NWN奮闘記
2004年10月〜12月
●10月2日
HotU付属シナリオ終了。
いや、今回の付属シナリオはすごい。ストーリーもエピックな感じ出てて面白いしメリハリもなかなか。カットシーンもがんがん使われてて、普通に製品として成り立ちそうなくらい。モンスターの出現もいちいちエフェクトを伴っていたりして、こんなの作りたいな〜って製作意欲もかきたてられました。
この付属シナリオ遊ぶためだけにHotU買っても損した気分にはならないと僕は思います。
●10月18日
固定メンバーでDMセッションなどをしていると、僕の場合、ロールプレイに寄りすぎるというか、濃くなりすぎるというか、深く掘り下げすぎるというか、そういうのがあります。
NWNじゃないけど、別の場所で似たようなことをしていたときもそうだったんだけど、もともとがゲームであるということを忘れて脚本だのシナリオだの本でも書いてるのかって感じにまでなっていってしまいます。
もちろん、ロールプレイする楽しみというのはあるし、それが出来るのがNWNなのですがゲームであるということを忘れてしまってはいけない、と最近感じています。
ゲームとして楽しい、というのが基礎にあって、その上でロールプレイが楽しめるのが一つの理想の形かなあ、と。
「まずロールプレイありき」というスタイルを否定するわけではないのですが、毎回メンバーがそういったテンションや気分でいるとは限らないし、全員が同じスタンスを共有してるとも限りません。また、それを共有させようとするのもどこか違う気がします。
で、PCゲームである以上、やはり舞台やイベントではエフェクトなどで表現したほうがいいと思うし、それで説明しきれない時や再現できない状態のときに言葉で補足するのがいいなあ、とHotUシナリオなどをやってみて思ったわけです。
ま、つまりバランスが大切だよねって事なんですが(笑)
●11月8日
あくまで私、ぎぶの場合なのですが。
シナリオを考える時の手法というのはTRPGでもNWNでも同じで(同じように考えられるのが素晴らしいなあと思うのですが)いくつかのパターンがあるのですがその一つについて。といっても完全に同じではないという話なのですが。
何かシナリオを作るときに、そのゲームのモンスターデータを眺める…というのがあります。
で、なにかおもしろい能力を持っていたり強さ的にちょうど良かったりなど、いろいろの理由で「こいつとPCを戦わせたいなぁ…」って思うことがあります。
例えば、シッポに毒のあるモンスターなどがいて、そいつの毒を食らって1ターン放置すると即死するような(昔のAD&Dみたいな(笑))毒をもったモンスターがいた場合、そいつとの戦いはすごくスリルがあるものになって楽しいだろうな…とか考えるわけです。
いきなりそんなのを出しても衝撃的でいいのですが、PCのほうが能力的には圧倒的に強いとかいう場合以外は酷すぎると思うので(笑)そういうのが出るかもよ…というのを匂わせておく必要があります。
また、そいつの生息地が主に洞窟だった場合には、舞台は洞窟だと決められますし、ならどうしてその洞窟に行かなきゃならないのかという理由をつけて…さらに、毒消しを入手できる機会を与えておくための場面を用意する、などなど、「○○とPCを戦わせたい」というきっかけだけでシナリオが出来上がって行けます。
結果、「愛と復讐の壮大な叙事詩シナリオ」が完成したとしても、DMの目的は「○○とPCを戦わせたい」だけだったりもするんですね(笑)
セッション終了後にプレイヤーから「今回のシナリオは愛がテーマだね!感動したよ!」とか、もし褒めてもらえた時は甘んじてそれを受けますが(笑)
話がそれました。
で、上記の例でのTRPGの場合。
おそらくその毒モンスターとの戦闘時の盛り上がりポイントは「敵の攻撃ターンに、シッポ攻撃が出てくるかどうか」「シッポ攻撃が来た場合、それを回避できるかどうか」「シッポ攻撃がヒットしてしまった場合の毒抵抗ロール」「毒を受けてしまったPCを制限時間内に治療できるかどうか」といったあたりだと思います。
TRPGは、このそれぞれのポイントで、プレイヤーはやいのやいのと騒いでくれると思います。
しかしNWNの場合。
リアルタイム的に処理されてしまうので、上記ポイントのほとんど全てが瞬間で処理されてしまい、もしプレイヤーがすごく注意深くロール結果をチェックしてても、あくまで個人的に「うおー、いま危なかったっぽい」とか思うに留まってしまって、プレイヤー同士で「抵抗ロールがんばれー」「頼む、成功してくれー」みたいな一体感を感じられず、ちょっとその面白さとか熱さというが減ってしまうと思うんですね。(「制限時間内に治療できるかどうか」あたりはNWNでもアツイと思います)
でもNWNのほうが優れた部分というのもあります。
それは地形や距離感を生かして配置された敵との戦闘です。
これはグラフィックがある分、圧倒的に優れていると思います。ヘックスを使ったTRPGでは想像力に頼る部分が視覚的に説明できるというのはとてもいいですよね。
なので他のMODなどをプレイしていて、「あ、この配置おもしろい」とか思うものは覚えておいて、がんがんパクるのも手ですね。
●11月16日
あくまで私、ぎぶの場合なのですが。
今回もシナリオ作りに関する話です。
メインページのほうを見てもらうとわかるんですが、僕はアニメ、本、ゲーム、映画などが大好きです。こういうものを見たり遊んだりして、その登場人物や情景についてあれこれ考えたり想像してみたりするのが好きなんです。
で、シナリオ作りのために見るという事は基本的になくて、見ている間にも「ああ、これシナリオで使えるな」とか考えている事はまずありません。また、見終わった後にそういう事を考える事もありません。
ですが実際に、「さあシナリオ作るぞ」となった時、過去に見たものがすごく活きてくることがよくありますね。もやもや〜っと思い出されてくるんです。
あの場面は感動したなあ…
あの場面はかっこよかったなあ…
あのキャラはすごく良かったなあ…
という具合です。だけど多くの場合、それをそのまま再現するのは難しいですね。特に流行りものや有名なものはパクったのがすぐばれちゃいますし(笑)
そういう時に、いろいろ考えてあった事も浮かんでくるんです。そして、再現したいシーンやキャラのキモになる部分を抜き出して単純に構造化してみて、それにシナリオにあった形に状況や物を配置してみる…
そうして出来たものを、さらにもう一度見直して整合性を取っていくと、自分の再現したいものを残しつつすぐにパクりとばれないシナリオの根幹が出来たりします。
考えている間に、違うものになってるときもよくあるけど、それはそれでOK(笑)
DM(GM)の楽しみの一つに、「主張する」というのがあると僕は思います。
自分の好きなもの、良いと思うものを示して見せて、それに対してプレイヤーが良い感情を抱いてくれるとやはりうれしいものです。自分の伝えたいことをわかってもらううれしさと言いましょうか。
そしてこれは、DMの特権とも言えますね。プレイヤーも、プレイすることで主張する事はできますが、DMほどには表現できないことが多いでしょう。
ひとりよがりになり過ぎてします危険性もあるんですが、大抵DMってPCの動きとかセリフには注意を払ってないと進行できないので、響きあう必要があり、自然と回避あるいは緩和されていると思います。
いろいろなシナリオや小道具を考えたり、アドリブで上手い展開をぱっと思いついたりするには、やはりDM自身がある程度、そういうタネみたいなもんをストックしている必要があると思います。
なんかシナリオ製作講座みたいなことを語ってしまいましたが、DMの楽しさの一つを知ってもらって一人でもDMセッションに興味を持ってくれるといいなぁって気持ちです。好きなものって、誰でも一つはあると思うのでそれを使ってシナリオ作りに挑戦してみるのはどうでしょうか。
●11月24日
NWNは音楽も追加できるんですが、ちょっと手順が面倒なんですよね。モジュール入れるみたいに簡単にフォルダ入れるだけとか簡単に出来たらいいんですが…。
音楽ってのは、すごく世界観を出してると思うんです。実際NWNの音楽、特に僕は酒場の音楽が好きですが、いかにも洋モノって感じで、日本のゲームではこの音楽はないなぁってうれしくなったりします。
ファンタジーって、日本だともっとファンシーというかほかほかした感じの音楽が多い気がするんですが、洋モノってもっとダークな雰囲気が強いと感じます。NWNも、明るい音楽よりもちょっと怖い音楽が多いですよね。
で、音楽で一つ、よく困っている事がありまして、それは「悲しい音楽がない」って事です。
もしかしたら感性の違いなだけかもしれないんですが、こう、ぐっと来るような悲しくなる曲がNWNにない。
そのうち、音楽ファイル導入もやってみようかな…
●11月30日
認識の違いというのはどこにもあるものですが、ゲームでは特に(作る側が)注意しないといけない事ですね。
DMってのはストーリーもNPCも(場合によっては世界そのものも)作っている人間なので、それらに関する知識は自分の中で筋道立ってるし理解もしてます。
で、それをPCに伝える時、わかりやすく筋道立ててNPCが説明してばかりだとPCが想像したり考える余地がなくなってつまんないですよね。だから、わざと嘘流したりぼかしたり断片的に情報出したりしていくわけですが、そこできちんと伝えられるかってのが実はものすごく難しい。
これは愚痴ってるわけでも文句言ってるわけでもありませんが、PCとDMでは覚えている情報に違いがあって、DM的にはすごく重要な事を言っておいたつもりでもPCが覚えてなかったり、逆にDMが罠として流したどうでもいい情報にPCがすごく期待していてしまったりという事がよく起こります。まあ、これは仕方ないことなんですがね。
気をつけなきゃいけないのは、ある一つの(ゲーム内)事実に辿り付ける情報というのは、一つじゃ駄目って事だと最近思います。もしその事実にどうしても気が付いて欲しかったら、少ししつこいくらいに情報を与えていけるようにしておかないと駄目ですね。クイズ番組で、答えにたどり着くまでにヒントが段階を追ってどんどん出てくるやつありますが、あんな感じで段階毎に答えに近づけるようなヒントを出して行って、もし最後まで気が付かなかったら答えを言えちゃうくらいの流れを考えておいたほうが無難です。
早い段階でPCが気が付いた(答えに辿りついた)のなら、それはそれでいいわけですし、PC側も自分の読みが合ってた時はうれしいと思います。早く答えにたどり着いてくれたら、あとの段階はなくしちゃってもいいし。
最近は(そういう事を思いつつも)すごく丁寧にプロットを立てる時間がないので(言い訳だけど…)すが、そのうち少し時間できたら丁寧に作り込んでみるのも楽しいかも。
●12月2日
ついに今年も最後の月になりました。NWNで二度目の年越しかと思うと、早いなあって思います。
MQ2 ドワーフキャンペーンはついにクライマックスに向かって進行中。今年中に最終章まで行くつもりでいます。
で、最後にずっとやってなかったダンジョンの連続ってのをやってみたくなって、作り始めたらいろいろと思いついて楽しく作れたのですが実際のプレイでは…バランスをミスってPCを何度も死なせてしまいました…。
ここのところ、ギリギリ厳しくスリルはあるけど勝てるっていうバランスを上手くやれてるような気がして慢心してたせいですね…。クリーチャーの能力はきちんと確認してPCキャラの分身を作り模擬戦させるというのを最初のころはやってたんですが慣れてきてずっとやってなかったですから…。
TRPGだと、もう遭遇して戦闘始まってしまってからでも、敵を個体レベルで強さ調整できますがNWNではもう遭遇してしまったら調整できなくて、あれよあれよという間にPCが死んでいくのを見てるしかない…。
敵を消すことはできるし、動きを止めることは出来るけど、戦闘中に突然敵が消えてしまうのも不自然だし敵が右往左往し始めるのも変。DMが助けてくれてるのはすぐにわかるし、それはゲームとしてあまり良くないと僕は思うんですよね…。
だから、ああやっちゃった…と思いつつも傍観するしかできないんですね。
今回、あまり使ってなかったアンデットを多用したせいもあるので経験不足なのもあったんですが…。まだまだNWN完全にコントロールできるわけではないって事ですね。だからおもしろいんですが、今回のような事はPCにとってもDMにとってもショックだし疲れる事なので気をつけないと…。
●12月22日
半年以上にもなった長期キャンペーン、ドワーフクエストが終了しました。
今回はネタバレ的な事を書くので参加プレイヤー以外の方は読んでもわかんないかもしれませんが…よかったらリプレイ読んでください(笑)
もともとは7回の予定だったキャンペーンが長くなったのは、まず登場NPCがたくさんいることでしょうね。重要な役割や情報を持っていて、それなりにPCと関わりあう必要があるNPCが多かったためにエリアはそれほど移動しないのに時間がかかることが多かったということでしょう。
当初、このキャンペーンを始めるにあたって僕が考えていた事は…
・ドワーフだけのキャンペーンをしてみたい。
・せっかくなので、北方ドワーフ都市を巡るような話にしたい。またその都市に関わる有名NPCなども出したい。
・テーマは「家族」で、親子、兄弟、親類の関係など。ドワーフは血縁を重んじる所があるので。
程度でした。
結果、ドワーフ都市は巡ってもらえたし、有名NPCも登場させられました。
テーマであった「家族」に関しては、そのようなイベントがかなりあったんですが、終わってみれば「青春ストーリー」だったというのがキャンペーン参加者の印象だったようです。家族との関係やそこからの自立ってのは、確かに青春ストーリーの王道ですね…。
キャンペーンを進めていくうちに、キャラクターの内面や悩みといったものをプレイヤーが表現しはじめた事から、僕もそういうのは嫌いじゃないのでNPCを使って突き始めたらおもしろくなって、どんどん長くなっていったというのもあります。
なので序盤以降、登場したNPCは何かしらPCの内面的な部分に触るものを持っていたと思います。そのため、世間知らずのPC一行が、初めての本格的な旅の中でいろいろな人と出会うというロードムービーみたいな部分もありました。
ですがおかげさまで、僕もいろいろなNPCを作って動かす事ができて楽しかったです。
NPCといえば、PC側にすれば謎の多い人物はミョルニルとギルフォスという二人のドワーフでしょう。それ以外のNPCは結構、1回のセッションでのやりとりでどんな人なのかわかりやすい性格だったと思います。これは、PCがどこかを拠点に活動するキャンペーンではなく、通り過ぎていく旅人だったことから、あまり後に気になるような人物にしちゃうと後ろ髪引かれるかなあという心配があった事と、それぞれの出会いで何か一つずつでも答えを出して進んで欲しかったからです。まあ、意味深なセリフは吐いてましたがね(笑)
ミョルニルに関しては、当初、全ての黒幕であるという設定があって、全7回の予定もあったことから最初から悪役っぽい雰囲気を出していました。最終回まで、ミョルニルはどういう人物なのかわからなかったのはそのせいもあると思います。ですがこの設定は、かなり早い段階で僕の中でなくなってしまいました。確か、第1回終了時点でもう考えてなかったと思います。ミョルニルが黒幕なんじゃないかとPCに疑わせるように仕向けて、実は意外な人物が黒幕っていうのを狙ったんですね。で、かわりに悪役になれるキャラクターというのを考えてはじめていました。
ところが、かわりの悪役を考えている間に、PCたちの精神的成長という部分に興味が移ってしまい、全体における陰謀というものの存在を出すイベントを抜かして進めるようになっていたわけです(汗)
ギルフォスは、ある意味平穏に進んできた旅に一石を投じるために作った悪役でした。基本コンセプトは、PCの影であり鏡に映った姿であるという事。そのための背景を作っていくうちに、なんか好きになっていってしまって、やはりある意味で悪になりきれないキャラになってしまいました(笑)
自分の目的があって、あくどい事もたくさんしているけど、自分の流儀みたいのをしっかり持っているというキャラ。
ですがこれは、それまで目的がはっきりしなかった主人公以外のPCたちに対するスタンスを与えてくれました。
最後、ギルフォスとの対決の時、PCが戦えなかったのは、それはそれでよかったなと思ってます。PCたちはまだ、ギルフォスと対等に向き合えるほどのものを持っていなかったのが現れた形になったと思います。
終了してみて、当初考えていたものとはいろいろと違った形になったり、違った決着の付き方をしたりしましたが、今回は本当にTRPG的な、ロールプレイングの楽しみというのを再発見することができました。
DMとして進行してきた自分が全てを思うようにやった結果ではなく、参加したプレイヤー全員とのやりとりの中で生まれた一つの物語、一つの旅が、本当にそこにあったんだと思えることができます。
DMというのは物語や判定をコントロールする役割なので、プレイヤーとは違う隔絶した存在、リーダー的な立場であるという認識もあるでしょうし、また、意識はしていなくてもそんな雰囲気になってしまうものです。ですが今回DMもセッションに参加している一員なんだという当たり前の事を、身に染みて感じました。
ま、反省点はいろいろとあるんですがね…(笑)
ともかく、MQキャンペーン2 ドワーフクエストは今回で終了し、この集まりも今年最後になりました。
なのでまあ、まとめ的な事ももうちょい書いてみますかね。
NWNのバージョンの問題とか翻訳の問題とか、いろいろありますね。これらはちゃんと対応されるべきものだと思いますが、でもNWNの根本的な楽しみ方の一つはどうなっても損なわれないと思えます。MMOみたいに置いてきぼりなんて事もないし、しばらく休んでいても復活してきてすぐ一緒に遊べるゲームですよね。シングルだったら、MODやり尽くした段階で飽きてしまうものだと思います。マルチなら、一緒に遊んでくれる仲間さえいてくれれば、いつでも一緒に楽しめる、素晴らしいゲームだと思います。メンバー集めとか、ちゃんと集合する時間が取れるかとかは、結局、TRPGと変わんないんですけどね(笑)
来年も、MQは今までどおり活動しますので、みなさん宜しくお願いします。