60. 笑い

笑い

笑いはとても変容をもたらす力ですから、ほかにはなにも要りません。もし自分の悲しみを祝祭に変えたら、あなたは自分の死を復活に変容することもできるでしょう。

 

私は中国の三人の神秘家たちのことを聞いたことがある。誰も彼らの名前を知らない。彼らは『三人の笑う聖者たち』としてのみ知られている。彼らはほかにはなにもしたことがなかったからだ..彼らはただ笑った。彼らは町から町へとよく移動して、市場に立って腹の底からすばらしく笑ったものだ。
 この三人の人びとはほんとうにすばらしかった。笑うと、彼らの腹は波打った。それは伝染病になった..市場全体が笑ったものだ……。少しの間、新しい世界が開いた。
 彼らは、人びとが笑うのをただ助けながら、中国中を移動した。悲しい人びと、怒っている人びと、欲の深い人びと、嫉妬深い人びと、彼らはみな、彼らといっしょに笑い出した。そして多くの人びとがその鍵を感じ取った..人は変容することができるのだ。
 そのうちに、ある村で、三人のなかのひとりが死ぬという事態が起こった。村人は言った。「さあ、面倒なことになるぞ。彼らの友だちが死んだんだ..彼らは泣かなければならない」。だが、二人は踊り、笑い、死を祝っていた。  村の人びとは言った。「もう、これはあんまりだ。これは礼儀にかなっていない。人が死んだときに笑って踊るのは、神聖を汚すことだ」
 彼らは言った。「お前たちはなにが起こったのか知らないのだ! 私たち三人はみな、いつも考えていた。こいつが勝った。私たちは負けたのだ。一生涯、私たちは彼といっしょに笑ってきた。どうして私たちが、ほかのことをして彼の最後の門出を見送ることができるだろう? 私たちは笑わなければならない。私たちは楽しまなければならない。私たちは祝わなければならない。
 これが、自分の全生涯を笑った人間への唯一可能な別れだ。そして、もし私たちが笑わなかったら、彼は私たちのことを笑って、こう考えるだろう。『ばかだな! それで、お前たちはまたしてもわなに堕ちたのか?』。私たちは彼が死んでいるとは見ない。どうして笑いが死にえよう? どうして生が死にえよう?」
 そして、身体が焼かれることになって、村の人びとは言った。「儀式の規定どおり、私たちは彼を入浴させよう」。だが、このふたりの友人は言った。「いや、私たちの友人はこう言った。『どんな儀式も行わないでほしい。それに、私の服は変えないでもらいたい。私を風呂に入れないでほしい。あるがままの私を、燃えている薪の上にただ乗せてほしい』。だから私たちは彼の指図に従わなければならない」
 それから、突然、偉大な出来事が起こった。身体が火の上に置かれたとき、その老人は最後のトリックを仕掛けておいたのだ。彼は自分の服の下にたくさんの花火を隠していた。そして突然、"ディワリ"になった! すると、村全体が笑い始めた。この狂ったふたりの友人たちは踊っていた。それは新しい生、復活だった。あらゆる死が新しい扉を開く。
 もしあなたが自分の悲しみを祝祭に変えたら、そのときには、あなたは自分の死を復活に変えることもできる。だから、まだ時間があるうちに、そのアートを学ぶがいい。
YOGA : THE ALPHA AND THE OMEGA, Vol.4, pp.252-254


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