「少佐、桜見に行かねぇか?」
と、唐突に言われた、色んな疑問や考えが頭を巡って何も言い出せない自分に「何かあんのか?」と聞いてくる「何も」と答えるとそれじゃあと言って腕を捕まれ気づいた時には車に乗せられていた、あっけに取られながらも

「で?」
「ん?」
「何でまた桜なの?」

相手は少し考えて季節だしなと言って笑った、しばらくしてここが目的地なのであろう場所に止まり少し歩くと言って車を降りる
 
「まだなの?」
かれこれ15分は歩いている、相手はもう少しだの一点張り引き返す訳にも行かずただ黙々と歩いた、と、急に視界が開けた、眩しさに目を細める自分に向かって

「どうだ、良いだろう?」

と声が掛けられる、見れば視界一杯の桜だった、思わず見とれていると

「気に入ったみたいだな」

と少し笑いを含んだ声が聞こえた

「良く見つけたわね」

そう言うと

「見つけたんじゃねぇ、作ったんだ」

少し照れたように答えが返ってきた

「貴方が?」

驚きを隠せない声で返すと、頭を掻きながら数年前から世話をしている事、今年やっと見れるまでに花が付いた事などを話し始める、それを聞きがらある疑問が浮かんできた素直に聞いてみる

「何故連れて来たの?秘密の場所でしょう?」

すると

「少しは、気が紛れたか?ここんとこ仕事ばかりで満足に息抜きも出来なかったろう」

何処か心配すように答えが返って来る

「それだけの為に?」
「そうだ」

それからしばらくの間、何も言わずにただ桜を眺めていた、彼がそろそろ帰るかと言うまでずっと
 
帰りの車の中もう一度聞いてみる、何故連れて来たのと

「一つはさっき言ったとおりだ」
「一つは?」
「そうだ、もう一つは・・・」
「もう一つは?」
「お前に見せたかったからだ」
「私に?」
「そうだ」

そう言ったまま黙りこくってしまった、しばらく黙っていたが

「ねえ、バトー」
「何だ?」
「また、連れて来てくれる?」
「一人で来れるだろう?」
「貴方と一緒が良いのよ、駄目かしら?」
「・・・ああ、いつでもいいぜ」
「ありがとう」

窓の外を見ながら心の中でもう一度つぶやく“ありがとう”と。

チビネコさん宅のBLOGの「桃の節句」に触発されて書いたもの、気に入って頂けたようです(^^)