あなたはどういうタイプのバイク乗りですかと、よく聞かれます。

 ツーリングの魔力にひきつけられた、族に言う「ツアラー」と言うジャンルのバイク乗りであると答えます。

 バイクを乗り始めて12年。知らず知らずのうちに干支が一周してしまいました。

 この質問も何度されたか覚えていないくらいです。

 その間色々な二輪に乗りました。勿論、エンジンつきではないものも含まれますが。

 しのはらの場合、一度長旅を供にした二輪車はとても特別な存在になります。

 苦楽を供にしたとは言え所詮道具ですが、それを越えた何かが自分の中に芽生えるのです。

 あの峠であいつは2回もパンクしただとか、走行中にあいつはウェイトローラーがつぶれただとか。

 その時々の印象的な場面は、色あせることなくずーっと自分の記憶の中に残り。

 時々思い出したり、夢に出てきたりして自分を楽しませてくれるのです。

 旅を供にした二輪もついに5台目を迎えました。

 手放す理由は色々あるのですが、手放す時の心境と言えばやはり寂しいの一言に尽きます。

 いつも旅に出るときはそいつと一緒で、自分の走行中の世界観はそいつと自分だけのもので。

 その単一的な世界の中でのみ自分の生きがいを掌握できて昇華できる唯一の空間なのです。

 自分の生きている感覚が、最も鋭くなる、とでも言うのでしょうか。

 仕事している時よりも人と遊んでいる時よりも体を動かしてストレス発散している時よりも。

 「自分は今ここに生きている」実感が湧く感じでしょうか。

 興味のない方は別に理解しようなんて思わないで下さいね。

 所詮アホのたわごとです(^^; ハハハ。

 

 

 

 

 ちなみに。

 最初は免許がありませんでしたので自転車でした。

 こいつは長く乗りすぎたせいか。

 ペダルの部分のベアリングボールが磨耗しすぎて抜けなくなり、フレームは元気なのに廃車になりました。

 

 1台目のバイクは、ホンダの「VOCAL」というスクーターでした。

 当時流行っていた2ストロークエンジンなどにわき目も振らず、4ストロークエンジンでした。

 こいつはよく走りました。さすが「カブ(バイクの名前です)」のエンジンだけありまして。

 鬼のような燃費を誇ってくれました。

 ヒーヒーいいながら静狩峠を一生懸命登っていく勇士は感動モノでした。

 しかし、クランクベアリングにガタが来た上に絶版品で部品が無く。

 動かなくなるまで乗ってくれると言う友人がいたので、譲渡いたしました。

 

 2台目のバイクは、YAMAHAの「RZ−125S」と言う2ストロークエンジンのバイクでした。

 もらった時はエンジンが掛からない状態で青森からドナドナされて来た物です。

 それを必至こいてレストアして気合で乗れるように仕上げました。

 就職した年の5月に函館ツーリングに行ったんですが。

 函館でパンク、帰りの静狩峠でオイル切れなどのさまざまなアクシデントを起こしてくれるヤツでした。

 しかし流石に「RZ」の名前を継ぐだけあって、最初の3速くらいまではスープラ(クルマの名前)とハリました。

 しかしこのバイクも絶版品で、フロントフォークが1本6万円と言う驚愕の値段のため。

 維持できなくなり知り合いに譲渡となりました。

 

 3台目のバイクはカワサキの「KSR−U」でした。

 80ccのエンジンながら驚愕のパワーウェイトレシオを誇るコンパクトバイクでした。

 しかしあまりにもコンパクトすぎるのと中型免許を取得したため、4台目の下取りに出しました。

 小さすぎて、何も積めないのです。こういう使い方をするバイクでないのは重々承知してますが。

 

 4台目は、ホンダの「’90 CBR−250RR」でした。

 初めて乗るフルカウル・レーサーレプリカは、驚愕の戦闘力を誇りました。

 胴長短足のしのはらでも足がべったりと地面につく上に膝が曲がる低重心車両です。

 このバイクは、初心者でも練習すればすぐに膝擦りが出来る面白いバイクでした。

 車体も140kg台ととても軽量で、いまでは高価な、フレームの殆どがアルミ製という。

 ある意味バブリーなバイクです。 

 こいつは、乗ってくれる友人に安く譲りました。

 高く下取ってもらうよりも、確実に乗ってくれる人に譲った方がバイクも喜ぶと言うものです。

 

 

 

 

 

 これらの相棒を自分の目の前で手放す時。

 毎回、軽い絶望感と言うか喪失感というか、何やら表しにくい感情が芽生えます。

 決して、自分の手元から離したくないと言うわけではないのです。

 生きている感覚を与えてくれた相棒が、次の持ち主にも感動を与えられるのか。

 

 

 思い出が走馬灯のようによぎる中、バイクに対する感謝とそんな心配が頭を支配するのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけですが。

 

 5台目が、現在所有している「’96 RF−400RV」です。

 初めて車検付きのバイクを所有しました。

 「ZZ−R400」とどちらを買おうか悩んだのですが、デザインが好みであるこちらを選びました。

 このバイクは流石400cc最強のツアラーなだけあって、すばらしくデカく、重いです。

 たかだか400ccのエンジンのクセに200kgオーバーはいささか重い。

 低速時の取り回しが結構大変ですが、乗り出してしまえば200kgを感じさせない軽快な乗り味です。

 スコスコ倒れます。CBR程ではありませんが。

 これからは、当分こいつが相棒となります。

 初めてです。ここまで乗ったフィーリングが自分にぴったりなバイクは。

 

 

−おしまい−