枯葉よ、君たちは良いな。きちんと土に戻る
ことができる。都会の枯葉は可哀想なんだよ。
“ あー、外は雨。土に戻れない枯葉たちよ。
重なり合ってコンクリートにへばり付くだけ。
乾けば、風の吹くまま、あっちへカサカサ、
こっちへコソコソ。気が付けば、粉々になり
空中へと舞いあがる。いくら捜しても土はない。
あー、都会の枯葉たちよ。土を求めて三千里”
三谷 弘
深夜だと言うのに、部屋中の灯りを煌々と燈す家。
我が家のベランダの前方に建つその家は、夜になる
と壁全体から灯りが透けるかのごとくボーッと淡く
光っている。まるで、卵の殻でできているようだ。
家族は、眠らないのだろうか。耳を凝らしてみた。
ほんの微かだが物音がする。不気味な家である。
昼夜を問わず何かを遣っているのだろうか。
お陰で、こちらは寝不足になっている。
いずれにしても、これは、明らかに光公害である。
翌日、意を決して乗り込んだ。目を真っ赤にし頭に
鉢巻をした男が出てきた。
「納期が迫ってまして夜も仕事をしています。内装
ですので騒音は出してないつもりですが……」