2006年3月議会 討論採決

第2号議案 国民保護協議会設置に関する条例
第3号議案 国民保護対策本部、緊急対処事態対策本部設置に関する条例

 対する意見

国民保護法で住民が避難や救援を必要とする場合としているのは、武力攻撃事態、武力攻撃予測事態、緊急対処事態の3つの場合です。
そして、国の定める「基本指針」によれば、武力攻撃事態とは、1.着上陸侵攻の場合、2.ゲリラや特殊部隊による攻撃の場合、3.弾道ミサイル攻撃の場合、4.航空攻撃の場合の4種類としています。

先日の本会議質疑では、国民保護計画の策定や協議会を設置しなければならないことは、法律で規定されており、規定されていない協議会の組織・運営について、今回、法律に基づき条例で定めようとしているとのことでした。
武力攻撃事態による災害や、大規模テロなどの緊急対処事態による災害を想定したときには、都道府県域を越えるような広域的で且つ長期間にわたる災害が想定されるため、国全体として万全の体制をとる必要があると考えられるとのことでもありました。
また、緊急事態への対応は、事態が発生してから考えるのではなく、平常時から緊急事態に備えて、事前に対応策を考えておくことは、危機管理上必要なことであると考えているとのことでした。

しかし、国の想定する武力攻撃事態のうち、1.着上陸侵攻と4航空攻撃については、防衛庁自身がその可能性は低下しているとしています。
また、消防庁国民保護室が昨年12月に出した、市町村国民保護も出る計画素案では「事態は政治における国の総合的な方針に基づき避難を行うことを基本として、平素からの避難を想定した具体的な対応については定めることをしない」とし、想定に基づく具体的対応は定めないとしています。
さらに、2ゲリラ攻撃や3.弾道ミサイル攻撃については、攻撃を想定したとしても、いつどこで起こるかわかりません。そのような予測のつかないことに対して、避難のしようも計画の立てようもありません。
つまり、武力攻撃事態の想定されている4つの類型の攻撃に対して、避難のための国民保護計画は意味がないと言えます。

次に、緊急対処事態に対しては、トップダウンで指示がくるのを待っていては住民を避難させることも救援も間に合いません。つまり、対策本部を設置し、国民保護計画によって対処するような性質のものではありません。
さらに、国立市でのシミュレーションや東京の避難計画についての自由法曹団東京支部の検討結果や美浜実働訓練の結果は、国民保護計画が住民保護に役立たないことを実証しています。..

すなわち、国民保護計画をたてる意味が私には見出せません。

以上の理由から、議案第2号、第3号について反対いたします。

第22号議案 平成18年度(2006年度)吹田市一般会計予算
 に対する意見

議案第22号平成18年度(2006年度)吹田市一般会計予算案について意見を述べます。
先に議案第2号および第3号については反対しましたが、賛成者多数で可決され、国民保護計画策定のための協議会、国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部が設置されることとなりました。

これらのことに関する予算について、意見を述べます。
計画策定および協議会については、先日の本会議質疑及び先の議案第2号、第3号への意見でも申し上げたところではありますが、この計画が実行されることが無いよう、国に対して平和外交を求めるとともに、非核平和都市宣言を行っている吹田市として常日頃から国際交流をさらに進めることをもとめるとともに、市民の生命等を守るために非戦のための無防備地域宣言を行うことを求めます。
また、計画策定にあたっては、市民の生命、身体と財産、人権を守ることを第一にするとともに、およそありえない戦争を前提とした国民保護計画よりも、必ず発生する自然災害・震災等に備えた防災計画の充実を図ることを求めます。
さらに、国民保護計画反対者あるいは訓練非協力者=テロ同調者であるというように、同じ市民を敵・味方に区分けするような風潮が生じないよう、また、いたずらに市民の不安と疑心暗鬼、を煽り立てないよう求めます。

以上の意見を述べ、翻案に賛成いたします。