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セロ弾きのゴーシュ

オ−プロダクション製作1982年作品。
有名な宮沢賢治原作を高畑勲監督がアニメ化したものだが、近年のジブリ作品のように大掛かりな作りの画風ではなく、かなり限られた条件の中で作られた事がうかがえる、素朴な味わいの作品になっている。
金星音楽団の一員であるセロ担当のゴーシュは、いつも練習で楽長から注意を受ける程の力量であった。
彼は帰宅後、夜も練習するのだったが、扉を叩く音に気付くと、そこには子猫が立っていた。
その日から、夜毎、練習を続けるゴーシュの前に、かっこう、小狸、ネズミの親子などが訪れ、彼に音楽をせがむのだった。
最初は、思わぬ訪問者たちに腹を立てていたゴーシュだが、何時しか、彼らが求める音楽の魅力を逆に教えられている事に気付き出す。
椋尾篁氏の平筆を大胆に使った水彩風の美術やクラシック音楽の調べと相俟って、観客は愛らしい動物たちや素朴なキャラクターたちの魅力に何時しか引き込まれていく。
こじんまりとした出来上がりの作品ではあるが、その誠実な演出には好感を覚える。
良心的なアニメ作品として、子供から大人まで安心して観られる秀作だと思う。