない調査委員会は、予備調査として飲酒運転の事実確認がとれ、審査会開催の必要性が認められた段階でその役割を終え、その後は、正式に審査会規則にのっとった事情聴取や審査会委員と重複しない職員に調査を命ずるべきであった。すでにある規則より、その時々の起案が優先されることはデュープロセスの点から認められない。

<意見・提案>

風聞からはじまった事案であるからこそ、公正で法的な手続きに基づいた、調査、審査が求められている。
したがって、早急な事実関係の解明とその対応が必要であったとはいえ、公正と被処分者への人権尊重を考えれば、今回の調査委員会については手続きの不備と権限の逸脱があったといわざるを得ない。
1)法的にも耐えうる、公正でかつ人権的配慮のある手続きによって、再調査することを求めます。

2)これまでの事例として、警察からの通報、本人からの申し出、市民からの投書などによって、人事課あるいは教育総務課で調査した上で、懲戒処分になる場合は分限懲罰等審査会が開かれ、訓告の場合、審査会は開かれないと聞いている。
訓告で終わるか懲戒処分になるかは、その対象となる職員にとっても行政としても非常に重要な問題であり、慎重にも慎重を重ねる必要があり、人権尊重の観点から法的にも耐えうる手続きによるべきであり、それを任意で行われた調査で決定していることは、2回目の質問でも述べたように、決定権者として法的根拠がなく、公正であるとは言えない。
したがって、任意調査の裁量の範囲は最小限の事実確認に限定されるべきであり、今後は、規則に基づく審査会によって調査を行い、訓告も含めた処分の審査決定を行うべきである。
調査員(人事課職員や教育総務課職員)による調査は、規則による審査会の調査よりも下位であるにもかかわらず、懲戒と訓告の決定権があるのは、おかしい。

<回答>

1)警察でもなく調査権もないなかでの事情聴取なので、十分な裏づけはとれなかったが、その中で証言によって特定できることだけを報告した。再調査する必要は無い。

2)質問の趣旨については、今後検討していきたい。