踏切越えて


こんな雨の季節には
なおさらこの線路が嫌いで
いつもここへたどり着くころ
電車が来るような気がしてた

スープの冷めない距離は
遮断機のせいで台無し
旗振る駅員 待ち人の影
すべてがそこだけ
止まって映った

開け 開け 開け
一秒でも早く
踏切越えて 会いに行こう

そんな夏の夕暮れに馳せた想いさえ
まるで昨日のことみたいで

あのころ一人きりで
たってた同じ場所に
こうして二人 並んでるけど
言葉も無いまま別の傘

本当に大事なことは
いつも口に出せず
冗談まじりを重ねた日々
お互い最後まで言えず 淋しいと

ずっと ずっと このまま
開かないでいて
踏切開けば それがさよなら

もっと傷つけあえたなら
終わらずにいられたの
こんなになっても
泣けないなんて

今 最後の列車がゆく
今 どんどん別れに近づいて行く
開け 開け 開け
一秒でも早く
踏切越えて 会いに行こう

そんな夏の日を
ふたりの何もかもを
明日から思い出になんてできない