「欲しいモノ」
次に赴いたのは小さな建物の中に輪投げ・的撃ち・玉入れ等のミニゲームが多数入っている通称「ゲーム・ハウス」にやってきた、条件をクリアすれば景品がもらえるシステムで大人は勿論だがどちらかと言えば子供の方が多い
「ココは、私達には簡単すぎるわね、制御システムで全部取れるわ」
そう言って全体を見渡して、行きましょうと外に出ようとする、ったく、もうちっと素直になれねーモンかな、俺は見逃さなかった、全体を見渡した時にホンの一瞬だが少佐の頭が止まった、それは一番奥に置かれている射的の特賞である大きなクマのヌイグルミ
「意地っ張りめ」
俺はそう言うと、射的の係員に一回分の料金を払い
銃とコルクの弾を五発持って“目標”の前に立った
「何やってんの?」
「制御システムで何とかなるって言ったな?だがコイツは難しいぜ、ナーニすぐ落としてやる」
「誰も取って欲しいとは言ってないわよ」
「だが興味は持ったろ?何年お前の後ろを固めてたと思ってんだ」
「・・・射撃ソフト使用禁止」
「コイツにそのソフトは意味無いね、何せ銃はガタガタだ」
「発射時の弾の衝撃力・軌道演算および目標質量の計測禁止」
「もとよりする気は無いね、じゃ、一発目」
パカン!
「お、意外に重いな、二発目」
パン!
「揺れもしねぇ、三発目」
ポン!
「コルクが崩れてたか、後、二発」
パン!・(グラ)
「成る程、ソコでソウかなら、ラスト」
パカン!・ユラ・・・・ドサ!
「オメデトー御座いマース!」
景品が落ちると同時に係員が高らかに宣言し、周りからも“おぉ!”とざわめきが起こった、それに多少なりとも優越感を覚えたが何気ない顔で景品を受け取り、何事も無かったかったかの様にその場を離れる、後ろからは父親が
“パパ、私にもアレ取って”と娘にせがまれているのが聞こえた
「ほらよ」
俺は“戦利品”を少佐に差し出した
「さっきも言ったけど取って欲しいとはいってないわ」
「だが、興味を持ったのは確かだろ?」
「と言うよりも、思い出しただけよ、先週くるたんがソレと全く同じヌイグルミを欲しがってたって、その時は売り切れで手に入らなかったのよね」
「・・だったら、その女友達に上げればいい、俺が貰ってもしょうがねーし、一番欲しがってる相手に貰われた方がヌイグルミにとってもいいだろう」
「貴方らしい意見ね、じゃあそうするわ、あそこから宅配で送れるから送ってくるわ、貴方はそこで待っててね」
ま、いいか
ゲーム・ハウスをひと周りして、昼飯にした
食う物は自分が決めると言った少佐に従ってパスタになった、勿論少佐もちで
その後、園内を一周したがココは“一般人”が普段体験出来ないスリル・恐怖等を擬似的ながらも体験する所であって、ソレを日常としてしまってる俺達にとっては、アトラクションを体験する事よりも、その様な所で過ごすこと事自体が普段体験出来ない事だ、親にアイスをねだっている子供、無理をしてジェット・コースターに乗ったらしくフラフラになった身体を彼女に支えられてバツの悪そうにしている彼氏、迷子の案内、そう言ったのを見たり、聞いたりしている内に太陽が西に傾き夜が近づきつつあった。
「それで、貴方の計画ではこれからどうするつもりなの?」
「そうだな、普通ならこっから引き上げて一杯飲む所だが、もう30分もすれば花火が上がるそれを見て行かねーか?」
「そうね、何時も通りのパターンでは詰まらないわ、そうしましょう」
花火が良く見える場所に並んで腰を下ろす、時間が近い事もあって、かなりの人が集まって来ている、暫くするとポン!と言う音がして空に大輪の華が咲いた、それに続けと言わんばかりにスターマイン、仕掛け花火、枝垂れ柳と次々に上がり夜空を照らしていく、周りからは歓声が聞こえ皆一様に空を見上げている、しかし、俺は途中から花火なぞ全く目に入らなかった、何故ならふとした拍子に目に入った少佐の横顔に目が釘付けになったからだ、そこには「少佐」と言う顔は無かった、いや、ほんの時折見せる優しい表情でもなく無関心でもない、強いて言うなら初めて花火を見て感動し一つも見逃すまいとする子供の様な何とも言い難い表情をしていたからだ、そして、最後に特大の花火が上がりそして消えたが、俺の目は少佐を見たままだった。
「・・・なに?」
俺の視線に気付いた少佐がこっちを見た、既に先ほどの表情は消えて何時もの「少佐」の顔に戻っている。
「い、いや、楽しんでくれたなー・・と思ってな」
「普段体験出来ない事が出来たと言う点ではそれなりに楽しめたわね」
「やれやれ、ま、途中で帰らせなかっただけでも良しとするか、だがこの後の予定は何も立てちゃいねぇ、何か御要望は?」
「貴方のセーフハウスで一杯飲みたいわね」
「おいおい、それじゃあ何時も通りのパターンじゃねーか」
「良いじゃない、それに“夜”は長いわよ?」
ふー、やっとで終了!
コレを書くのに何ヶ月掛かってる事やら(^^;)
この“先”は自分には書けませんm(_ _)m
でも、オマケは書きます!
| オマケ |
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