初恋



制作・公安9課不認可絵チャ
文=アーク、soma (敬称略)


ボーマにピザを貰ったから、食べにこない?と素子に誘われたので、くるたんは久々に
公安9課に立ち寄った。

ピザには「ゴーダチーズ入り」と書いてある、くるたん誘ったのはいいけど「ゴーダ
チーズ」・・・顔はツクシ、名前はチーズ、身体は何になるつもり?と、素子は思った。
どこかで聞いたような名前ね〜、とくるたんも思っているとそこに、タチコマがやって
来て素子に言った。

タチコマA 「ねーねー、少佐ぁー♪」
素子 「何?タチコマ。」
タチコマA 「“初恋”って何ですか??少佐にもあったの?」
くるたん 「ふふふ、かわいい質問♪」

正直、何処からそんな単語を覚えて来るのかと思った、確かにタチコマは情報を集め、
的確に判断する様プログラムされている、情報は常に一定の割合で処理され、戦闘に関
してもパワーで劣るアームスーツに対してオートであれば何ら引けを取らないしかし、ココ最近、集める情報に偏りが出てきている様に思える節が今回の様に所々出て来る。

特に人の感情に対しては貪欲とも言えるほど情報を集め並列化している様だ、本来なら
不要な情報として処理される筈なのだが何故かタチコマは“必要な情報”として処理している、私自信「思考戦車」には不要であると知りつつもその先、人の感情を情報として並列化したその先がどんな物であるのかが知りたくて、ついつい情報を与えてしまう。

バトーが知ったらどんな顔するかしら?

素子 「小さい頃にね、でも・・・その頃はそれが何なのか判らなかったわ。」
タチコマA 「バトーさんに教えてあげよっ♪」
くるたん 「ねえねえ、素子は初恋の時ってどんなかんじになったの?」
素子 「バトーはいいのよ、もう知ってるから。・・・ちょっと、くるたん?」
くるたん 「な〜に?」
素子 「何でそんな事気になるの、貴女にもあったんでしょ?」
くるたん 「そりゃ、あったけど・・・素子はどうだったのかなあ、って・・・。」

素子 「どうだったって・・」

自分の知らない素子をバトーさんだけ知っているなんてずるいわ、と内心くるたんは思
った。でもいいの、バトーさんの知らない素子を私も知っているはずだから。

素子 「詮索されるのは好きじゃないわ。」
くるたん 「あら、いやなら話さなくてもいいのよ?」

私は素子を拘束しないもの。お互い話したくない事は話さなくていいという暗黙の了解
があることも忘れているなんて・・・
素子の初恋にはきっと特別な思い入れがあるのね、とくるたんは思った。

素子 「でも、一つだけ・・・悪い感じでは無かったわ、どう言って良いのか判らないけど」

私とこの子達の間には暗黙の了解がある、言うなれば“黙秘権”の様なもの、だから毎
回選択肢を出し合う“言うか・言わないか”今回はさわりだけ、許してねくるたん。

タチコマA 「ねーねー少佐ー。」
素子 「今度は何?」

タチコマには“暗黙の了解”は難しそうね。

タチコマA 「あのね・・・バトーさんはね、ボクに天然オイルを入れてくれるとき、初恋の事を思い出すんだって。それってゴースト特有の感情なの??」
くるたん 「あら、バトーさんが?」
タチコマA 「・・・うん。」

天然オイル?バトーさんの初恋っていったい。と、くるたんは思ったが、素子が何か言いたそうなので黙っていた。

素子 「・・・どういう神経してるのかしら、タチコマ、あなた後でラボ行ってきなさい。」
タチコマB 「いいないいなー その情報、並列化してよ〜!」
素子 「並列化したらアナタもラボ送りよ」
くるたん 「素子それはチョット可哀想なんじゃない?」
タチコマB・A 「可哀想ってなんでですか〜?」
くるたん 「え?え〜と」

だって、並列化したらこの子たちの今まで獲得したものがなくなってしまうのに。
A.Iの彼等はなんとも思わないのかしら。と、くるたんは思った。

素子 「くるたんはね、アナタ達に同情しているのよ」
タチコマB「そうなんですか〜、でも僕等に使うのは間違ってますよ?僕等はゴーストを持たないA.Iですから」
くるたん 「ねえ素子、本当にタチコマたちにゴーストってないのかしら??天然オイルをバトーさんにもらったっていうタチコマは、他のタチコマたちと違うみたい、そう、ゴーストがあるように思うわ。バトーさんも特にその子を気に入っているんでしょう?・・・そうだ、ねえねえタチコマ、初恋のかんじ、試してみない?」
タチコマA 「え、初恋ってA.Iのぼくでも体験できるの??してみたーい!」
くるたん 「人間と同じかんじになるかどうかわからないけど、恋をすると人間はこんな事をしたりするものなのよ。」

と、くるたんはタチコマAのグレネードランチャー部分にやさしくキスをした。

タチコマA 「・・・え〜??これが初恋のかんじなの??ぼくたちは手で接触して整備されるのならしょっちゅうだけど、手で触れられるのと口で接触されるのとで人間には違いが出てくるの??」

手よりやわらかくて暖かいものが自分の機体に触れたのはわかったけれど、それが初恋に関する体験になることが、A.Iのタチコマにはまだ理解しがたかった。

くるたん 「ふふふ、タチコマくんたちA.Iにはその違いがわからないかもね。でも人間はそれでドキドキしたりするものなのよ。」
タチコマB 「わ〜、いいないいな〜、その体験、並列化させてよ〜!!」
素子 「こらー!!くるたんも余計な事仕込まないの!タチコマ、あんたたちまたそんな余計な情報を並列化しない!!今からラボ行ってきなさ〜い!!」

素子のカミナリが落たので、タチコマたちはわらわらと一時退散した。
逃げながらタチコマAはくるたんのキスの後、何かを思い出していた。
そしてどういうわけか蓄積したデータから、前に会った女の子を思い出していた。
データからは「ミキちゃん」という名前が出てきた。

タチコマA 「ん?ぼくのデータの中から何で1度だけ会った『ミキちゃん』が抽出されてきたんだろう?でも初恋と関係あるのかどうかわからないけど、また会いたいな〜。」

タチコマAは逃走しながら、あとでこっそりタチコマBと並列化して、このデータが抽出された現象について討議したいと思った。

素子は怒ったように見せながらも人の感情を情報として並列化させることへの興味の方が先立っていたので、それ以上タチコマもくるたんも責めることはなかった。

素子 「もうあの子たちは放っておいて、ピザ食べましょう。冷めてしまうわよ?」
くるたん 「そうね。いっただきま〜す♪」
 
 
ハンガー
タチコマA 「少佐、怖かったね〜」
タチコマB 「確かにね、でも何であれ程までに怒ったのか知りたいな」
タチコマA  「もしかしたら、僕が“くるたん”にキスされたからかなー?」
タチコマB 「それは考え難い、少佐の言葉からは“並列化”に対して怒ってる様に思える」
タチコマA 「でもでも、並列化は僕等には必要じゃないか〜」
タチコマB 「それはそうだなー、並列化する情報によるのかもしれないな」
タチコマA 「じゃあ、今回の場合は?」
タチコマB 「キス」
タチコマA 「ヤッパリそうじゃないかー!」
タチコマC 「君達、何を論議しているのかね!」
タチコマA 「それがさー・・・」
タチコマC 「ん?おおー、それはー!!」
タチコマA 「ええ〜、ナニナニ、僕まだ何も言ってないよ〜!?」
タチコマC 「それは“キスマーク”じゃないかー!!」
 
タチコマAのグレネードランチャー部分にはくるたんの唇の跡がクッキリと残っていた
 
タチコマA 「本当だ、たまにバトーさんの首に付いてやつだ〜」
タチコマC 「中々取れないって言ってたけど、どうする?」
タチコマA 「え〜、どうしよう」
タチコマB 「ソレは違うと思うよ、キスマークは人間の皮膚が強く吸われた事による痣の一種だから血液の無い僕等にソレは出来ないね」
タチコマC 「ではコレはどう説明するのかね!」
タチコマB 「口紅の跡、拭けば取れるよ」
タチコマA・C 「・・・(バッサリ斬るなー)」
タチコマA 「でもなんで、ココにキスしたのかなー?」
タチコマC 「どう言う事?」
タチコマA 「本来、キスって口をくっつけ合うものでしょ?でもくるたんはココにした何故?」
タチコマB 「それはだね、人間は「へのへのもへじ」の組み合わせが人の顔に見える様に僕等を人あるいは他の生き物に例えるとグレネード部分が口に見えるのだよ!」
タチコマC 「と言う事は、僕等だけでも“初恋”を体験できると言う事かね!?」
タチコマB 「え?う〜ん、そう言う事になるのかな?」
タチコマC 「では、オリジナルの情報を持っている君、情報を並列化しようじゃないか!」
タチコマA 「イイよ〜」
タチコマC 「フムフム、なるほど〜、では早速」
ゴツン
タチコマA・B 「・・・」
タチコマC 「何の!この情報を並列化していけば僕等も“初恋”を手に入れることは出来る諸君!頑張ろうではないかー!」
タチコマ一同 「おー!!」
 
その後、ハンガーにおいてタチコマ同士がグレネード射出口をぶつけ合うと言う奇妙な光景が見られたが、射出口に出来た歪によって実戦の際に暴発の可能性があるとして少佐から止めさせるように赤服に要請があったため禁止事項が一つ追加される運びとになったが、何故その様な現象が起きたかについて少佐は一切口を開かなかった

今回、初めて企画に参加させて頂きましたが、自分一人では出て来ない発想に「成る程〜」と思う事も少なく無く、自分の幅を広げる事が出来たのではないかと思います、ありがとう御座いました(^^)



しかし、AIが“恋”を理解した時、人間は何を理解するのでしょうね?