偉大なスーフィー神秘家、ファリッドの生涯で、ある王が彼に会いに来たと伝えられている。王は彼に贈り物をもってきた――非常に高価で、めったにない、どこかユニークなところのあるすばらしい一丁のはさみ。彼はこのはさみをファリッドに贈るためにもってきた。彼はファリッドの足に触れて、はさみを差し出した。
ファリッドは受け取り、それを見て、王に返して言った。「殿下、おもちくださった贈り物、ほんとうにありがとうございます。すばらしいものですが、私にはまったくなんの役にも立ちません。針がいただければ、その方が私にはよいでしょう。私ははさみはいりません、針でよいのです」
王は言った。「私にはわからない。針が必要なら、はさみもいるであろう」。ファリッドは言った。「私にははさみはいりません。はさみはものを切り分けるからです。針なら私には必要です。針はものをひとつにまとめるからです。私は愛を教えます。私の教え全体は愛に基づいています――ものごとをひとつにまとめながら、人びとにコミュニオンを教えています。人びとをまとめられるように、私には針が必要なのです。はさみは役に立ちません。それは切ります、外します。この次にいらっしゃるときは、普通の針で充分です」
Osho UNIO MYSTICA, Vol.2, pp217-218