延期


「そう言えば、そろそろだったな」

ヘルシング家当主インテグラは気の無い様な有る様な口調で呟いた

「何がかな我が主」

初めに口を開いたのは意外にもアーカードだった

「何だ、知らんのか我がヘルシング家のOVAの発売日だ」

あたかもヘルシング家の名を世に知らしめるチャンスだと言わんばかりに強く言い放つ

「?」
「そうでしたねー、楽しみです!」

訝しげな顔を造った主を気にする風もなく声を上げるセラス

「御嬢様・・・」

何時もなら誇りと謙遜を兼ね備えたはずの声が何とも物悲しげに響く

「どうしたウォルター、嬉しく無いのか?」
「延期に御座います」
「な、何?」

聞いて無いぞ、と続ける前に

「あー、そうだったねー、確か今回で二回目」
「仕方有りませんわ、予定は未定、御存知在りませんでしたの?」
「お前までとはなセラス」

三人のリアル・アンデッドは何を今更と言った感じである

「申し訳有りません!情報に不備が在りまして色々と手は打ったのですが・・このウォルター、一生の不覚」

深々と頭を下げる老執事に叱責を与える訳もいかず

「良い、判った」

と言ってインテグラは奥へと消えて行った。


OVAを観るために最新のDVDデッキをインテグラが買った事は誰も知らない(一名除く)

延期の悲しみをSSにしてみました(^^;)
早く来月になってくれー(T T)