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バージンブルース

1974年、日活、藤田敏八監督作品。

岡山出身の二人の浪人生、千晶(清水理絵)と羽田まみ(秋吉久美子)は、同じ女子寮で生活していた。
ある夜、千晶の部屋に泥棒が入るが、やがて、その泥棒は、近所のラーメン屋で出前をやっている青年(高岡健二)だと判明。
しかし、千晶は、彼を警察に突き出す事ができない。
何故なら、千晶が、万引きの常習犯である事を、彼に知られてしまったからだ。

女子寮の仲間たちと、集団で万引きをしていた千晶たちは、店員に発見され、まみ共々、必至に追っ手から逃げのびたのだったが…。

女子寮には帰れなくなったまみたちは、結局、出前の青年の所にかくまわれる事に…。

やがては、そこにもいずらくなった二人、千晶の旧知の中年男、平田(長門裕之)に帰郷の援助を依頼する。

脱サラしてラーメン屋を始めたものの、うまく行かず、燻っていた平田は、二人と一緒に、郷里の岡山に同行する事になる。

そして、平田は、千晶からバージンだと聞かされていたまみと行動を共にする事になるのだが、倉敷で出会ったまみの級友で、アングラ芝居をしている秋山正治(林ゆたか)の口から、彼女がすでにバージンではない事を知らされる。

幻想が消え、激昂した平田であったが、その事がきっかけとなり、急速に、それまでは、どこか他人行儀だったまみとの仲は深まっていく…。

秋吉久美子の、どこか、焦点の定まらないような不可思議な存在感が、本作でもうまく生かされている。
一種の青春ロードムービーともいえよう。

まみが平田と行動を共にする倉敷の街で、野坂昭如が路上パフォーマ−として、「黒の舟歌」を披露しているのが興味深い。