車で数十分のところに住んでいた昌克が大阪に転勤した。
 弘美は、電話は好きではなかった。掛けた時に昌克の不在を知るのが辛いのだ。
 いつもメールを使っていた。だから、昌克が大阪に行ったからといって、メールを
使えば今まで通り。弘美は、東京と大阪の距離など気にする事はなかった。

 そんなある日、弘美は、重大な危機に直面してしまった。弘美は途方に暮れた。
「どうしよう。私一人では解決できない。昌克の助けがいる」

 二人の心は、いつも一緒だ。昌克は、必ず来てくれるはず。弘美は切々とメールで
訴えた。

 昌克からメールが届いた。

「判った。明日は休みだ。安心してくれ。明日、君に会いに行く」

 弘美は、涙が出るほど嬉しかった。やはり、昌克は私の事を……。続きを読んだ。

「君は僕の心の支えだ。君がいない人生など考えられない。命を捧げても良いと思って
いる。いつも君の事を考えている。何でも言ってくれ。何処であろうが、僕は、飛んで
いく。たとえ地球の果てまでも。ところで、往復の新幹線代、もってくれる」