Panel Discussion

   奇妙なパネル・ディスカッションが、あの世で開催されようとしていた。
  タイトルは、「この世をいかに上手に生きるか」。
  聴衆は、種々雑多。地球上で命を育んだ経験のある生物は、誰でも何でも参加が出来る。
  人間や動物、昆虫から微生物まで。不思議な事に植物も参加している。あの世では、植物も自由に
動き回る事が出来るのだ。
  チェアマンは、日本人だった。彼が、開催を宣言する。

  「今日の良き日。著名なパネラーの参画を仰ぎ、この様な盛大なパネルディスカッションを開催できる
ことは、喜びに堪えないことである。『この世をいかに上手に生きるか』。
  この世に生き続けなければならない我々一同にとり、命にも代えられない重要なテーマである」

  チェアマンは、何となく会場がざわめいているのに気付いたが、ディスカッションに移ることにした。
  しかし、どうもディスカッションの進行がスムーズにいかない。挙手をするのは、日本出身者だけ。
  他のパネラーは、真っ赤な顔をして、何やら訳の判らない事をわめいている。
  何と、時間が経つに連れ聴衆が席を離れだした。それだけではない。パネラーも不満そうな顔で会場
から去って行く。
  結局、このパネルディスカッションは、不成功であった。幾つかの原因が考えられた。
  まず、言葉が通じないのだ。これではディスカッションにならない。主催者のミスである。
  経費節減が頭から離れず、同時通訳を置かなかったのだ。これでは、討論は不可能だ。
  もう一つ重大なミスがあった。パネラーの選出である。この世には、住民台帳があるが、名前を確かめ
ずに参加を依頼しまったのだ。
  ここで、参加者の名前を確認してみよう。


           <パネラー名簿>
       
From Japan
          1: 織田 護謨長 (おだ ごむなが)
          2: 徳川 嫌康 (とくがわ いややす)
          3: 豊臣 禿吉 (とよとみ はげよし)
          4: 石田 言成 (いしだ いいなり)
          5: 伊井 加減乃上 (いい かげんのかみ)
          6: 浅野 嫌味乃上 (あさの いやみのかみ)
          7: 福沢 度吝 (ふくざわ どけち)
          8: 西郷 泡盛 (さいごう あわもり)
          9: 大久保 寄道 (おおくぼ よりみち)
         10: 伊達 鳩宗 (だて はとむね)


      
From Other Country
          1: チャラン・ポーラン
          2: メチア・クチア
          3: アラン・カギリー
          4: ウッソー・ダラケン
          5: ハラー・グーロー
          6: イヤン・バッカーン
          7: カーサン・デ・ベッソー
          8: ペチア・パーイ
          9: ミズ・ムーシー
         10: クシャン・ハクショーン
         11: クルク・ルパー
         12: キーチ・ガイ
         13: ソンナ・ヤメーテ

   な、何なんだ、これはッ!!!!!!!!