気分だけでも
夏だ、そして非番だ、こんな昼下がりにはクーラーの効いたセーフ・ハウスでビールを飲んで過ごす、ささやかながら最高の贅沢を満喫する・・・筈だった
「・・・暑い」
「うるせーな」
ミン・ミン・ミン・ミン・ミン・ミン
「何で、エアコン壊れてるのよ、ソレよりもまず、何であんな年代モノ買ったのよ!!」
いきなり起き上がって仁王立ちになり横になっている俺を見ながら先ほどからウンともスンとも言わないクーラーを指差して怒鳴りつける。
「あのなぁ、そのクーラーを直すまで待てって言ったのに、こうした方が早いつってバシ・バシ叩いた挙句、癇癪起こして蹴り砕いたのは何処の誰だよ!」
暑さも手伝って怒りながら立ち上がり、顔が少佐の顔にくっ付かんばかりに近づいて怒鳴り返す。
ミン・ミン・ミン・ミン・ミン・ミン・ジーーー
そのまま数秒間にらみ合っていたが、二人ほぼ同時に床に倒れこみ
「「暑い」」
同時に同じ事をつぶやく
「ビールは?」
「まだ冷えてねぇーよ」
「・・・・」
「・・・しょーがねー」
俺はムクリと起き上がると、奥の部屋へ引っ込みそして、桐の箱を持ってきた
「?」
「コレだよ、コレ」
そう言って箱を開け中を見せる
「お!折れてないな」
「で、何なのコレ?」
「知らねぇのか?風鈴だよ、ふ・う・り・ん」
「コレが?ただの炭じゃない」
「本当に知らねぇんだな、これは備長炭つってな鉄みてーに硬いんだ、ま、百聞は一見にしかず、吊るしてみるか」
開け放った窓辺に風鈴を吊るすと、丁度いいタイミングで風が通り抜けた
キン・カン・カロン
「普通の風鈴とは音色が違うのね」
「まあな、モノがモノだけに響かせるのはチト無理だが、コレはこの音が最高なんだよ」
「ふ〜ん、でもいい感じ」
「だろ?」
カロン・コン・カラン
暑さを紛らわす程ではないが、風鈴を鳴らすには十分な風が間隔を置いて吹いてくる
ま、たまには風情だけで涼しさを感じるのも悪くない。
昼下がり、風鈴の音に、涼もとむ
夏は夏なりの楽しみ方があります、頑張って乗り切りましょう!!